ブックタイトル事例・症例に学ぶ 栄養管理 改訂2版

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概要

事例・症例に学ぶ 栄養管理 改訂2版

9術前・術後?体重減少率:(平常時体重・kg) ?( 現体重・kg)/(平常時体重・kg)×1001か月で5%,3か月で7.5%,6か月で10%以上の体重減少で高度の障害22)?リンパ球数:%リンパ球×白血球数/1001,200?2,000/μL800?1,199/μL800/μL未満軽度栄養障害中等度栄養障害高度栄養障害23)?NRI:{1.519×Alb(g/L) + 0.417×[current weight(kg)/usual weight(kg)]}×100基準値:100以上?PNI:10×Alb( g/dL) +0.005×Lymph count≦40:切除・吻合禁忌?Harris-Benedictの式(#)男性 BEE=66.47+13.75×W( kg) + 5.0×H( cm) ? 6.75×age( 歳)女性 BEE=655.1+ 9.56×W( kg) +1.85×H( cm) ? 4.68×age( 歳)?必要エネルギー量  安静時エネルギー消費量(#)×活動係数×ストレス係数     活動係数( Activity Factor)15):寝たきり 1.0歩行可  1.2ストレス係数(Stress Factor)15):術後3日間軽 度:1.2→胆嚢・総胆管切除,乳房切除中等度:1.4→胃亜全摘,大腸切除高 度:1.6→胃全摘,胆管切除?必要蛋白量( kcal/日) = W( kg) × Stress Factor15)?SIRS(全身性炎症反応)の診断基準以下を2 つ以上満たす時,SIRSと診断する.1)体温   < 36℃,> 38℃2)脈拍   90 回/分以上3)呼吸数  20 回/分以上, PaCO2 < 32mmHg4)白血球  12,000/mm3以上か4,000/mm3以下,または10%以上の幼弱細胞?SIRスコア(点) : 侵襲評価の指標(SIRSの診断項目を細分化し,数値化)体温(℃) 点脈拍(回/分) 点呼吸数(回/分) 点白血球数(/μL) 点39≦ 3 120≦ 5 24 ≦ 2 20000≦ 738 ≦,< 39 2 110≦,< 120 4 20≦, <24 1 18000≦,<20000 637 ≦,< 38 1 100≦,< 110 3 12≦, <20 0 16000≦,<18000 536 ≦,< 37 0 90≦,< 100 2 <12 1 14000≦,<16000 435 ≦,< 36 1 80≦,< 90 1 12000≦,<14000 3<35 2 60≦,< 80 0 10000≦,<12000 28000 ≦,<10000 14000≦,< 8000 0< 4000 1SIR スコア:4項目の合計点(評価は図1参照)表2●栄養評価・栄養量設定指標表3● Moore の手術後の回復過程Mooreは手術侵襲が加わった場合の生体反応を4 相に分けた.第一相 : Injury( adrenergic-corticoid phase)蛋白異化期 (侵襲期)術中より術後2 ?4 日間第二相 : The Turning Point( corticoid-withdrawal phase)代謝変換期 (転換期)術後3 ?7 日に始まり,2 ?3 日続く第三相 : The Muscular Strength蛋白合成期 (同化期)2 ?5 週間続く第四相 : Fat Gain脂肪の蓄積が起こる.1 か月以上数か月を要する.手術侵襲の影響はほとんどなくなる876543210181614121086420SIRスコア(点)CRP(mg/dL)2 4 6 8 10 14(侵襲期)(転換期) (同化期)術直後術前(日)図1● CRP,SIRスコアの推移 術後の回復過程は,術前栄養状態および手術侵襲度に影響される.術前に栄養障害があったり,手術侵襲が高度であると,術後の異化期が長くなり,同化期(蛋白合成期)に転ずる時期が遅れる.術前栄養療法 術前の低栄養状態は手術侵襲の回復遅延や,縫合不全,感染症などの術後合併症を発生しやすいため,術前に栄養状態を良好に補正しておくことが重要である. 必要エネルギー量は,間接熱量測定,Harris-Benedictの式(表2),食事摂取基準等により設定するが,栄養状態改善のために平常時よりやや高めとし,エネルギー量は35?40kcal/kg/日,蛋白質量は1.5g/kg/日を目標とする9).その他ビタミンや微量栄養素なども,栄養評価や病態に応じて組成,量や配分を設定する.経腸栄養剤は,使用目的により組成が異なっており,病態別に使い分ける.術前に外来診療が可能である症例には,外来栄養指導を行う.耐術性について全身検査が行われるので,それらの結果を活用する. 従来から手術前日は絶飲食とし点滴による水分補給と電解質管理がされてきたが,近年では術前日の絶飲食をなくし,術当日も麻酔導入2時間前までは補水液製剤(ナトリウム等の電解質やブドウ糖にて構成)の経口摂取が取り入れられるようになった.経口的に糖と電解質を摂取することでストレス軽減・口渇や空腹を和ら