ブックタイトル医薬品のレギュラトリーサイエンス 改訂2版

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概要

医薬品のレギュラトリーサイエンス 改訂2版

6 ◆ 医薬品添付文書119量を決定するためには,用量反応関係や薬物動態などの情報が必要となる.正しい調剤のためには,前述の情報に加えて,配合変化,粉砕可否,保存条件などがある.患者への説明と理解に関しては,名称,使用法,価格,効果,副作用への対応,保存法などの情報が考えられる.そして,効果・副作用の評価においては,有効血中濃度域,中毒域,効果の評価指標,副作用モニタリングのための検査値や症状などが必要となる. こうした適正使用に必要な医薬品情報の最も基本となる情報源が,医薬品添付文書である.医薬品には医療用医薬品と要指導・一般用医薬品があるが,それぞれの添付文書は情報提供の対象者が異なり,形式も異なる.医療用医薬品添付文書は医師や薬剤師をはじめとする医療関係者への情報提供を目的とし,要指導・一般用医薬品添付文書は医薬品を購入し使用する生活者への情報提供を目的としている.そのため,医療用医薬品添付文書は専門用語を用いて記載されているが,要指導・一般用医薬品添付文書は生活者が理解しやすい用語を用いて記載されている.これら2 種類のうち,本章では医療用医薬品添付文書について解説する.2 医療用医薬品添付文書とは 医療用医薬品添付文書(以下,添付文書)は,古くは効能書きとか能書と呼ばれてきた.医薬品医療機器等法第52 条において,医薬品の製造販売業者(以下,製薬企業)が作成して医薬品に添付するよう義務付けられていることから,現在は添付文書と呼ばれている.添付文書は医薬品医療機器等法に基づく唯一の法的根拠のある医薬品情報源であり,医薬品による医療事故訴訟の際には添付文書に従って使用したかどうかがカギを握ることも多い( 5 を参照).3 添付文書の記載項目と概要 添付文書の主な項目について,図6-2に従って解説する.A 作成又は改訂年月 作成または改訂年月(過去1回分まで)および版数が記載される.添付文書は唯一の法的根拠のある医薬品情報源であるという位置づけから,その医薬品を使用する時点で最新のものを用いることが大切である.現在,添付文書情報は,医薬品医療機器総合機構(PMDA)の医薬品医療機器情報提供ホームページに掲載されているものが最新ということになっている.B 日本標準商品分類番号 1990年6月改訂の「日本標準商品分類」に基づいて記載され,「医薬品および関連製品」は87 で始まる5 桁ないし6 桁の番号である.3 桁目以降で各医薬品の作用部位,目的,