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「治療」2016年3月 Vol.98 No.3

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2016年3月 Vol.98 No.3
身近に考えよう 循環器内科の素朴な疑問

定価:2,750円(本体2,500円+税10%)

今月の視点

循環器診療で悩むことは多い
専門医の立場であってもそう思う

 一般論として,循環器疾患は理詰めで考えてもわかりやすい(心臓は単純な臓器だ).しかも,比較的エビデンスの集積がリッチな分野でもある.それゆえに日常的な疑問点に対する回答が得られやすいはずなのだが,これが実はピットフォールで,よく働き盛りの若手医師が「認めたくない若さゆえの過ち」へと突っ走っていることがある.
 この領域では,理屈っぽく病態生理だけを追っても,杓子定規にエビデンスを当てはめるだけでもうまくいかない.今回選定したトピックは,そのことを踏まえて,実際に募集した疑問を一捻りし,そうしたギャップを炙り出すように(つまり,あえて答えにくいように)作成させていただいた.
 イジワルなようだが,自分としてもどのような回答が得られるのか楽しみにしながら原稿を待たせていただいた.そして,結果として限られた誌面のなかにも非常に多彩な回答をいただき,読者の方々にはこの特集を通じて循環器内科の「今」を体感していただけるのではないかと考えている.
 こうした趣旨の本特集であるが,その内容を読者の方々の明日からの診療に少しでもお役立ていただければ幸いである.

[編集幹事] 慶應義塾大学 循環器内科/KICS事務局  香坂 俊

 総合診療,家庭医療,プライマリ・ケアの現場では心疾患の既往症例や,循環器疾患を伴う症例を多く診療します.特に日々進歩する循環器領域の診断・治療をプライマリ・ケアの現場で,どのように行うかは課題です.
 そこで,家庭医療科,総合診療科,総合内科やプライマリ・ケアに携わる先生方にアンケートを取り,循環器疾患についての質問をまとめました.そして,循環器内科医としてご活躍している香坂俊先生に編集幹事をお願いし,専門医の先生方にご回答していただいたのが本特集です.日常の素朴な疑問や,モヤモヤと不全感を抱いていることへの解決に繋がればうれしく思います.
 最後になりましたが,急なお願いにもかかわらずご協力いただいた香坂先生,そして疑問を出すのにご協力いただいた皆様,南山堂編集部の皆様に感謝の意を表して巻頭言とさせていただきます.

[編集幹事] 鉄蕉会 森の里病院 総合診療科/亀田総合病院  金城謙太郎

特集の目次

■検査①:心電図
アメリカのガイドライン(USPSTF)では,無症状でリスクのない成人には心電図をとることは推奨せず,中等度やハイリスクの方であったとしても,現状ではデータ不十分であるとしています.その意義をどのようにお考えですか?日本では,健常人でもかなり広い範囲で心電図をとることが推奨されているようですが…….(名郷直樹)
健康診断で心電図異常を認めた際,どのような所見がある場合に専門医に依頼すべきでしょうか? たとえば,期外収縮でも紹介すべきですか? 脚ブロックやR波増高不良,Brugada型心電図などで悩むことが多くあります.(久松隆史)

■検査②:心エコー図
一般内科医であっても,救急の場などで活用できる簡便な心エコー図検査のやり方はありますか?また,心不全や心筋梗塞などの疾患を診断するコツなどがあれば教えてください.(柴山謙太郎)
心エコー図検査の定期的なフォローが必要なのはどんなケースでしょうか?弁膜症,心不全,そして心筋梗塞後のフォローといったことについてはどうですか?また , そのエビデンスなどはありますか? (馬原啓太郎)

