ブックタイトル薬剤師のための臨床思考トレーニング ケースで学ぶ薬物治療

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概要

薬剤師のための臨床思考トレーニング ケースで学ぶ薬物治療

3ことにします. 薬物治療モニタリングには,系統的でかつ論理的に段階を踏んだアプローチを身につけることが必要です.まずは大きな枠組みとして,4つに分類します(表1-1). はじめに薬物治療の評価に必要な情報を収集し,それらの情報を関連あるものを組み合わせて整理していきます.次に,薬物治療に関連した問題点がないかどうかの確認(=薬物治療評価)を行います.問題がみつかった場合には,それらの問題点を解決するための計画を立案します.解決策を実行した後は,また最初のステップに戻り,それらの問題点が解決されたかどうかを再評価します.「薬物治療モニタリング」とは,これらのステップをくり返すことです(図1-1). この考え方は,薬剤師として患者の治療に携わっている限り,共通で使用できる考え方です.たとえ,大学病院に勤務していても,保険薬局に勤務していても,この流れで治療を考えていくことが大切です. ここからは上記の4つのステップを1つずつ解説します. 薬物治療関連の問題点を確認するには,評価に必要な情報を収集することから始めます.収集する手段は環境によって変わりますが,一般的にカルテ,紹介状,お薬手帳,処方せん,患者や患者家族へのインタビューから得ることができます.ここでは,薬物治療の評価に必要な情報と,必要な理由を簡単にまとめました.1.患者情報年齢・性別・身長・体重などの基本情報:薬剤の投与量の計算や推定クレアチニンクリアランスを計算する際にも必要になります.生活歴(アルコール摂取・喫煙歴):疾患の危険因子や服用薬剤の代謝・薬効・副作用を考慮する際に必要な情報です.2.疾患に関連した情報既往歴・現病歴・身体所見・検査結果(血液・尿検査・画像など):薬の投与量を設定する際に参考になる腎機能や肝機能の指標をはじめ,薬の効果・副作用を判断するための客観的なデータとなります.どのようなデータが必要かを知るためには,個々の薬の特性と病態の理解が欠かせません.3.薬剤に関連した情報アレルギー・副作用歴1):薬に対するアレルギーについては,カルテから情報が得られた場合でも,薬剤師として患者インタビュー時に再度聴取する必要があります.患者のなかには,副作用とアレルギーを混同している人が多々います.服用(使用)した薬剤1. 薬物治療の評価に必要な情報の収集 ( 患者・疾患・薬剤関連情報)2.薬物治療を評価するための情報の統合・整理3. 薬物治療が適切かどうかを評価する ( 薬物治療関連の問題点の確認)4. 薬剤関連の問題点を解決・防止するための計画の立案表1-1 薬物治療モニタリングの枠組Lesson1 薬物治療モニタリングの基本スキル図1-1 薬物治療モニタリングのサイクル情報の統合情報の収集適切かどうかの評価問題点解決・防止のための計画立案????薬物治療の評価に必要な情報の収集