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「治療」2021年3月 Vol.103 No.3

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2021年3月 Vol.103 No.3
女性医療の「困った」を乗りきる

定価:2,750円(本体2,500円+税10%)

今月の視点

専門分化された医療体系の狭間で見落とされてしまう女性のケア

 実臨床では「困った」と思うことが多い.困って受診する患者に対して,苦笑いしながら「困った……どうしようね……」と返すこともある.自分が苦手とする領域の診療ではなおさらだ.
 これまで女性診療に関するプライマリ・ケア医向けの書籍や医学雑誌は多く出版されてきた.いずれの出版物も,プライマリ・ケアの現場ではすぐ手の届くところに置いておきたいほど実践的な内容になっている.
 そのなかで今回の特集を組んだのは,総合診療科と産婦人科の両方での診療経験を通して「専門分化された医療体系の狭間で見落とされてしまう女性のケア」について筆者自身思い悩んできたからである.とくにそのような対象となるのが,生活困窮者,暴力の被害者,メンタルヘルスが不安定な女性,未成年者や意思決定が困難な女性などであり,必要十分か,ケアが適切に提供できているのかどうか不安になる.本特集の「こんなときどうする!? の実践例」では,このような困難事例における女性の健康支援についてわかりやすく紹介されている.
 また,「産婦人科専門医にすぐに診てもらえない状況を想定して,プライマリ・ケア医としてどう対応するのか?」という視点から総合診療専攻医と症例を振り返りながら,産婦人科専門医との連携の在り方や女性診療の質の担保についてこれまで考えてきた.この経験から,女性診療における基本的で修得しておきたい診察技術の解説を「産婦人科医へのアクセスが悪いときでもできること」として取り上げた.
 この特集が,プライマリ・ケアチームのなかで共有され,1人でも多くの女性の健康支援に活かされることを願ってやまない.
 最後に,今回の特集への取り組みに御快諾して頂いた南山堂編集部の皆さま,各項目に対して学術的な視点から臨場感あふれる執筆をしていただいた先生方,特集内容についてさまざまなご提案をいただいた方々に心より感謝したい.

〔編集幹事〕森町家庭医療クリニック/浜松医科大学 産婦人科 家庭医療学講座
鳴本敬一郎

特集の目次

■こんなときどうする!? の実践例
貧 困 西村真紀
女性のヘルスリテラシー ─医療者が意識したいポイント─ 三浦弓佳、井上真智子
メンタルヘルス 中山明子
意思決定が困難な女性へのケア 岡田唯男、池田裕美枝
IPV 池田裕美枝
未成年女性への低用量ピル処方や医療行為について 柴田綾子
プライマリ・ケアにおける HPV ワクチンに関するコミュニケーション 城向 賢
子宮頸がん検診 遠藤美穂、鳴本敬一郎
乳がん検診 ─ハイリスク群に対するアプローチ─ 鳴本敬一郎、岩泉守哉
LGBTQs/SOGI 吉野一枝
働く女性の健康支援 柴田綾子

■産婦人科医へのアクセスが悪いときでもできること
腟鏡診と子宮頸部細胞診の基本的手技 髙村一紘
BLSO(Basic Life Support in Obstetrics)を知る 伊藤雄二
経腹超音波検査:コモンな婦人科疾患 髙村一紘
妊娠可能な年齢での急性腹痛 篠塚仁貴、水谷佳敬
著しい性器出血 栗原史帆、水谷佳敬

連載

ゲンバで使える!リラックスして読める! 診療の○泌テク(15)
女性の排尿時痛について(松木孝和)

今月のお薬ランキング(60)
甲状腺疾患治療薬(浜田康次)

臨床と宗教 死を臨む患者に私ができること(2)
現代の宗教観と臨床宗教師のあり方 (孫 大輔,森田敬史)

ジェネラリストのためのLGBT講座(12)
トランスジェンダーのケア ─一般の医療セッティング,紹介のタイミング─ (坂井雄貴)