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治療

 ジェネラリストが
「いま」必要な情報を届ける雑誌

月刊:毎月1日発行 B5判 定価:2,750円(本体2,500円+税10%) ISSN 0022-5207

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ジェネラリストが
「いま」必要な情報を届ける雑誌

月刊:毎月1日発行 B5判 定価:2,750円(本体2,500円+税10%) ISSN 0022-5207

2020年8月 Vol. 102 No.8

Nuts and Bolts of

Public Health × 総合診療

定価

2,750(本体 2,500円+税10%)

  • 今月の視点
  • 特集の目次
  • 連載
今月の視点
総合診療の学問的基盤

 少し以前ですが,西内 啓さんの書籍「統計学が最強の学問である」(ダイヤモンド社, 2013年)とその関連書籍がベストセラーになりました.これにあやかり,本特集では「public healthがジェネラリストにとって最強の学問である」と主張してみたいと思います.
 新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,期せずして公衆衛生というワードがメディアを賑わす頻度が増えました.しかし「公衆衛生(public health)」を改めて自分の言葉で語れといわれると,なかなか難しいのではないでしょうか.日本における「公衆衛生」は歴史的な経緯もあり,本来のポテンシャルより狭いイメージで捉えられてしまっています.日本語の公衆衛生と完全にイコールではない(次の項目でもう少し詳しくご説明します)ものの,欧米諸国においてpublic healthは臨床医にとっても役に立つ学際領域として確固たる地位を確立しています.
 自分自身の後期研修医時代に,本特集の共同編集幹事でもある恩師の岡田唯男先生からいわれ記憶に残った言葉があります.「ジェネラリストにとってpublic healthは学問的基盤になりえるんですよ」.10年以上が経ち,アメリカでpublic healthを学ぶ機会を持ち,改めて日本でジェネラリストとして臨床・教育・研究に携わるなかで,この言葉がいまは深く腹落ちしています.
 本企画のタイトルにある「nut:ナット」,「bolt:ボルト」は家具や建物などの留め金として利用されるものであり,物を組み立てる基本的な部品を意味します.この特集テーマは人によっては,あまり取っつきやすくないかもしれません.ですので要点を絞りつつ,読み終わる頃にpublic healthのnuts and boltsを掴んでいただけるよう工夫したつもりです.前半でpublic healthの基本5領域のオーバービューと,そのジェネラリストらしい実践例を,後半は全国のロールモデルの紹介と,public healthを学ぶキャリアの紹介をしていきます.興味の湧く章から順不同でもよいと思います.味わっていただければ幸いです.

[編集幹事]聖マリアンナ医科大学/川崎市立多摩病院 総合診療内科
家 研也
特集の目次
総合診療とpublic health,接点はどこに?(家 研也)

■学問分野としての public health 概略
epidemiology─疫学(金子 惇)
biostatistics─統計学(市川周平)
environmental health science─環境健康科学(花里真道,他)
health policy and management─医療政策管理学(小西竜太)
social and behavioral science─社会・行動科学(武田裕子)

■cross-cuttingな実践例:臨床医とpublic health
ポピュレーションアプローチの実際 ─福井県高浜町での介護予防と交流創出の取り組み─(井階友貴)
EBMとpublic health(髙橋快斗,他)

■public healthが紡ぐ多様なキャリア
臨床医にとって MPH 取得がもつ意味(志水太郎)
厚生労働省・保健医療・公衆衛生行政というキャリア(寺谷俊康)
検疫官というキャリア(守屋章成)
clinician-researcherというキャリア(青木拓也)
国際保健分野というキャリア(田中豪人)

■public healthをspecial interestにする道程
public healthをspecial interestにする ─国内編─(本橋伊織)
public healthをspecial interestにする ─アメリカ留学編─(小林大輝)
public healthをspecial interestにする ─イギリス留学編─(中山久仁子)

■おわりに
家庭医×公衆衛生というキャリアは実現し得るのか? ─総括に代えて─(岡田唯男)
連載
ゲンバで使える!リラックスして読める! 診療の○泌テク(8)
前立腺肥大症のちょっとした症状の悪化に対して (松木孝和)

今月のお薬ランキング(53)
高血圧治療配合薬(浜田康次)

プライマリ・ケア診療の幅を広げる 飯塚☆漢方カンファレンス(14)
目が飛び出るほどの激しい咳!(吉永 亮)

映画で読み解く医療─ シネメデュケーション(映画医療教育)─(17)
障がい者虐待の存在を察知する(宇井千穂)

こちらつるかめ病院臨床倫理カフェ つるりん(15)
守ってあげたい (金城謙太郎,長尾式子,竹下 啓)

ジェネラリストのためのLGBT 講座(5)
LGBT に関する医療の歴史(石丸径一郎)
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