南山堂

カートを見る

RP+

臨床現場で注目されている薬剤や疾患を取り上げ、新人薬剤師には「やさしく」、先輩薬剤師には「くわしく・強くなる」をコンセプトに解説します。薬剤業務の悩みを解消、臨床力も磨けます。

年4回刊:1/4/7/10月の1日発行 B5判オールカラー 定価:1,320円(本体1,200円+税10%)

RP+

臨床現場で注目されている薬剤や疾患を取り上げ、新人薬剤師には「やさしく」、先輩薬剤師には「くわしく・強くなる」をコンセプトに解説します。薬剤業務の悩みを解消、臨床力も磨けます。

年4回刊:1/4/7/10月の1日発行 B5判オールカラー 定価:1,320円(本体1,200円+税10%)

表紙
立ち読み
注文数:

在庫あり

電子書籍はこちら

2017年冬号 Vol. 16 No.1

高齢者が訴えるかぜ症状

ISBN 978-4-525-92171-2

定価

1,320(本体 1,200円+税10%)

岸田直樹/山崎晃憲/山田和範/井齋偉矢/持田鉄平/浅井考介/柴田奈央/中久保 祥/吉田洋子/斉藤美月/嶋﨑眞義/岡崎千栄子/浜田康次/青島周一/桑原秀徳/山本雅洋/澤田覚志

  • はじめに
  • 目次
はじめに
  “かぜ”は救急外来や一般内科外来でもっともよく出会う疾患ですが,その病名が良くも悪くも曖昧に使われていることが多いでしょう.このことにはいくつか理由があります.ひとつは,かぜかどうかは臨床判断であって,医療機関を受診してもかぜを引き起こしているウイルスのほとんどは同定することはできません.よって,本当にかぜかどうかについて,医師は100%確信をもっていないというのが事実です.しかもそのほとんどは自然によくなるのです.つまりかぜはまさに“セルフケア疾患”なのです.そして,ぜひ,薬局の力を貸していただきたい疾患ナンバーワンです.ところが,かぜの判断は意外にわかりにくいと思われている人も多いでしょう.というのも,かぜの大きな特徴は多症状であることです.このことから,どんな症状でもかぜによる一症状の可能性があるようにみえ,かぜを定義してきちんと分類する努力をしていないとなんでもかぜにみえてきます.したがって,かぜは医師にとっても患者にとってもなんともいえない曖昧な疾患となります.
 また,かぜ診療では治療から予防まで明確にエビデンスのあるものがきわめて限られます.特に,かぜ薬を“かぜを引き起こすウイルスに共通に効果のあるもの”と定義した場合には,そのような薬は存在しませんし,もし創ることができたらノーベル賞とも言われます.かぜウイルスに万能な抗ウイルス薬はありませんので,対症療法としてのアプローチは病院と薬局で大きく変わらない印象です.しかし,そんなことは一般の方はあまり知りません.また,対症療法や感染予防グッズ(手指衛生アルコール製剤,マスク,のど飴…)は薬局の方がはるかに充実しているでしょう.「かぜは薬局へ」という流れはこれからの医療経済の問題にも大きく影響します.さらに,抗菌薬が出せない薬局でかぜをみていただくことは,耐性菌増加を食い止める一つの戦略にもなると考えます.ぜひ,力を貸してください.そのサポートをいたします.

