ブックタイトルぶらなび 血液疾患診療ナビ 改訂2版

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概要

ぶらなび 血液疾患診療ナビ 改訂2版

◆◆ ウイルス学的検査:抗 viral capsid antigen(VCA)-IgM 抗体は,IM 発症時期には陽性化していることが多く,感染後1 ~ 6 週間でピークとなり,8 週間以降には陰性化するため,EBV初感染の診断には最も有用である.VCA-IgG 抗体は発症時期には通常では陽性化しており,その後も終生陽性となる.EBV nucleoside antigen(EBNA)抗体は,回復期以降(感染後6 ~ 8 週間)に出現し,これも終生陽性となるので,既感染かどうかの判別に有効である.VCA-IgM,VCA-IgG,EBNA の3 抗体をセットで検査したほうが解釈に困らない(表4-19)1-4).◆◆ Paul-Bunnell 反応:EBV の初感染後に,患者の血清中に一過性に出現する異種動物(ヒツジなど)の赤血球を凝集させる抗体(異染性抗体heterophil antibody)を検索する検査であるが,欧米人に比して日本人の場合には偽陰性が多いこと,上記のようなEBV 関連のウイルス抗体検査が可能となったことなどのために,現在ではほとんど行われなくなっている5).表4-19 EB ウイルス感染と抗体検査VCA IgM VCA IgG EBNA感染急性期(+) (+) (-)比較的最近の感染(+)or(-) (+) (+)or(-)既感染(-) (+) (+)MEMO 異型リンパ球?異型リンパ球atypical lymphocyte とは,白血病細胞やリンパ腫細胞のような腫瘍細胞ではなく,一過性に出現する非腫瘍性のリンパ球である6).?その正体は,主にウイルス感染に伴って反応性に出現する細胞傷害性T 細胞やNK 細胞である.ウイルス感染以外には,その他の重症感染症,自己免疫疾患,薬物中毒などでも出現することがある.?形態学的には,正常リンパ球と比べて大型で,細胞質の好塩基性が強く,核網が粗いといった特徴をもつ.?異型リンパ球は,健常者でも白血球分画の1%以下程度にみられることがある.異型リンパ球が10%以下ならば,何らかのウイルス疾患に伴うものがほとんどを占める.?IM の際に増加する異型リンパ球の多くは,EBV を特異的に排除するCD8+HLA-DR+ 細胞傷害性T 細胞であると考えられている.Clinical Bottom Line 最低限これだけは末梢血の白血球分画で,リンパ球≧ 50%かつ異型リンパ球≧ 10%の場合は,伝染性単核球症および単核球症類似疾患を積極的に疑い検索を進める4Chapter プライマリ・ケア医が診る血液疾患と外来マネジメントのポイント179