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 ジェネラリストが
「いま」必要な情報を届ける雑誌

月刊:毎月1日発行 B5判 定価:2,750円(本体2,500円+税10%) ISSN 0022-5207

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2021年12月 Vol. 103 No.12

インフォデミックと向きあう

定価

2,750(本体 2,500円+税10%)

  • 今月の視点
  • 特集の目次
  • 連載
今月の視点
パンデミックとSNSと私

 パンデミックという言葉を最初に知ったのは,いつの頃だっただろうか.医学部での公衆衛生の授業だった気もするし,ひょっとしたら歴史関連の文章を読んでいたときかもしれない.認識不足といわれても仕方ないが,私がパンデミックという言葉を知った当時,それは歴史上の事件に属する話だった.
 私自身が医師として最初に体験したパンデミックが2009年のA(H1N1)pdm09型インフルエンザである.この頃はまだFacebookもTwitterも十分普及しておらず,そもそもCOVID-19に比べると社会的影響が大きくなかったこともあり,SNSが活躍する機会はあまりなかったと記憶している.
 SNSについては,むしろ2011年の東日本大震災での印象が強い.電話がろくに通じないなか,家族や友人,同僚たちの安否情報はメールやSNSで確認した.いままでで最もSNSに感謝した瞬間である.被災地からの情報発信やデマの拡散など,振り返ってみると現在のインフォデミックの萌芽もこの頃すでにあったように思う.
 COVID-19パンデミックは,SNSの時代を象徴する事態となっている.専門家自身がSNSやブログ,ニュースサイト,動画サイトなどから積極的に情報を発信したことで,われわれは数々の有用な知見をいち早く入手できるようになった,同時に,誤情報やミスリード情報も出回ることで,情報の取捨選択により高いスキルを要求されるようになり,またそれらの情報を信じる一部の人々(医療者を含む)の行動に悩まされるようになった.
 インフォデミックについていち早く警鐘を鳴らした世界保健機関(World Health Organization:WHO)は,インフォデミックマネジメントとして4つの活動を推奨している1).
● 地域の関心事や疑問に耳を傾ける.
● リスクや専門家のアドバイスに対する理解を促進する.
● 誤った情報からのレジリエンスを高める.
● 地域社会が積極的に行動できるように支援する.
 本特集「インフォデミックと向き合う」では,情報発信や分析,コミュニケーションに卓越した著者の方々にご参集いただいた.かつてはパンデミックを他人事として捉えていた私自身が,この特集から多くのことを学びたいと思う.

参考文献
1) World Health Organization:Infodemic
https://www.who.int/health-topics/infodemic#tab=tab_1

〔編集幹事〕
川崎医療生活協同組合 久地診療所/日本プライマリ・ケア連合学会 COVID-19対応プロジェクトチーム
喜瀬守人
特集の目次
■新型コロナを中間総括する
医療現場でインフォデミックと向き合う─日本プライマリ・ケア連合学会の取り組み─ 喜瀬守人
COVID-19「インフォデミック」SNSは医療健康情報をどう変えたか 市川 衛
世界の新型コロナ/ ミスインフォメーションのいま 古田大輔

■インフォデミックに向きあう
臨床現場で─メディアの誤った情報を信じ込んだ人にどう対応する?─ 天野雅之
コロナ禍における情報発信 忽那賢志
ファクトチェックの現場 籏智広太,千葉雄登
外国人にも伝わりやすい「やさしい日本語」─ 理解や聴こえに困難を抱える方々への情報保障─ 武田裕子
インフォデミック─問われた報道のありかた─ 近藤誠司

■医療者がいかに「無関心層」へ情報を届けるか
SNS 医療のカタチにおける取り組み 大塚篤司
みんパピ/こびナビの運営 木下喬弘
Twitter の特色と情報発信ツールとしての有用性 山本健人
書籍/ドラマ─ 医療リテラシーが高くない人への情報発信─ 中山祐次郎
YouTube ─情報砂漠のオアシスを目指して─ 髙橋怜奈
メディアと医療者との共同─ TV 出演する専門家はどう決めてる?─ 吉田拓也
連載
ゲンバで使える!リラックスして読める! 診療の○泌テク(24)
泌尿器科診療とプライマリ・ケア(松木孝和)

頑張る女性をサポートする漢方処方プロセス(7)
イライラ(谷川聖明)

総合診療POEMs ─ 診療で使える!旬なオススメ文献─ (5)
変形性膝関節症の治療─ リハビリ? それとも関節内注射? ─(橋本 萌,田邉紗代,横田修一)
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