ブックタイトル免疫学コア講義 改訂4版

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概要

免疫学コア講義 改訂4版

16.自己免疫疾患とアレルギー135(CD40L)はB 細胞を刺激し,アレルゲン特異的なIgE 産生を誘導する.また,Th2 細胞はIL -5 とIL -13 を産生し,好酸球の増多と炎症部位への集積を起こす.IgE 抗体は好塩基球や肥満細胞の表面にある高親和性IgE 受容体I(FcεRⅠ)に結合する(感作).次にアレルゲンに再び曝露されると好塩基球や肥満細胞上のIgE がアレルゲンで架橋cross - link される.IgE の架橋によってFcεRⅠも架橋され,好塩基球や肥満細胞は活性化される.活性化された好塩基球や肥満細胞は種々の化学伝達物質chemical mediator とサイトカインを放出し,さまざまな組織傷害(アレルギー性炎症),たとえば,気道収縮,血管透過性亢進,粘液分泌亢進,炎症反応などを引き起こす(図16 - 4).なお,二次リンパ組織におけるIgE 産生には,IL -4産生瀘胞性ヘルパーT 細胞が関与することも明らかである. Ⅰ型アレルギーに関与する因子と細胞については以下に示す.a) 高親和性IgE受容体Ⅰ(FcεRⅠ)の構造と機能 FcεRⅠはIgEのFc 部位に高い親和性(約10-10M)で結合する受容体で,主として好塩基球と肥 ② Ⅱ型:細胞膜上抗原あるいはその受容体に対する抗体(IgG,IgM)による細胞傷害. ③ Ⅲ型:可溶性抗原と抗体が結合した免疫複合体による組織傷害. ④ Ⅳ型:抗体や補体の関与なしに,主として特異抗原に感作されたT 細胞によって誘導された組織傷害.3)即時型アレルギー 広義にはⅠ~Ⅲ型アレルギーが含まれるが,狭義にはⅠ型アレルギーを意味する.Ⅱ型とⅢ型のエフェクター機構はp. 130 を参照とし,ここではⅠ型アレルギーについて述べる. Ⅰ型アレルギーとは,IgE 抗体が関与した全身性または局所性の過敏反応による組織傷害である.気管支喘息,アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,アナフィラキシーショックなどが含まれる. 次にⅠ型アレルギーの発症機序を示す.アレルギー素因(アトピー)のヒトでは,抗原(アレルゲン)に感作されるとTh2 細胞が誘導される.Th2細胞由来のIL -4と細胞表面抗原CD40 リガンド図16-4 Ⅰ型アレルギーの概略アレルゲンアレルゲン特異的IgECD40リガンドIL-4受容体IL-4IL-5,IL-13脱顆粒(ヒスタミンなど)脂質メディエーター放出(ロイコトリエンなど)サイトカイン産生(IL-4, IL-13など)CD40IgEFcεRⅠ① アレルゲンに感作⑦ アレルギーの発症② IgE 産生 ③ IgE で感作された ④ アレルゲンに再曝露 好塩基球/ 肥満細胞好塩基球/ 肥満細胞⑤ IgE とアレルゲンの  架橋による好塩基球/  肥満細胞の活性化⑥ 化学伝達物質,サイトカインの産生・放出Th2細胞B細胞アレルギー性炎症気道収縮,血管透過性亢進,粘液分泌亢進,炎症反応など