ブックタイトル免疫学コア講義 改訂4版

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概要

免疫学コア講義 改訂4版

臨床免疫学編272に置換. -ximab〕,ヒト化抗体〔可変領域のうち相補性決定領域complementarity-determining region(CDR)がマウス由来で,その他をヒト由来免疫グロブリンに置換.-zumab〕とヒト抗体(完全なヒト型抗体.-mumab)に分類されている.免疫療法としての抗体医薬の最初の導入は,関節リウマチに対してなされた.a)関節リウマチに対する抗体医薬 関節リウマチの発症病態において中心的な役割を果たす腫瘍壊死因子tumor necrosis factor -α(TNF-α)やインターロイキン-6 interleukin-6(IL-6)などの炎症性サイトカインを標的とした生物学的製剤の導入により,抗リウマチ薬のみでは効果が不十分な症例に対しても,疾患活動性の抑制,骨・関節破壊の進展を防止することが明らかとなった.たとえば,中心的な抗リウマチ薬であるメトトレキサート(MTX )ではACR(Americancollege of rheumatology)20%改善達成率(関節症状が20% 改善する頻度)は10 ~ 50% であるが,生物学的製剤では50~85%に達する. 現在,わが国では大阪大学で開発されたトシリズマブTocilizumab を含めて,異なる7 種類の生物学的製剤の使用が可能となっている(表26 - 2 ).インフリキシマブInfliximab はキメラ型抗TNF-α単クローン性抗体で,マウス由来の部分に対する中和抗体の出現を予防するため,MTX の併用が義務づけられている.TNF-αの作用を抑制するだけでなく,TNF-αを産生している細胞に対しても傷害作用をもつ.エタネルセプトEtanercept は完全ヒト型の可溶性TNF 受容体であり,TNF-αと表26-1 おもな免疫抑制剤とその作用機序,適応疾患,副作用薬 剤作用機序適応疾患副作用シクロホスファミドアルキル化によるDNA 合成阻害.とくにB細胞に対する効果が大きいSLE(重症ループス腎炎,NPSLEなど),膠原病の間質性肺炎,血管炎症候群 など感染症,骨髄障害,出血性膀胱炎,性腺機能障害,長期投与による悪性腫瘍アザチオプリン6-メルカプトプリンの誘導体で,DNA 合成阻害およびRNA 合成阻害SLE(腎症における寛解維持),多発性筋炎・皮膚筋炎,血管炎症候群,ベーチェット病,潰瘍性大腸炎,クローン病 など肝障害,感染症,無顆粒球症(アロプリノールとの併用注意)メトトレキサート葉酸代謝拮抗薬で,プリン合成阻害およびピリミジンヌクレオチド合成阻害関節リウマチ(抗リウマチ薬のアンカー薬),多発性筋炎・皮膚筋炎 など胃腸障害,口内炎,脱毛,肝機能障害,骨髄障害,間質性肺炎ミゾリビングアニンヌクレオチド合成阻害で,とくに活性化リンパ球に作用ループス腎炎,ネフローゼ,関節リウマチ比較的軽度であり,骨髄障害,肝機能障害,高尿酸血症ミコフェノール酸モフェチルグアニンヌクレオチド合成阻害で,とくに活性化リンパ球に作用ループス腎炎感染症,骨髄障害レフルノミドピリミジン代謝拮抗薬,おもにB 細胞に作用関節リウマチ感染症,消化管症状,肝機能障害,骨髄障害,わが国では,間質性肺炎シクロスポリンシクロフィリンとの複合体がカルシニューリンと結合しNFAT の活性化抑制,サイトカインの産生抑制ベーチェット病(眼症状),ネフローゼ,関節リウマチ,再生不良性貧血,尋常性乾癬,重症筋無力症,皮膚筋炎の間質性肺炎で有効感染症,腎機能障害,高血圧,歯肉腫脹,多毛,高血糖,中枢神経症状タクロリムスFK 結合タンパク質との複合体がカルシニューリンと結合しNFAT の活性化抑制,サイトカインの産生抑制関節リウマチ,ループス腎炎,重症筋無力症感染症,腎機能障害,消化管障害,高血糖ヒドロキシクロロキンエンドソームのpH を上昇させ,TLRの活性化を阻害SLE,CLE感染症,消化管障害,皮膚過敏反応,霧視,視野障害,網膜症,ミオパチー,ニューロパチー,心毒性,低血糖,骨髄抑制,色素沈着SLE:全身性エリテマトーデス,NPSLE:neuropsychiatric SLE,NFAT:nuclear factor of activated T cell,CLE:cutaneous SLE,TLR:Toll-like receptor.