病院家庭医

病院家庭医

新たなSpeciality

書評

日本を代表する病院家庭医が説明する,時代のニーズに応える新たな専門医集団

徳田 安春 先生(群星沖縄臨床研修センター)

  家庭医療のプリンシプルとは何か.全人医療,病気のコンテクストの理解,予防医療と健康教育,集団的予防医学,コミュニティへの参加,エコロジー的発想,省察的医療,医療資源のマネジメントだ.これらのプリンシプルを眺めてみると,病院の勤務医こそこれを実行して病院に入院する患者さんに向き合うことが今こそ求められていることがわかる.
 本書は家庭医療のプリンシプルを実践するための具体的なガイドブックである.豪華な著者陣は,日本代表する病院家庭医の若手指導医軍団である.欧米の家庭医療はオフィスや在宅医療をセッティングとする.しかし,日本の医療構造は欧米とは異なる.全国各地の多数の中小病院において地域医療を支えている医師たちが,家庭医療のプリンシプルを実践する集団へと成長するのは時代の求めに応じた進化と呼んでよい.
 それではオフィスベースの家庭医療と病院家庭医療の決定的な違いは何か.プリンシプルは同じだが病院医師独特の役割を担うことが必要になる.本書はその役割について詳細に指南している.病院管理,病院経営,臨床研究,EBM,医学教育,リハビリテーション,感染管理,高齢者肺炎,ポリファーマシー,マルチモビディティ,ACP,緩和ケア,臨床倫理,退院支援,地域包括ケア病棟での実践などだ.
 アメリカではホスピタリストが現在最も急速に拡大しているスペシャルティである.この専門医集団は1996年に出現,かれこれもう四半世紀が過ぎた.最近では,地域の家庭医との連携を重視した役割を取り入れたホスピタリストのモデルが全米各地に登場している.今,日本版ホスピタリストの必要性が叫ばれるなかで,この病院家庭医という専門医がその主要なモデルの一つとして今後の日本で拡大していく,と予想するのは評者だけではあるまい.