ブックタイトル医薬品のレギュラトリーサイエンス 改訂2版
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医薬品のレギュラトリーサイエンス 改訂2版
5 ◆ 臨床開発の展開と目的93スト・イン・ヒューマン試験の場合は,初回投与量の設定,安全性のモニタリングを含め,慎重に試験を行う必要がある(p. 95 4 参照).2 薬物動態と薬力学 薬物動態(PK:Pharmacokinetics)は,薬物の吸収,分布,代謝,排泄とこれに関与する酵素,トランスポーターなどを研究し,生体内における動態を解明するものであり,ヒトにおいては主として薬物投与後の血中濃度の推移,半減期,排泄速度などが研究される2). 一般に,臨床第Ⅰ相試験では,被験薬投与後に経時的に血液(血漿,血清)や尿が採取され,試料中の未変化体・代謝物の濃度が測定され,血液中および尿中濃度の時間推移が得られる.経口投与の場合,最高血中濃度(Cmax),最高血中濃度到達時間(Tmax),血中濃度-時間曲線下面積(AUC),消失半減期(t1/2),尿中排泄率などのPK パラメータが算出され,被験薬の薬物動態が定量的に評価される.特にCmax,AUC は薬物の体内曝露を表す指標として薬力学(PD:Pharmacodynamics),安全性と関連づけられて使用される指標である. 一方,PDは組織に分布して作用部位に到達した薬物が生体の機能を修飾し薬理作用を発現する過程を研究するものである2).臨床第Ⅰ相試験での探索的なPD 評価として,被験薬の作用機序,標的疾患に応じてバイオマーカーの測定が行われることが多い.被験薬が体内に入り,全身循環から組織へ分布し,受容体,酵素などの標的分子へ作用することになるが,その際の被験薬の標的分子への作用,およびその二次的な作用を示すバイオマーカーを臨床第Ⅰ相試験で測定することにより,PK のみならずPDの経時的な推移を知ることができる.例えば,2 型糖尿病薬であるDPP-4阻害薬での血漿中DPP 阻害率測定や,経口抗凝固薬であるファクターXa 阻害薬におけるファクターXa 活性阻害率,プロトロンビン時間などが該当する.図5-1 臨床第Ⅰ相試験の目的非臨床試験探索的臨床開発ステージ臨床第Ⅰ相試験(単回,反復) POC試験?薬理試験?薬物動態試験?毒性試験?ヒトでの安全性, 有効性予測?安全性,忍容性?ファーマコキネティクス(PK)?薬力学(PD)?ファーマコゲノミクス?PK/PD/安全性 相関?食事,性,年齢の影響Proof ofConcept(POC)確認