バックナンバー

「治療」2010年2月 Vol.92 No.2

在庫状況:在庫あり

2010年2月 Vol.92 No.2
不定愁訴に立ち向かう 何とかしてあげたいけれど…限られた外来時間でどう対処する?

定価:2,484円(本体2,300円+税8%)

今月の視点

何らかの自覚症状を訴える患者が,医師に「そんなはずはない」,「ありえない」,「見たことがない」と相手にしてもらえなかったという話を外来で耳にする.目の前の事実を否定するものである.また,「検査で異常がなかったから気にしなくてよい」と医師にいわれ,それでも存在する自覚症状に対してどうしたらよいかと尋ねたところ,「身体の問題ではないから気になるなら精神科へ行け」と精神科を紹介されてしまったといってくる患者もいる.
確かに,われわれ医師も,対応に困るケースに対し,逃げ口上で上記のようについ口走ってしまったことはないだろうか?
先日,とある内科医のメーリングリストに「疲労度を測定するマーカー」が知りたいという文面が載った.血中の乳酸を指標にスキューバダイビングのインストラクターで測定したところ,ダイビング後は予想に反して乳酸が減少する傾向も見られたということで,マーカーが必要となったようである.本誌の原稿の締め切りまでに出た回答は,運動強度,カテコラミン,CK,ミオグロブリン,感情プロフィールなどはどうかというものであった.「疲労」はまさに主観である.統計処理で自覚症状と血液中の分子の相関を示すことはできるかもしれないが,客観的な指標と自覚症状に解離のある個々のケースもあるはずである.あげられた指標で主観を評価できそうなのは感情プロフィールくらいであった.
しかしながら,もし,「疲労」を評価できたとしても,「疲労」を主訴にして来院した患者で,疾患を特定できなかった場合はどう対応するのだろうか?
こういったケースは,「疲労」に限ったことではない.「疼痛」,「冷え」,「肩こり」などの不定愁訴で,原因が特定できず外来で対応に苦慮するケースに関し,本誌が少しでもお役に立てればと考え,本特集を組んでみた.不定愁訴を訴える患者が一人でも多く救われることを願っている.

川嶋 朗 東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所自然医療部門 准教授

特集の目次

今月の視点(川嶋 朗)

■総論
不定愁訴とは(川嶋 朗,他)
MUS(medically unexplained symptoms)-心療への扉となるもの-(宮崎 仁)
Patient-Reported Outcomes(PRO)をどのように評価し,活用するか?(佐藤恵子 他)
慢性腰痛は不定愁訴?-腰痛のEBM を追求するとNBM になる-(菊地臣一)
心身連関領域の不定性(平澤伸一)

■コミュニケーション
心身医学的アプローチ(竹林直紀)
臨床心理士からのコミュニケーション・アドバイス-こころとからだの声を聴く-(三上英子,他)
看護師からのコミュニケーション・アドバイス(久米美代子)
コーチングの技法(鱸 伸子,他)

■主に漢方でのアプローチ
疲 れ(伊林由美子,他)
肩こり・腰痛・関節痛(関 隆志)
食欲不振(川越宏文)
冷え・のぼせ(渡邉賀子)
痒み・しびれなどの難治性知覚異常(仙頭正四郎)

■知っておきたい治療戦略
鍼灸/ あん摩・マッサージ・指圧(向野義人)
柔道整復術(久米信好)
植物療法(ハーブ・アロマ)(林 真一郎)
音楽療法(板東 浩,他)

■巷の○○法を斬る!
ダイエット方法レビュー -低炭水化物ダイエットから健康食品まで-(蒲原聖可)
スポーツ医学・運動療法レビュー -運動の健康への効果-(金森雅夫,他)
無資格の施術(整体・カイロプラクティックなど)レビュー(竹谷内克彰)

Series

温故医新(2)
音楽と治療(小酒井光次 著)から思うこと(川嶋 朗)
→当時の論文を全文閲覧できます(PDF:135KB)

医療ポライトネス・ストラテジー(2)
心理・社会的問題を抱えた患者との医療コミュニケーション(早野恵子)

よりよい医院経営(60)
患者が集まる医院創り(高橋俊一)

Doctor's career 医師の多様なキャリアを紹介!(6)(中田健夫)

再生医学のいま -基礎研究から臨床への展開に向けて-(34)
再生軟骨を用いた顔面の再建(矢永博子)

何が正解? 循環器治療 EBM で検証(46)
安定型冠動脈疾患の最適な治療はPCI か,CABGか,OMTか?(石上友章,他)

ヒポクラテスが教える病名のない病理学(25)
関節疾患・脱臼(中島旻保)

Contribution
発症後18年で社会復帰した慢性疲労症候群の1症例(班目健夫,他)