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「薬局」2015年8月 Vol.66 No.9

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2015年8月 Vol.66 No.9
慢性痛の漢方治療
困ったときの “次なる一手”を極める

定価:2,160円(本体2,000円+税8%)

特集の目次

■特集にあたって(世良田 和幸)
■知っておきたい! 慢性痛のキホン!
・慢性痛の実態と患者に及ぼす影響(新井 健一 ほか)
・慢性痛の発生・維持機構(小川 節郎)
■徹底理解! 慢性痛の漢方治療
・漢方医学的な慢性痛の考え方(世良田 和幸)
・慢性痛の漢方治療“次の一手”(平田 道彦)
■漢方薬を使いこなす! 慢性痛の治療戦略
・変形性脊椎・関節症,椎間板ヘルニア(吉田 祐文)
・慢性頭痛(來村 昌紀)
・舌痛症・三叉神経痛(新美 知子 ほか)
・線維筋痛症・リウマチ性多発筋痛症(藤永 洋)
・複合性局所疼痛症候群(奥田 圭子 ほか)
・帯状疱疹後神経痛(光畑 裕正)
・がん疼痛・がん化学療法に伴う痛み(大木 浩)
■慢性痛に用いる漢方薬の服薬指導(緒方 千秋)
■慢性痛患者の苦しみと向き合う視点:心身医学的見地から(岩城 理恵 ほか)

TOPICS

・DPP-4阻害薬とプラセボとの非劣性試験-リスクがないのか,効果がないのか-
・抗腫瘍活性を高めるための新たな戦略-抗体薬物複合体「ブレンツキシマブ ベドチン」-
・ダプトマイシンの休薬による無症状のCPK上昇対策
・持続皮下インスリン注入療法は心血管系死亡リスクを低下させる

シリーズ

■子どもの皮膚トラブル -薬局・薬店でのアドバイスのコツ-
(山本 一哉)
■目指せ感染症マスター! 副作用・相互作用マネジメントの超実践アプローチ
手術後抗菌薬治療中の低血糖症状
(齊藤 雅明/山田 和範/岸田 直樹)
■がん治療への薬学的介入と症例サマリ
分子標的抗がん薬を併用した大腸がん化学療法への薬学的介入
(藤井 宏典/飯原 大稔/髙橋 孝夫)
■薬剤師よ,心電図を読もう!
モニター心電図と12誘導心電図の関係
(大八木 秀和)
■Pharm.D.を取り巻く医療環境レポート
・外来薬剤師の抗血液凝固薬業務を通してのファーマシューティカルケアの広がり
・モバイルデバイスはどのように薬剤業務を変えるか?
(木村 利美 ほか)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「育薬」という言葉の誕生 ~創薬と育薬,創薬育薬ボランティア~
(中野 重行)
■医療従事者のギモンや困ったに答える! トラブルに巻き込まれない著作権のキホン
(服部 誠)

特集にあたって

 痛みは身体の防御反応の一つともいわれているが,防御反応の域を超えてその原因すら分からない不思議な痛みが存在する.その多くは慢性化し,患者たちはさまざまな医療機関を転々としながら,治療を模索し続けている.原因の分からない痛みに対しては,西洋医学は無力なことがしばしばあり,神経ブロック療法や鎮痛薬,オピオイドなども効果は一時的なことが多く,漫然と治療が続けられていると考えられる.
 一方,漢方治療は,体内を循環していると考えられている「気・血・水」の流れを是正することによって,西洋医学では治療が困難であった神経障害性疼痛などの慢性痛に対して疼痛緩和を得ることができる.漢方医学的な診断を行った上で,環境の急激な変化やストレスなどによって生じる「気・血・水」の滞りや不足により発症する痛みに対して,漢方治療はその症状を緩和することができるのである.漢方医学には西洋医学にあるような,いわゆる消炎鎮痛薬と呼ばれる薬はないが,漢方治療は身体のホメオスタシスを整えることで疼痛を緩和し,さらに西洋医学と相補的な治療を行うことで,慢性痛に苦しむ患者の治療の一助になると考えている.
 今回の企画では,慢性痛に対して造詣の深い,愛知医科大学学際的痛みセンターの牛田享宏先生と日本大学総合科学研究所の小川節郎先生に慢性痛についての基本的な事柄を記していただいた.また,九州で開業されており,痛みの漢方治療の第一人者である平田道彦先生に痛みの漢方的診断法を述べていただき,さらに今,漢方を駆使して痛み治療に専念している7名の先生方にそれぞれの疾患の漢方治療に言及していただいた.この企画が,現在慢性痛にかかわっている皆様,これから漢方薬を勉強したい皆様の一助となれば幸いである.

世良田 和幸
昭和大学横浜市北部病院 病院長