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「治療」2020年3月 Vol.102 No.3

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2020年3月 Vol.102 No.3
プライマリ・ケア医のためのアディクション治療

定価:2,750円(本体2,500円+税10%)

今月の視点

アディクション介入の主戦場はプライマリ・ケアである

 ここ数年,アディクション医療の領域では大きな変化が起こっていることを実感する.アルコール依存の治療では,以前の断酒一辺倒の考え方から徐々にハームリダクションの考え方が取り入れられつつあり,ナルメフェンが発売されたこともあり,減酒を目的とした介入が受け入れられてきている.薬物依存については,一時期大きな問題であった危険ドラッグは完全に下火になったが,代わりに若年者では市販薬の乱用が急増しているという.行動嗜癖の分野も大きな注目を集めており,ギャンブル等依存症対策基本法が制定され全国にギャンブル依存の相談機関が整備されつつあり,ICD-11にはゲーム障害が正式に病名として収載されることが決定した.
 わが国の精神医学の世界では,アディクションの分野はどちらかというと傍流として扱われてきた(筆者の被害妄想か?).しかし,プライマリ・ケアに携わる医師や地域・企業の保健師などと話していると,驚くほどこの分野への関心が高いことに気づかされる.これは考えてみれば当然のことで,アディクションの問題を抱える患者が精神科の門を叩くのは多くは最終段階に至った後であり,ほとんどのアディクション患者とのかかわりをもつのはプライマリ・ケア医なのだ.つまり,アディクション介入の主戦場はプライマリ・ケアであるといえる.
 本特集では,おそらくプライマリ・ケア医が最も多く遭遇するアルコール使用障害について多くの紙面を割いたが,薬物の依存,ギャンブルやインターネットといった行動の依存についても解説を加えた.執筆者はいずれもアディクション臨床の最前線で活躍している者である.この特集が,新しいアディクション医療の理解の一助となれば幸いである.

[編集幹事]
独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター
木村 充

特集の目次

■総論
アディクション治療におけるプライマリ・ケアの役割 (吉本 尚)
依存症治療とハームリダクションについて (西村康平)

■アルコールのアディクション
アルコール問題のスクリーニング (佐久間寛之)
ブリーフインターベンション (武藤岳夫)
アルコール問題のある患者への動機づけ面接 (澤山 透)
専門医紹介のタイミング 「紹介いつするの?」よりも,「いつでもできるために」 (長 徹二,他)
アルコール性肝障害の治療 (堀江義則)
アルコール使用障害と精神科併存症 (田中増郎)
アルコールと認知症・中枢神経障害 (松井敏史)
アルコール依存症の薬物療法 (真栄里 仁,他)
減酒指導の実際 (湯本洋介)

■薬物のアディクション
薬物依存症に出会ったときどう対応するか (成瀬暢也)
向精神薬の依存 (梅原知彦,他)
市販薬の依存 (松本俊彦)
オピオイド使用障害 ─北米のオピオイドクライシスから学ぶ─ (山口重樹,他)

■行動のアディクション
ギャンブル依存 (松﨑尊信)
ネット依存(ゲーム障害) (中山秀紀)
クレプトマニア(窃盗症) (竹村道夫)

連載

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