総合診療医・感染症医
Sapporo Medical Academy 代表理事
岸田直樹
目次
高齢者が訴える「かぜ症状」に対応するための基本
1.かぜ症状をみる・きく・よむ
 ・かぜ症状をみるポイント
 ・かぜ症状を聴き取るコツ ─3症状チェックのコツと注意事項─
 ・患者情報から「かぜ」の原因をよむ
 ・受診勧奨かセルフメディケーションかの判断
 ・「かぜ」と判断した場合の対応 
2.それは本当にかぜ? かぜ症状に潜む重大疾患
 ・明らかに危険なサイン
 ・症状がはっきりしない,見逃しやすい危険なサイン
 ・危険なサインの伝え方
3.かぜ症状から重症化すると危険な呼吸器疾患
 ・肺炎を見極める
 ・かぜと肺炎の関係
 ・肺炎の重症度を評価する
 ・肺炎の非典型例について
4.インフルエンザによって引き起こされる合併症とその対策
 ・インフルエンザの臨床症状
 ・インフルエンザの合併症
 ・インフルエンザの合併症対策
5.要点整理! かぜ症状に使える漢方薬
 ・高齢者のかぜと漢方薬
 ・階層構造により漢方薬の特徴をつかむ
 ・軽いかぜに無難な選択:桂枝湯
 ・発熱しているのに青白くて冷えている:麻黄附子細辛湯
 ・かぜをひいたようだと思ったらまずこれ:桂麻各半湯
 ・患者さんが「かぜだ」と言うからかぜ:香蘇散
 ・乾燥した咳の出始めに:麦門冬湯
 ・軽い咳がいつまでも取れない:桂枝加厚朴杏仁湯
6.かぜ症状へのOTC薬を適切に扱う判断力と服薬指導
 ・特に注意を払わなければならない高齢者のかぜの訴え
7.ニューキノロン系抗菌薬の「かたち」
 ・なぜ,ニューキノロン系抗菌薬は抗菌活性があるのか?
 ・ニューキノロン系抗菌薬は核酸塩基のニセモノ!?
 ・DNAジャイレース,トポイソメラーゼⅣは何をする酵素?
 ・ニューキノロン系抗菌薬の3つの手
 ・ニューキノロン系抗菌薬の作用機序を詳しく知る必要はあるの? 

高齢者が訴える 「かぜ症状」とおくすりQ&A
 Q1経口抗菌薬を処方する? しない? ポイントは?
 Q2経口抗菌薬選択のポイントは?
 Q3抗菌薬投与の弊害は?
 Q4高齢者の薬物動態学・薬力学的な特徴を考慮した抗菌薬投与のポイントは?
 Q5インフルエンザワクチン接種のタイミングは
 Q6抗インフルエンザ薬の選択は?
 Q7肺炎球菌ワクチン接種のタイミングは?
 Q8高齢者の総合かぜ薬は本当に全ての成分が必要?
 Q9発熱時に解熱薬は必須?
 Q10高齢者に解熱鎮痛薬を選ぶとき注意することは?
 Q11消炎鎮痛薬としてNSAIDsを連用している高齢者に解熱薬を使用してよい?
 Q12解熱薬としてのジクロフェナク坐剤の注意点は?
 Q13鎮咳薬は必要? 他の対処法はない?
 Q14ツロブテロールテープ製剤の高齢者への適切な使用条件は?
 Q15OTCかぜ薬の受診勧奨のタイミングは?
 Q16長引くかぜ,アレルギーとの鑑別は? 抗ヒスタミン薬を選ぶポイントは?
 Q17抗コリン薬やかぜ薬でおしっこが出にくくなるって本当?
 Q181年中PL配合顆粒を処方されている患者にどう対応する?
 Q19認知症で便秘がひどい患者がかぜ薬を求めてきた.どうする? 
 Q20精神科の薬をたくさん内服している患者がかぜ薬を求めてきた.どうする?
 Q21高齢者のかぜ症状による脱水症状を防ぐには?
 Q22うがい・手洗いによるかぜの予防効果は?

処方例から学ぶ! 高齢者が訴えるかぜ症状の対応
case1 かぜ症状を訴えてOTC薬を買いにきた高齢者
case2 85歳女性への抗インフルエンザ吸入剤の処方
case3 基礎疾患をもつ高齢者のかぜ症状

コラム
・「最近咳き込むことが多くなりました」かぜ? 結核!? それとも…?
・高齢者のかぜとニンニク,ニンニク注射
・インフルエンザの裏に隠された疾患を見逃すな!
・ニューキノロン!?
・水素結合のおさらい
・高齢者の腎排泄と薬用量
・抗コリン作用の強弱を予想する
・かぜでドクターショッピングをするのはなぜ?
・高齢者の発熱(熱型)は役に立たない?

Series
・ハマゾン.co.jp 最後の一葉
・エビデンスと実臨床の架け橋~臨床疑問のゆくえ~
 かぜ薬を服用すると認知症になりやすいの?

book review
・Rp.+ レシピプラス特別編集
 速解! 調剤報酬2016-17 (南山堂)
・絵でまるわかり 分子標的抗がん薬 (南山堂)

巻末付録
・医薬品集カスタマイズツール
 抗インフルエンザ薬
カートに追加しました。
お買い物を続ける カートへ進む