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2003年5月 Vol.54 No.5
透析患者への医薬品適正使用

定価:2,052円(本体1,900円+税8%)

特集の目次

巻頭言(北岡建樹)
透析療法の基礎知識(北岡建樹)
透析患者における薬物動態(平田純生)
■透析患者の他科受診における薬物療法のポイント
 感染症に対する薬剤(福井光峰ほか)
 循環器系に対する薬剤(森下義幸ほか)
 血液学的異常に対する薬剤(北本康則ほか)
 代謝異常に対する薬剤(松本 博ほか)
 腎性骨症に対する薬剤(菅沼信也ほか)
 骨・関節障害に対する薬剤(宮崎 滋ほか)
 消化器異常に対する薬剤(柳澤尚紀ほか)
 中枢神経系の異常に対する薬剤(福西勇夫)
透析患者への服薬指導(原田清子)

SERIES

■実際薬学
チーム医療における薬剤業務の新たな展開 8
眼科病棟におけるチーム医療の展開  村中直子/伊賀立二ほか

新連載 添付文書だけではわからない薬の情報 No.1
デュロテップパッチ(大谷道輝)

付 録

第88回 薬剤師国家試験問題と解答(編集部案)

巻頭言

透析療法の基礎知識
 さまざまな腎臓病を原因として年余にわたり腎機能が徐々に低下していく病態を慢性腎不全というが,最終的には尿毒症に陥る.末期腎不全に至ると一般的に透析療法が行われることになる.わが国では慢性透析療法の95%以上が血液透析治療により行われ,残りの5%弱が腹膜透析法(CAPD)により維持されている.最新の報告では慢性透析療法の患者数は22万人と報告されている.慢性腎不全の原因はいわゆる慢性腎炎が最も頻度が高かったのであるが,最近では糖尿病性腎症による末期腎不全が導入の第1の原因疾患に代わっている.高齢者や高血圧に基づく腎障害である腎硬化症の頻度が増加してきているという特徴もある.患者の高齢化に加えて,長期透析患者の増加により複雑多彩な合併症が患者のADLやQOLを不良としている.
 合併症には腎生貧血,血圧異常(高血圧・低血圧),二次性副甲状腺機能亢進症,腎性骨症,透析アミロイドーシス,動脈硬化症,易感染症,全身掻痒症,便秘など多彩な病態が認められる.これらの合併症に加えて,一般的な偶発症もみられることになる.透析治療だけで解決できることはなく,食事療法と共に薬物療法が平行して行われなければならない.近年では腎不全の複雑な病態や合併症に対する薬物治療の進歩があり,期待される薬剤も開発されている.進歩は日進月歩であるが,合併症の防止には,まだほど遠いというのが現状であろう.この結果,多数の薬剤が投与されるが,腎不全・透析患者への薬物投与には注意が必要である.
 多彩な病態の治療を目的に投与される薬物量が多く,投与量を制限しなければならない薬剤や禁忌薬,薬物相互作用が問題になることもある.このような意味から薬剤のエキスパートとしての薬剤師の役割は重要であり,腎不全・透析療法の意味と合併症を理解して,投薬の意味や投与量のチェック,患者への説明などの業務が不可欠となる.
 わが国の透析療法の治療成績は世界一とされているが,これは日々の透析治療に関係するスタッフの労力によることが多いが,近年の患者構成の変化や医療経済の低落が次第に質の低下を招くことが危惧されるようになっている.本特集により透析療法の病態・問題点と薬剤の関係を理解して,日常の業務の一助となるように活用されることを期待したい.

望星病院 院長 北岡建樹