■血 圧
高血圧と診断された場合,まず推奨されるのは生活指導かと思いますが,これはどの程度の期間でモニタリングしていくものでしょうか?また,外来での生活指導のコツなどがあればご教示ください.(伊東 剛)
アメリカで降圧薬のファーストチョイスは人種,金銭面からサイアザイドだといわれていますが,日本でもファーストチョイスになり得ますか?よく聞くのは,利尿薬は効果が弱いということと脱水になったりする可能性があるとのことですが,実際にはいかがでしょう? (長田 潤)
ヨーロッパではACE阻害薬やARBが頻用されているようですが,やはりACE 阻害薬のほうがエビデンス的にはよいのでしょうか?空咳の副作用を考えると判断に迷いますが,ACE阻害薬を開始した場合,何日後くらいに副作用の確認をされていますか? (張 彦彬)
無症候性の高血圧緊急症(いわゆるhypertensiveurgency:収縮期血圧180mmHg以上など)であったとしても,ある程度急いで血圧を下げるべきと考えます.ただ,急激な降圧はよくないとされているので,具体的にはどのような薬を出して,どのようにフォローするのがよいでしょうか? (小畑礼一郎)
早朝高血圧に対して,半減期が長い降圧薬を朝食後服用から夕食後に変更することに意味がありますか?こうした高血圧の長時間計測による分類はどのようにして行い,実際にはどういった治療をすべきでしょうか? (江口和男)
高齢者の高血圧の降圧基準にエビデンスはありますか?HYVETという臨床試験があったかと思いますが,その試験の結果だけを頼りに処方や基準を決めていってよいものでしょうか? (石井伸弥)
降圧薬を処方するときに,「一生内服することになるんですよね?」とよく聞かれます.やめられるケースなどはあるのでしょうか?エビデンスがあればご紹介ください.(中谷英章,他)
白衣高血圧,仮面高血圧の診断はどのようにされていますか?また長期的にみて,高血圧になるリスクは高まると聞いているのですが,プライマリ・ケアの現場でどう対応していくべきでしょうか?降圧薬は使用すべきですか? (村松賢一)

■不整脈①:発作性上室性頻拍
救急外来やクリニックなどで,ショックや心不全ではないけれども,明らかな症状のある発作性上室性頻拍を治療する際のコツはありますか?どういうタイミングで帰宅させてよいのかで悩みますが,1度は専門医に診てもらってからのほうがよいですか? (稲川浩平,他)
慢性期の発作上室性頻拍のコントロールに関する注意点や,ベラパミル(ワソラン),ピルジカイニド(サンリズム)頓用,β遮断薬の処方などについて,どのように使い分けていくべきか,アドバイスをお願いします.(栗田康生)

■不整脈②:ペースメーカー
ペースメーカーの電池交換期限について,本当に電池が切れてしまう真のデッドラインはどれくらいですか?指定された日に行けない場合(金銭面,介護してくれる人が会社を休めない,離島で船が出ないなど),どの程度の猶予を与えるべきでしょうか?その他,こうしたデバイスの管理で気をつけるべき点を教えてください.(神吉秀明)

■心房細動,抗凝固薬,抗血小板薬①:心房細動
心房細動に,あえてリズムコントロールをしたほうがよい場合とはどんな症例ですか?さらに,そのリズムコントロールのなかで,アブレーションまで考慮すべきなのはどのようなときでしょうか? (山根禎一)
無症状の心房細動発作に対しても,絶対にレートコントロールすべきですか?「心不全防止のため」として,β遮断薬やベラパミル(ワソラン)が処方されている例がありますが,その根拠はどんなものでしょうか? (杉崎陽一郎)
CHADS2で1点の心房細動や発作性心房細動でも,“本当に”抗凝固療法は行うべきでしょうか?また,出血のリスクが高い方,たとえば高齢者で転倒のおそれがある場合にも,抗凝固薬を導入したほうがよいでしょうか? (上月 周)
抗凝固療法をやめなくてはならないとき,何か目安はありますか?たとえば,寝たきりの高齢者,あるいは侵襲的手技や手術を行う場合など,さまざまなケースがありますが,そういったときに考えるべき具体的なポイントをご教示ください.(百瀬裕一,他)

