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熱中症 高温・高熱の条件下でエネルギー消費量の多い労働や運動をすると,循環系や水分・塩分の代謝系に失調が生じて,熱虚脱症 heat collapse,熱痙攣症 heat cramp,熱疲憊 heat exhaustion が起こる.さらに,強い高温・高熱によって体温調節機能に失調をきたすと,発汗停止,高度の体温上昇,錯乱・せん(譫)妄などの精神症状が現れ生命の危険を伴うことがある.これらの高温・高熱条件による急性障害を総称して,熱中症と呼んでいる.これとは別に慢性の暑熱性障害がある. 熱射病 強い高温条件下でエネルギー消費量の多い労働や運動をしている際に,通常突然に発症する重篤な熱中症である.この型の熱中症は体内での産熱量が発汗などによる放熱量よりも多いために,体内に熱がうっ積し,体温調節機能に失調をきたすことによって発症するといわれている.別名うつ熱症といわれるゆえんはここにある.この障害は,体温の異常上昇(直腸温40℃以上),全身的な発汗停止と,それによる乾熱皮膚,めまい・悪心・ひどい頭痛・精神錯乱・昏睡・腱反射の低下・弛緩性筋麻痺・意味のない運動・異常感覚などの中枢神経系障害の三大症状によって特徴づけられる.なお,全般的に症状が軽く,とくに中枢神経系の顕著な障害が認められない場合には境界熱射病 borderline heat stroke といわれることもある.また,意識があり発汗がなお停止していない場合には熱性高体温症 heat hyperpyrexia といわれることもある.炎天下で熱射病にかかった場合には,一般に日射病と呼ばれている.熱射病(日射病)は緊急処置が必要であり,直ちに身体の冷却などの処置を開始しなければ,器官の非可逆性の損傷をきたし死に至ることもある.
(『南山堂医学大辞典』より) |