ブックタイトルここが知りたい職場のメンタルヘルスケア 改訂2版
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ここが知りたい職場のメンタルヘルスケア 改訂2版
3A 主な精神疾患の罹患率・有病率を知りたい?議論が続いている. 勤労者における精神障害の頻度に関する疫学研究は,一般住民のそれに比べて必ずしも多くない4).米国ではDSM診断基準による大うつ病の12ヵ月有病率は,地域調査データから勤労者を抽出して行った解析で,1980~1983年に実施された五つの地域を対象としたEpidemiologic CatchmentArea(ECA)研究では4% 5), 6),2001~2002年に実施された全米の地域住民代表サンプルに対するNational Comorbidity Survey Replications(NCS-R)研究7)では6.4%,また双極性障害の12ヵ月有病率が1.1%と報告されている.2 日本での有病率 わが国の勤労者および一般地域住民における精神疾患の有病率は,WMH調査の日本における調査(WMHJ調査)で詳しく報告されている8)?10).報告書と筆者らの論文データよりDSM-Ⅳ12ヵ月有病率を疾患ごとに示す9), 10)(図1-1).これを見ると,勤労者では大うつ病性障害が最も多く,次に特定の恐怖,アルコール乱用と続いている.勤労者と一般地域住民での精神障害をグループ化した場合の有病率はそれぞれ,何らかの気分障害が2.9%と2.3%,何らかの不安障害が5.1%と5.5%,何らかの物質使用障害が1.7%と1.5%,何らかの精神障害が9.1%と10.0%であった.つまり,働く日本人の約11人に1人は過去1年間において何らかの精神疾患の診断が当てはまる状態であったということになる.疾患によっては勤労者と一般地域住民で割合の違いが見られるものの,WMHJ調査の結果について立森11)がまとめた報告によれば,各精神疾患と雇用状態(就業者対その他)の間に有意な関連が見られていないことから,こうしたわが国の一般地域住民での精神疾患有病率は,勤労者においてもほぼ同様の割合であることが推測できる.図1-1 世界精神保健日本調査(WMHJ)による精神疾患の12ヵ月有病率一般地域住民は4,134名,働く人は530名;*の疾患のみ一般地域住民で1,722名;**依存の有無は問わない;†乱用あり;‡(Ⅰ型,Ⅱ型,閾値下)0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0大うつ病性障害特定の恐怖アルコール乱用*社会恐怖全般性不安障害間歇性爆発性傷害パニック障害心的外傷後ストレス障害*気分変調性障害アルコール依存*双極性障害Ⅱ型パニックのない広場恐怖2.62.12.32.31.6**1.41.00.91.10.7(%)勤労者(雇用されているおよび自営)一般地域住民0.70.70.60.40.30.30.50.60.3†0.30.3‡0.10.10.1