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「薬局」2016年4月 Vol.67 No.5

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2016年4月 Vol.67 No.5
妊娠と感染症
母児のリスクとベネフィットを考慮した薬物治療の実践

定価:2,200円(本体2,000円+税10%)

特集の目次

■特集にあたって(谷口 晴記)

■押さえておきたい妊娠と感染症の勘所
・妊婦における感染症の“Susceptibility”と“Severity”(田中 佳世 ほか)
・妊婦で注意すべきリスク因子と対応のポイント(安岡 稔晃 ほか)

■長期的/間欠的な感染症治療中に妊娠を希望する/妊娠した患者へのアプローチ
・結核(永井 英明)
・ウイルス肝炎(室久 俊光 ほか)
・HIV感染症(喜多 恒和)
・繰り返すクラミジア・トリコモナス・カンジダ感染症(岩破 一博)

■TORCH症候群のインパクトと母児管理の最前線
・サイトメガロウイルス感染症(山田 秀人 ほか)
・トキソプラズマ症(石橋 麻奈美 ほか)
・風疹(奥田 美加)
・単純ヘルペスウイルス感染症(土谷 聡 ほか)
・梅毒(野口 靖之)
・ヒトパルボウイルスB19感染症(三浦 清徳 ほか)

■薬物投与によるリスクを考慮した妊婦感染症治療のポイント
・妊娠女性の感染症における治療の有益性と安全性の考え方(濱田 洋実)
・感染症治療薬の母児への影響と薬学的管理の実践(中島 研)

■エキスパートの実践例! 妊婦の重症感染症治療の道筋
・急性呼吸窮迫症候群(遠藤 周一郎 ほか)
・感染性心内膜炎(岩永 直子 ほか)

シリーズ

■「治療」「薬局」合同連載 ポリファーマシー“処方整理力”を鍛える! 第1回
その胃薬って必要ですか?
(矢吹 拓)
■医療マンダラ 〜思考と感性のセンスを磨く〜
信頼できる臨床試験を実施するために必要なもの〜コミュニケーションの改善は重要だが,それだけでは解決にはならない!〜
(中野 重行)
■薬剤師よ,心電図を読もう!
電気軸とは何か?
(大八木 秀和)
■医療従事者のギモンや困ったに答える! トラブルに巻き込まれない著作権のキホン
(服部 誠)

巻頭言

 妊娠は,人類にとって欠かせない再生産・存続の仕組みである.正常妊娠は決して病的な状態ではないが,母体は妊娠期間を通じて非妊娠時とは大きく異なる特殊な生理環境下に置かれる.母体にとって半分異物である胎児が成長するために,免疫寛容を主としたさまざまな妊娠維持機構が存在することが明らかにされている.このような特殊な生理環境下において,母児にとっての脅威であるものの一つに感染症が挙げられる.妊娠と感染症の関係性といっても,多種多様で,古くは衛生面の改善や抗菌薬の誕生によって産褥熱が激減したが,現在に続く細菌感染による脅威,児に重篤な症状を来すTORCH症候群などの脅威,HIVなどの新興感染症による母子感染の脅威,結核やウイルス肝炎などの長期的治療中患者の妊娠による児への影響などが挙げられる.また,妊婦の感染症に対し治療が行われた際,薬剤による児への影響も考慮しなければならない.
 今回の特集では,妊娠と感染症の全体像を把握するために,総論的に妊娠によるダイナミックな免疫系の変化や感染症に対する感受性の変化,糖尿病や歯周病,ステロイドや免疫抑制薬使用中の妊娠などのリスク因子に対する対応のポイントなどを解説していただいた.各論的に慢性感染症といっても過言ではなくなってきたHIV感染合併妊娠を含め結核,ウイルス感染,繰り返す膣感染症など,慢性疾患の妊娠希望者に対する治療や指導および妊娠した際の対応のポイント,TORCH症候群の治療,母子感染予
防対策や患者指導のポイント,また,妊娠中の感染症に対する薬物療法の考え方や薬学的な管理の実践について解説していただいた.最後に,妊婦の重傷感染症治療の最前線について実践的な解説をお願いした.
 本特集は妊娠と感染症に関する基礎から臨床まで,さらに薬剤の影響まで子細にわたる企画はほかにはみられない.執筆陣はこの分野におけるトップランナーの先生方である.本特集が日々の診療に役立ち,日本の医療の向上に役立てれば幸甚である.

谷口 晴記
三重県立総合医療センター 副院長・理事