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さまざまな患者管理ソフトこれまでの連載を通して,Palmでは電子手帳機能のほかに,医療辞書や薬剤データ,教科書などの各種データやテキスト類を扱えることをお示ししました.すでに白衣のポケットにPalmがある先生もいらっしゃるでしょうか.医療の現場で使うようになるほど,さらに個人的なデータを扱いたい,という希望をお持ちの先生もいらっしゃるかもしれません. 今回と次回は,そんなデータベース機能についてふれてみたいと思います.まず今月は医者が持つ個人的なデータベースの代表,患者管理ソフトについてです. 1.患者管理ソフトとは今回取り上げる患者管理ソフトというのは,海外ではPatient Trackingというカテゴリーに分類されている,受け持ち患者さんのさまざまなデータを取り扱うソフトのことです.受け持ち患者さんのリストや,それぞれの検査結果,今日や今週の予定その他,患者さんの管理をするうえで必要な各種データを扱うことができます.海外にはPatientKeeperやWardWatchなど有名なソフトがいくつかありますが,日本ではまだまだ立ち遅れている印象があります. 2.PatientKeeper検査結果を含めた,患者さんの細かなデータを管理するのにむいているソフトです.Personal版と上位版のEnterpriseとがありますが,簡単にダウンロードできるのはPersonal版のみです.しかしパソコンとの連携が取れるのはEnterpriseですので,パソコン連携を重視されるのなら,アップグレードについて一度カスタマーサポートに連絡をとられてもよいかもしれません. このPatientKeeperは実に盛りだくさんの機能を持ったソフトです.Webには5万人以上が利用している,と書かれていますが,確かに人気は高いかもしれません.ソフトをインストール後起動すると,さらにいくつかのモジュールをインストールしてから使えるようになります.うまく起動すると,患者一覧が表示されます.
ご覧のように,日本人を漢字かなで登録することも可能です.「Add」をタップして新しい患者情報を加えます.入力可能な項目は,姓名や年齢,生年月日,性別の他に,人種や保険証番号などなど,多岐にわたっています.日本ではおそらく保険証番号を持つ必要がないでしょうから,ここに患者さんのIDを入れておくこともできます. さて,こうして患者一覧に加えられた患者さんについて,このソフトで扱える項目を列記してみましょう.まずMedication Listです.何の薬をどのくらいの量,どんなルートで投与したか,詳細な処方履歴が記録できます. 次にTest Results(放射線や心電図などの結果)とLab Results(各種血液検査結果)があります.生化学データの基本はChem-7です.
過去データの推移をグラフ表示することも可能です.さらにTask Keeperでは,検査その他の予定をまとめ,アラーム設定することが可能です. Problem Listにまとめた問題点をPlan Keeperでどう解決するかまとめ,Procedure Logには実際に行った手技などをまとめます.こうして入力したものは,Patient Summaryを開くと一覧表示されますから,これをもとにサマリーをまとめることも可能です.これらの項目の多くは,画面下に一列のアイコンとして表示されていますが,一番右の「▼」をタップすると,詳細なアイコンメニューが表示されますから,ここから必要なところに移動してもよいかもしれません. このソフトは,あまりに多機能ですから,正直なところ直感的に使うよりも,ざっとでもマニュアルで基本的な知識を持っておいたほうがよいか,と思います.何ができるのか,一通り頭に入れておいたほうが,よりこのソフトの深みを理解できるでしょう.マニュアルはわかりやすく丁寧に作られています. ただし,一人一人の患者さんについてはとても詳しくまとめられ,サマリーを作るのも楽ですが,逆に医者の側からすると,「今日,何をしなくてはならないのか」「今日,何を指示出ししなくてはならないのか」といった病棟管理上のスケジュールやTo Doについてはあまり使い勝手がよくありません. なお最新版では,PatinetKeeper Mobile Clinical Resultsという名称で提供されているようです. 3.WardWatchPatientKeeperで問題になった病棟管理を円滑に行うためには,むしろこちらのソフトのほうがよいかもしれません.このソフトはまさに,受け持ち病棟をウォッチ(管理)するために特化したソフトです.たくさんの受け持ち患者さんがいて,やることが山積みなのにうっかり忘れやすい,研修医その他多忙な医者のためにあるソフトです.データをパソコン上で扱える連携ソフトも公開されています. ソフトの起動画面は,やはり患者一覧です.