■心房細動,抗凝固薬,抗血小板薬②:ワルファリン,NOAC
ワルファリン(ワーファリン)から NOAC に変更する必要があるようなケースはありますか?また,各 NOAC について,こまごまとした注意点を教えてください.たとえば,APTT やPT-INRを測定する意義はあるのでしょうか? (三好俊一郎)
ワルファリン(ワーファリン)を外来で導入することについてどう思われますか?外来で導入する場合のやり方として,初期量(とくに高齢者),血液検査・通院の頻度(月1回でよいのか),患者への説明で気をつけることはありますか? (安藤崇之)

■心房細動,抗凝固薬,抗血小板薬③:経皮的冠動脈形成術後の抗血小板薬2剤併用療法
かかりつけ患者が経皮的冠動脈形成術(PCI)を行い,抗血小板薬2剤を導入されて再来しました.いつまで抗血小板薬を継続するかに関するコンセンサスはありますか?また,心房細動がある場合など,抗凝固薬はどうすればよいでしょうか? (大家理伸)

■心不全①:診断
高齢者の心不全の診断は,非専門医が外来でどのように行うべきでしょうか?問診,体液貯留の見分け方,BNP値などを含めて,注意点やコツをご教示ください.(内藤広太郎)
慢性心不全ステージA(危険因子のみ)の方に対して,どのような検査をしていけばよいでしょうか?心エコー図検査施行のタイミングは?また,治療のオプションにはどのようなものがあるでしょうか? (長友祐司)

■心不全②:治療
心不全にβ遮断薬を導入すると予後がよくなるといわれていますが,どの薬をどれくらいの量から開始し,どの程度の診察間隔で投与量の調節をしていますか?また,喘息+心不全の患者には,β遮断薬は使用すべきでしょうか? (眞野恵範)
心不全にカルペリチド(ハンプ)を使用する強いエビデンスはありますか?効果はあるように感じますが,実際にはどういった場合に使用していらっしゃいますか?また,予後は改善しないという文献を読んだのですが,本当はどうなのでしょう?(木田圭亮)
心不全(ループ利尿薬,アルドステロン拮抗薬導入済み)増悪で入院された方に対して,トルバプタン(サムスカ)が開始されることがあります.トルバプタンは電解質の調整などのために,入院しないと導入・再開ができないそうですが,ほかにはどのような注意事項がありますか? (小浦貴裕)
心エコー図検査でEF正常のケースにおける心不全の診断について教えてください.また,具体的な治療としては,どのようなことをされているのでしょうか?(武井 眞)
心不全患者へのアドバンス・ケア・プランニング(AdvanceCarePlanning:ACP)はどのようにしたらよいでしょうか? (関根龍一)

■弁膜症
成人の心雑音を聴取した場合,どのような心音だと循環器的な検査を施行すべきで,どういったときは不必要だと判断しますか?たとえば,収縮期雑音から大動脈弁狭窄症を疑ったとして,すべての患者に初回でスクリーニングとしてエコー図検査を行いますか?(赤石 誠)
学校検診などで小児の心雑音を聴取した際,無害性心雑音と病的心雑音を判別するコツを教えてください.また,どのような場合に循環器専門医に紹介すべきでしょうか?(大木寛生)
弁膜症ごとの診療のコツ(予後改善,低侵襲治療を含めて)や,紹介のタイミングについて教えてください.最近,いろいろなデバイスが開発されていると聞いていますが,それによって変化したことなどはありますか? (佐藤宏行)

連載

すんなりわかる
実践! 身近に考えよう 循環器内科の素朴な疑問 ─ 心房細動における NOAC の使い方─ (福井 悠)

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【制度の知識編】在宅医療を受けられる場所はどこ!? (永井康徳,他)

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心楽しく働くにはどうしたらよいか?? 信念対立解明アプローチ入門(17)
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