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「治療」2014年1月 Vol.96 No.1

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2014年1月 Vol.96 No.1
へき地医療を考える
日本のへき地を支えるプライマリ・ケア医の重要性

定価:2,750円(本体2,500円+税10%)

今月の視点

 へき地医療に対する明確な定義はありませんが,一般的には交通が不便で人口減少と高齢化が進行しているへき地で展開される医療のことを指します.
 専門医や研修医の多くは,専門分化した都市の大病院の医療で活動しており,へき地の医療はそこからはみえません.都市部と比較して,へき地に関する情報ソースも限られています.しかし,へき地医療研修を終えた研修医の感想として「イメージと異なった」,「興味深い」,「面白い」,「先駆的」といった感想が多く寄せられます.都市部ではへき地医療の負の幻想が独り歩きしているのではないでしょうか.
 近年,地域の医師不足を解消する目的で,全国の67大学の医学部に地域医療枠が設けられ,いまや医学部定員8,923人のうち1,171人,約10人に1人が地域枠での入学者です.このようにへき地や地域での研修が注目されています.
 へき地では,人口や行政の規模が小さく,医療者が少ないことをアドバンテージとし,さまざまな試みがなされています.顔がみえる関係を構築しやすく,多職種の連携には最適です.この連携をもとにした「保健から医科や歯科,そして介護へのシームレスな関係を提供する地域包括医療・ケア体制の構築」,そして「医療介護施設を結ぶ地域連携パスの導入」,「行政とタイアップしたワクチン接種事業」,「地域住民とともに創る医療の再生」,「各地をインターネットで結び,勉強会での学びの場の創出」,「地域医療の経験を東北地方の被災地域の復興に役立てる試み」など,へき地での取り組みをあげればきりがありません.さらには,その土地のアドバンテージを学ぶためにへき地や地域を研修の場として選択する研修医も現れています.
 私自身,地域で仕事をしていて「なかなかいいぞ!」と感じます.今回の特集を通して,地域の現状に少しでもご興味をもっていただければ幸いです.
 今回の企画に当たり,ご多忙にもかかわらず快くご執筆を引き受けてくださいました先生方に心より感謝いたします.

中桶了太 長崎大学病院へき地病院再生支援・教育機構平戸臨床教育拠点 准教授

特集の目次

今月の視点(中桶了太)

■総 論
地域を支える地域包括医療・ケア─へき地医療,それは地域包括ケアシステムの源流─(押淵 徹)

■地域医療の現状
離島医療の現状と将来─長崎県の離島の経験から─ (八坂貴宏)
農山村部の地域医療(由井和也)
地域の周産期医療─離島の周産期医療の現状─(加藤一朗)
地域での在宅看取りについて(中村伸一)
地域の医療機関の連携─地域連携パスの活用─ (大原昌樹)

■専門職連携教育
地域枠入学制度と地域医療教育(前田隆浩)
地域医療を多職種で教える─多職種間連携教育(IPE)─ (吉村 学)
地域における医科・歯科連携─住民の健康維持と咀嚼および歯科分野との関係─(南 温)
地域で医師を育てる(平井愛山)
インターネットを活用した地域での学習─ネットワークカンファレンス『プライマリ・ケアレクチャーシリーズ』─ (木村眞司)
僕が高知県が世界一になれると考える 4 つの理由(伴 正海)

■保健・行政
北海道の幌加内町でのワクチン公費全額助成導入と啓発活動(坂西雄太 他)
小値賀町での肺炎球菌ワクチン導入と,その医療経済的効果(今立俊輔)
住民が守り育てる─福井県高浜町での民・官・医の協働─ (井階友貴)
市民大応援団(金丸吉昌)

すんなりわかる
実践!へき地医療を考える(小林 只)

■災害と地域医療
大震災と地域医療─災害時に求められる地域医療─(大橋博樹)
震災地で地域医療が果たす役割(長 純一)

Series

「治療」「薬局」合同企画
データで読むクスリ(浜田康次)

医者のストレス,患者の不満(13)
再び医療否定本(寺本研一)

私たちはこんな世界を生きている─アスペルガー症候群の当事者研究─(4)
就職難の実態(20 代,男性)

Contribution

臨床経験
簡易懸濁法に基づく内服抗がん薬の適否判定:テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合薬(比知屋寛之 他)
臨床経験
抗うつ薬(パロキセチン塩酸塩)における後発医薬品間の簡易懸濁適応性の比較検討(比知屋寛之 他)