このソフトでも患者名を日本語で扱えます.この一覧は担当医(Consultant)別のほか,病棟別,部屋別,疾患別などで並べ替え表示することも可能です. 一覧画面上段にある「New...」をタップすると,患者さん情報の入力画面になります.患者さんの姓名,生年月日,性別のほか,受け持ち医やかかりつけ医,診断名その他が入力できます. 患者情報の入力が終わると,イベント情報の一覧画面になります.ここで「New Event」をタップすると,イベント設定の詳細画面です.例えば検査の予定を立てた場合,まず「New Event」をタップして表示される項目一覧(「Type」の選択)から,「Pathology」を選択します.次に表示される詳細画面で日付を設定して,検査予約ですから「Status」は「To Do」です.「Test/Drug」には「CBC/Chem-7」と入力しておけば,採血だとわかります.「Done」で終了させると,患者別のイベント一覧が表示されます.「Patients」ボタンで患者一覧画面に帰ります. 患者一覧画面で「Events」をタップすると,予定されているすべてのイベントが日付順または患者順に一覧表示されます.
こうして行った検査結果が異常だった場合,「Status」を「Abnormal」に変更して,さらに結果やその解釈コメントなどをまとめて,イベント内容を更新することができます.これによりイベント一覧画面で「Status:Abnormal」で絞り込みを行えば,異常値が返ってきた検査結果を一覧させることが可能です. 以上のように,患者さんの管理を「イベント」という概念でまとめ,経時的に示すだけのシンプルなソフトですが,単純なだけに使い勝手はとてもよくできています. 4.Patient Tracker各種医療関係ソフトを発売しているhandheldmedというサイトが無料公開しているソフトです.ソフトとしては,PatientKeeperと同様に,個別患者さんのデータベースです. シンプルな作りになっていますから,PetientKeeperのように機能山盛りでかえって使いにくい,ということはありませんが,シンプルすぎて必要な情報が抜ける,ということがあるかもしれません.PatientKeeperとこのPatient Trackerのどちらがよいかは,使う人の好みが分かれるところかもしれません.このソフトも,パソコン上でデータ処理ができる連携ソフトが公開されています. 検査値入力画面でCBC(血算)を選択すると,いきなり変な図が出ます.
これはアメリカでは日常的に使う図ですが,慣れないとどこが何のデータかわかりにくいと思います.参考までにどの欄がどの項目なのか,書き足してみました. 現在はHandheldmedのWebからのダウンロードはできないのですが,たとえばTucowsなどから引き続きダウンロードが可能です. 5.HandyMDHanDBaseというデータベースソフト上で動くアプリケーションです.各種検査データの入力はとても簡単・便利なのですが,筆者が確認したバージョンでは,To Doリストなどはありませんでした.検査結果に特化しているソフトなのかもしれません. 作者のWebには,たくさんのスクリーンショットが掲載されていましたが,現在はWebが消失しています.ソフトは現在もHandangoなどからダウンロードして入手することができます. 6.Dragoon以上,ご紹介してきたソフトはすべて海外のソフトです.それでは日本で同様のソフトはないのでしょうか.よく尋ねられる質問なのですが,残念ながら日本ではあまり良いソフトがありません. そんな中で登場したのが,Dragoonです.カルボプラチンの投与量計算ソフトや肺葉切除時の予測術後残存肺機能を計算するソフトなどを公開されてきた河野先生が作られました.ソフトの形態としては,WardWatchに近く,起動した画面は,横軸に8日程度の日にちが表示され,縦軸には採血やレントゲンその他,患者さんの予定を表示した一覧表になっています.
患者さんの予定は,未予約,未実行,実行済みといったように,表示を切り替えられ,一目でわかるようになっています.簡単なコメントも付けられますので,これらの機能を活用すれば,WardWatchよりも簡単で便利なソフトだと思います. 7.その他以上紹介した他にも,Ingenious Med BillsとかMDeverywhere,Mobile MedData,ZapMedなど,いろいろな患者管理ソフトがあります.なかには診療費請求を管理するソフトもあったりして,開業医の先生方には重宝するかもしれません.PalmGearなどで探されてみてはいかがでしょうか. (参考URL) (このページは,雑誌「治療」の連載記事(2004年6月〜2006年3月)をもとに制作されています.このページに含まれるすべてのコンテンツは私的利用の範囲でご使用いただくこととし,無断転載・複製はおやめください.) |
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