ブックタイトル事例・症例に学ぶ 栄養管理 改訂2版

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概要

事例・症例に学ぶ 栄養管理 改訂2版

7栄養不良てミキサー食を付加して提供してみる. 18日目より訓練食を中止しミキサー食に形態改善.摂食率も改善がみられ,栄養補助食品も付加しており必要な栄養素量はほぼ充足されてきている.食事は病室にて一部介助を受けながら摂取されている.  栄養状態は,入院時Alb 3.2g/dLで低下がみられたが,20日後のデータで3.3g/dLと改善傾向にある.BMIは19.2と標準体重内であるが脳梗塞発症前は57kgで7kgほど減少している. 栄養状態の改善(Alb 3.6g/dL,体重4kg増加)を目標に本人の嗜好や状態にあった食事内容を提供し,栄養状態の経過観察を行う.入院2か月後 入院後1か月半ばに胃潰瘍と貧血のため安静臥床状態となり栄養状態も悪化.38度の発熱と下痢,下血あり.食欲も低下し,流動状の栄養補助食品は受けつけるがミキサー食は3 割ほどしか摂取されないため,形態を流動食にしてみる.流動食は「喉の通りがよい」と8割ほど摂取できている.食事はナースステーション前にて全介助にて摂取されている. 栄養状態は,TP 5.3g/dL,Alb 2.9g/dL,Hb8.1g/dLと不良であるが,体重の変動はみられない.胃潰瘍も投薬にて改善されてきているため,食欲も回復傾向にあるので,流動食を継続し,状態をみながら形態改善を考えていく.入院4か月後 3か月目に入ってからさらに食欲もでてきており,食物の通過障害の訴えも少なくなったため,4か月後に流動食からミキサー食にした.しかし,嗜好によるものと思われるが副食の摂取量にムラがあり,2?3割のときもあれば10割摂取するときもある.食事摂取状況は体力も回復してきているため食事前半は自力摂取できるまでになったが,後半は疲労のため介助を要する. 栄養状態はTP 6.0g/dL,Alb 3.2g/dL,Hb 10.3g/dLと前回よりは改善されるも低栄養状態が続いているが,胃潰瘍の治療により貧血は改善されてきている.体重は1kg増加している.リハビリに関しては体力が回復されず,ほとんど休むことが多く,積極的には行われていない. ミキサー食にして摂食量が減少したが,栄養状態の改善がみられるので,今後はもう少し喉ごしのよい副食を考えて提供し,喫食率の上昇を検討する.入院8か月後 食事の形態は軟菜食に改善され,ミキサー食に比べると飲み込むまでにやや時間がかかるが,喉のつまり感はないようだ.味に関しても満足しているようで副食の摂り方にムラはみられない.ただ食事の時間がかかっているため後半に疲労感が強まり,介助しても拒否するときがあり,食事量が十分に摂れないので,栄養補助食品を継続していく必要がある. 栄養状態はTP 6.2g/dL,Alb 3.6g/dL,Hb11.4g/dLと改善がみられてきている.体重は入院時に比べると2kg増加したが,目標値の4kg増まで達していない.車椅子などへの移乗も介助量が軽減され,座位保持が向上し車椅子での座位時間が1時間に増え,院内の散歩も行えるようになった.リハビリは拒否する場面もあるようだが以前に比べて意欲の向上がみられるようになった.結果の評価 環境の変化や胃潰瘍のため,一時食事摂取の低下が著しく栄養状態も低下したが,落ち着いてから食欲も取り戻し食事の形態も改善し,さらに栄養状態も改善され,ADLの改善も少しではあるがみられるようになった. 摂取状況の不安定さが続いているため,今後,本人にとって十分に栄養補給できる食事を提供していき,できる限り経口摂取できるよう支援をするため,継続的なモニタリングが必要である.