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腹痛,腹部膨満感,便秘,下痢などの症状の原因疾患として最も多いのは過敏性腸症候群であろう.正確な患者数は明らかではないか日本人では10〜15%の有病率で患者数は1,200万人を超えるのではないかともいわれている.先進国で有病率が高くアメリカでの患者数は約6,000万人との報告もある.
多彩な消化器症状だけでなく他臓器によると思われる症状を伴うこともある.またほとんどの年齢層でもみられる疾患であることも加わり,診断・治療に携わる診療科が大変多くなっている.消化器内科,総合内科,総合診療科,心療内科,精神科,小児科などが診療を行っている.
治療法も食事,運動,薬物,カウンセリング,鍼灸療法など多くが試みられている.生命を脅かすような疾患ではないがQuality of life(生活の質)が大きく下げられている患者も多く,この疾患による症状のため仕事を休む人も多く,大きな社会的損失になっているとの報告もあり,現在よりよい効果的な治療法が望まれている.いくつかの診断基準があるが,世界で最もよく用いられているものの1つにRomeⅢ基準があり,いくつかの病型分類がなされているが,果たしてこれらのすべてが同じ原因であり,同じ疾患であるかは明らかとなってはいないであろう.
今回いくつかの観点から過敏性腸症候群について解説していただくとともに,さまざまな診療科の先生方にそれぞれの立場から過敏性腸症候群の特徴,診断・治療について教えていただくことにより,日常の診療に役に立つだけでなく過敏性腸症候群を1つの疾患群と考えてよいのかどうかもみえてくるのではないだろうか.
川名一朗 横浜市立大学附属病院消化器内科 准教授
今月の視点(川名一朗)
■総 論
過敏性腸症候群の疫学 ―日本の疫学を中心に―(川島耕作,他)
■診 断
診断基準(水田陽平,他)
■病型分類
下痢型(稲森正彦)
便秘型(中島滋美)
混合型(天野智文)
■治 療
ガイドラインに基づく治療方針(多田育賢,他)
食事療法(稲富 理,他)
薬物療法(西澤俊宏,他)
漢方療法(武田宏司)
精神療法(山口 力,他)
鍼灸療法(松本 淳,他)
■それぞれの診療科の立場から
消化器内科(眞部紀明,他)
総合診療科(吉江浩一郎)
心療内科(網谷真理恵,他)
精神科(松島英介)
小児科(小林穂高)
すんなりわかる
実践! 過敏性腸症候群の診かた(茂木恒俊)
よりよい医院経営(80)
日本医療を見直す ―医療鎖国を考える―(中田健夫)
再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(55)
自家培養線維芽細胞によるアンチエイジング(蛯沢克己,他)
何が正解? 消化器治療 EBM で検証(80)
慢性膵炎とアルコール摂取,喫煙(川名一朗,他)