ブックタイトル薬剤師のための臨床思考トレーニング ケースで学ぶ薬物治療

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概要

薬剤師のための臨床思考トレーニング ケースで学ぶ薬物治療

110第5 章症例で学ぶ薬物治療モニタリングCase 11型β細胞の破壊,通常は絶対的インスリン欠乏に至るA 自己免疫性,B 特発性2型インスリン分泌低下を主体とするものと,インスリン抵抗性が主体で,それにインスリンの相対的不足を伴うものなどがあるその他の特定の機序,疾患によるものA:遺伝因子として遺伝子異常が同定されたもの ① 膵β細胞機能にかかわる遺伝子異常 ② インスリン作用の伝達機構にかかわる遺伝子異常B:他の疾患,条件に伴うもの ① 膵外分泌疾患 ② 内分泌疾患 ③ 肝疾患 ④ 薬剤や化学物質によるもの ⑤ 感染症 ⑥ 免疫機序によるまれな病態 ⑦ その他の遺伝的症候群で糖尿病を伴うことの多いもの表5-1 糖尿病と糖代謝異常の成因分類(文献 1)p.13, 表2より作成) 患者(52歳男性.身長165cm,体重82kg)は,最近よく喉が渇き疲れやすいことから内科を受診しました.前回の健康診断は約1年前で,その際はとくに異常はみつかりませんでした.今回の血液検査の結果,随時血糖値が215mg/dL,別の日に行った再検査の結果は,空腹時血糖が140mg/dL,HbA1c(NGSP値)が7.2%でした.血圧は121/84(mmHg)で正常範囲,血清脂質もすべて正常範囲です.過去1年の間に体重が5kg増加しました. 生活習慣については,喫煙はせず,アルコールも飲みません.仕事の関係で食事が不規則になりがちで,夕食が夜遅くになることが度々あります.油物が好きでよく食べます.仕事が忙しいので運動することはほとんどありません.既往歴はとくになく,服用中の薬もありません.家族歴は,父親が2型糖尿病を40代で発症しています.糖尿病とは インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群.この患者の糖尿病の分類として可能性が高いものは何型糖尿病ですか?Step1 糖尿病の分類 発症年齢が40歳以上で,父親に糖尿病歴があり, 肥満(BMI=30)であることから,2型糖尿病である可能性が高いと推測できます.2型糖尿病糖尿病の分類1型2型家族歴家系内の糖尿病は2型の場合より少ない家系内血縁者にしばしば糖尿病がある発症年齢小児~思春期に多い.中高年でも認められる40歳以上に多い.若年発症も増加している肥満度肥満とは関係がない肥満または肥満の既往が多い表5-2 糖尿病の成因による分類と特徴(文献 1)p.14, 表3より作成)学習目標1,2,4,8