できる!使える! 皮下投与

症状緩和のための

できる!使える! 皮下投与

書評

木澤義之(神戸大学大学院医学研究科 先端緩和医療学)

 編者の2人,久永貴之先生と矢吹律子先生は出身大学の後輩にあたり,学生時代からよく存じ上げており,しかも先生方が勤務している筑波メディカルセンター病院の緩和ケア病棟は私の緩和ケア医としての原点であることから,このような良書ができたことをとても誇らしく感じています.また,書評を書く機会をいただきましたことを心より感謝しています(なんか,こう明らかに自分が作った本ができた時より100倍くらい嬉しいです).
 本書は,現在緩和ケアにおける薬剤の皮下投与に関する,唯一,最良の書であると断言できます.また,緩和ケアにおいて食事や水分を経口摂取できなくなった時に,どのように薬剤投与するかを20年間考え続けた執筆者の臨床知を集めた本だと思います.もちろん,臨床研究の結果や,基礎データなども網羅されていすが,最終的には,『今まで研究論文はないけれど,pHや浸透圧は投与に問題はなく,「筆者らの施設で使って大きな問題は生じていない」,「筆者らの後ろ向き試験で,副作用発生率は○○%である」』,と言う言葉に圧倒されます.現場で困ったときに見ることができたら,きっと「おーーっそうなんだ.じゃあ患者さんやご家族にしっかり説明して使ってみようか…」と考えるのではないかと思います.そう思わせる現場感がこの本には溢れていると感じています.加えて,配合変化,ポンプの種類と管理方法,合併症とその対処など臨床に不可欠な情報が過不足なく書かれており,まさに『緩和ケア専門家がリファレンスとして使える本』になっていると思います.ホスピス・緩和ケア病棟,緩和ケアチーム,在宅診療,訪問看護ステーションに勤務されている方には,皆さんの診療・ケアの傍らにおいていただきたいと感じました.ご一読をおすすめいたします!