バックナンバー

「薬局」2013年7月 Vol.64 No.8

在庫状況:在庫あり

2013年7月 Vol.64 No.8
臨床現場で実践する!薬学研究のススメ・情報リテラシー:エビデンスを「使う」技術

定価:2,052円(本体1,900円+税8%)

特集の目次

第1特集「臨床現場で実践する!薬学研究のススメ」

■特集にあたって(澤田 康文)
■薬剤師が学術論文を発表する意義(澤田 康文)
■リジェクトされない臨床薬学研究のキホン!
・臨床薬学研究における研究デザインとデータ解析のポイント(大谷 壽一 ほか)
・こんな論文はアクセプトされない!論文の書き方の注意点(青山 隆夫)
・カバーレターの書き方とエディター・レフリーのコメントに対応するポイント(荒木 拓也 ほか)
■実例で学ぶ! 「日常業務」から「論文」にする視点
・調剤業務(大野 能之)
・薬歴管理・服薬指導を発端とした研究(三木 晶子 ほか)
・医薬品の品質と管理(薬剤経済も含めて)(赤瀬 朋秀)
・医薬品の投与法・TDM(深江 真登 ほか)
・医薬品情報・薬剤疫学研究の考え方・組み立て方(後藤 伸之 ほか)


第2特集「情報リテラシー エビデンスを『使う』技術」

■特集にあたって(名郷 直樹)
■EBMの実践:エビデンスの使い方(名郷 直樹)
■知っておきたい! 情報の収集・取捨選択のポイント
・PubMedを使いこなすコツ(福士 元春)
・エビデンスの取捨選択:何を読んで何を読まないか(岩田 健太郎)
■臨床研究の読み方・使い方
・観察研究(松島 雅人)
・介入研究(橋本 淳)
・メタ分析(野口 善令)
■ピットフォール! 臨床研究のココに注意!
・外国人の臨床試験結果を日本人に使う(能登 洋)
・サブグループ解析と患者の個別性(岡田 悟 ほか)
・エンドポイントと幸せ(尾藤 誠司)
・現場の薬剤師はどうEBMを実践しているか(青島 周一)

TOPICS

・利尿薬,RAS阻害薬,NSAIDsの併用は急性腎不全の発症リスクを増加させる!?
・低血糖リスクを軽減する新たなインスリンアナログ製剤に期待!
・ESBL産生菌にセフェピムを使用する際は,セフェピム“S”でもMIC値の確認を!
・新規骨粗鬆症治療薬の併用効果はあるのか?

シリーズ

■目指せ感染症マスター! 抗菌薬処方支援の超実践アプローチ
入院中息苦しさと倦怠感を訴えた患者
(山田 和範/岸田 直樹)
■Pharm.D.を取り巻く 医療環境レポート
・フェニトイン,divalproex sodium,フェノバルビタールの使用に関連した好酸球増加と全身症状を伴った薬疹
・入院患者において標準化された静脈抗菌薬脱感作療法を行う
(木村 利美 ほか)
■徹底理解! 添付文書にある情報・ない情報
(堀 里子/三木 晶子/澤田 康文)
■メディカル・アプリ情報室
肝腎要の腎機能 ―クレアチニンクリアランス推定アプリ― 前編
(渋谷 正則)
■認定薬剤師研修の広場
調剤実務に関する法制度(4)
(菅野 敦之)

「治療」「薬局」「Rp.レシピ」合同座談会

■インクレチン関連薬の登場で新たなステージを迎えた2型糖尿病の薬物治療 第3回
・糖尿病治療における患者指導
(金森 晃/寺内 康夫/厚田 幸一郎)

Report

■お薬相談外来 ― 薬剤師の新規職域開拓―
(大井 一弥)

特集にあたって

第1特集「臨床現場で実践する!薬学研究のススメ」

 平成24年度診療報酬改定において病棟薬剤業務実施加算が新設され,薬剤師によるエビデンスの構築が求められるなか,日本医療薬学会などさまざまな学術大会において臨床薬学研究に関するシンポジウムが行われ,多くの聴講者で賑わっている.このようなニーズがある一方で,一般の科学研究に関する論文の書き方や論文の読み方を指南する書籍などはあるものの,臨床薬学研究を主眼として,その実践までを解説したものはほとんどない.
 そこで今回,薬剤師が研究する意義からその実践までを,わが国を代表する臨床薬学研究のトップランナーの先生方にご解説いただく本特集を企画した.
 まず,薬剤師が学術論文を発表する意義について理解する必要がある.臨床薬学研究を展開し,その成果をもとにした学術論文作成に成功するために,研究デザインとデータ解析のポイント,論文の書き方の注意点,投稿体裁(カバーレターの書き方とエディター・レフリーのコメントに対応するポイント)などをマスターしていただきたいと思う.
 一方で,論文の書き方ついて具体的な実例で学ぶことはきわめて有用である.そこで,「日常業務」,すなわち,調剤業務,薬歴管理・服薬指導,医薬品の品質と管理(薬剤経済も含めて),医薬品の投与法・TDM,医薬品情報・薬剤疫学の分野において「学術論文」に作り上げていく視点をまとめた.
 本企画が薬学研究を実践するうえで参考になれば幸いである.

澤田 康文
東京大学大学院薬学系研究科 医薬品情報学講座 教授



第2特集「情報リテラシー エビデンスを『使う』技術」

 インターネットの登場は,情報へのアクセスを飛躍的に改善した.今では,大学の図書館以上の情報が,職場や自宅から容易にアクセスできる.しかし,情報の収集が容易になった結果,実は情報の海に溺れているだけというのが現実かもしれない.
 その情報の大海原で,医療従事者自身が,「何を信じればいいのかわからない」などという.この発言は,よくよく考えるととても奇妙である.その奇妙さは単純でなく,複雑である.私が思うに,ここには2つの奇妙な点がある.1つは専門家であるべきわれわれですら,情報の海に溺れているという現実である.そしてもう1つは,医療に関する情報は,本来信じるとか信じないとかいう信仰の対象ではないにもかかわらず,医療従事者自身が,信じるか信じないかというような状況に追い込まれていることである.
 この奇妙な状況に対する驚きは,情報が手に入りやすくなったことに対する驚きをしのぐ.この前者の驚きとは,手に入れた論文をいかに使えていないかという驚きである.情報を手に入れるということと,それを読み,解釈し,実際の現場で使うということの間には千里の隔たりがある.その隔たりを少しでも縮めよう,というのが本特集の意図するところである.
 情報の大海原を,楽々と言わないまでも,何とか溺れないように泳ぐことができるようになるため,本特集を片手に泳ぎ始めてみよう.休み休みで結構である.生涯泳ぎ続けることを目標として.

名郷 直樹
武蔵国分寺公園クリニック 院長