定価:2,940円(本体2,800円+税5%)
本書は,それまで各施設間でバラツキのあった精神科薬剤師業務の標準化を図ることを目的として出版された「薬局」2003年9月臨時増刊号「精神科薬剤師業務標準マニュアル」のいわば改訂版である.
日本病院薬剤師会が認定する「精神科薬物療法認定薬剤師」および「精神科専門薬剤師」の認定制度を視野に入れ,その後の医療制度改革に伴った精神科薬剤師業務を実践できるよう,最新の知見や医薬品情報を盛り込むなど内容を刷新.症例やQ&Aも数多く収載し,即実践で活用できる内容とした.病棟や地域医療におけるチーム医療のなかで,今後ますます薬剤師に求められる安全で適正な精神科薬物療法の実施や患者さんへの服薬指導のために,大いにご活用いただける1冊である.
「精神科薬物療法の管理」として内容をリニューアルして書籍化いたしました.こちらもご覧ください.
2003年9月に本書を「薬局」臨時増刊号として発刊して4年が経過した.おかげ様で初版は大変好評であり,入手が難しかった読者もいらしたと聞いている.この間,薬剤師を取り巻く環境は大きく変化し,本書の改訂版を求める読者の声が多く聞かれるようになってきている.初版を発刊した当時は,今後薬学教育が6年制に移行すること,各領域での専門薬剤師の養成が始まることは将来の予測の域を出てはいなかった.しかし,2006年4月からは薬学教育6年制が実際にスタートし,がん専門薬剤師,感染制御専門薬剤師が次々と認定されるようになった.精神科領域においても2008年には精神科薬物療法認定薬剤師および精神科専門薬剤師の認定が行われる予定である.また,医療制度改革による医療の構造的な変化を受け,精神保健医療福祉改革が行われることは周知のことである.そのグランドデザインには,病棟機能の分化による急性期医療の充実と在院日数の短縮,長期入院患者の社会復帰が大きな柱としてあげられている.
このような大きな変化により,精神科領域における薬剤師の業務も大きく変わろうとしている.今後は病棟における薬剤師業務のみならず,地域において薬剤師がどのような役割を果たすことができるか,また,どのような役割を国民から求められているのかについて検討し,対応していかなければならない.
薬学教育6年制はより専門性の高い医療人としての薬剤師を養成することがその目的であるが,すでに現場で活躍している薬剤師の専門性を向上させ,新たな教育制度により養成された薬剤師の活動分野を確立する必要もある.
初版は,それまでバラツキの大きかった精神科薬剤師業務の標準化を目的として作成したが,改訂版では標準化された精神科薬剤師業務を基本に,将来的な精神科薬剤師業務とその専門性を検討することを目的とした.とくに,精神科医療の現状とチーム医療,そして地域との連携についての解説を追加し,初版ではフォーマットの紹介のみに留めたケアワークシートの使用例も追加し,より臨床現場での使い勝手がよくなっている.また,症例とQ&Aも充実させることができた.
医療制度改革の行き先をよく見極め,国民の精神保健福祉に十分寄与できる薬剤師となるため本書を活用していただきたい.
Chapter 1 精神科医療の現状と薬剤業務の重要性
1.精神科医療の現状と特徴
I.精神科医療の現状と特徴
II.精神科医療の変化
III.心神喪失者等医療観察法(医療観察法)
IV.心神喪失者等医療観察法と薬剤師
2.精神科医療に関わる薬剤師の立場と役割
I.薬剤師法における薬剤師の立場と役割
II.チーム医療における薬剤師の立場と役割
III.家族に対する薬剤師の立場と役割
IV.心神喪失者等医療観察法における薬剤師の役割
V.精神科専門薬剤師の立場と役割
VI.心神喪失者等医療観察法の背景
VII.心神喪失者等医療観察法の概要
VIII.指定入院医療機関
IX.指定通院医療機関
X.精神科医療の水準向上(心神喪失者等医療観察法の附則3条)
3.精神科医療機関の機能分化と社会資源の活用
I.機能分化と社会資源に関する最近の動向
II.長期入院患者と早期退院患者の二層化
III.障害者自立支援法
IV.薬剤師業務の将来展望
4.精神科救急医療,精神科回復期・社会復帰医療と薬剤師の役割
I.精神科救急医療について
II.精神科救急医療における薬剤師の役割
III.精神科回復期における薬剤師の役割
IV.社会復帰医療における薬剤師の役割
V.おわりに
5.精神科医療におけるチーム医療と地域医療連携
I.精神科薬剤師の立場から
II.医師の立場から
III.看護師の立場から
IV.ソーシャルワーカーの立場から
Chapter 2 精神科専門薬剤師による薬剤業務
1.薬剤情報の効率的な収集と提供
I.精神科における情報検索法
II.書籍およびその他の紙媒体
III.インターネット
IV.データベースの構築
V.収集した情報の提供
2.適切な薬物療法の提案
I.薬物療法の継続について
II.適切な薬物療法の提案
III.服薬指導
IV.適切な処方提案とは
3.精神疾患治療薬の治験支援業務
I.流れ・現状
II.精神科領域の治験薬の現状
III.治験実施における精神科特有の問題
IV.今 後
Chapter 3 精神科薬物療法
1.抗精神病薬
I.抗精神病薬開発の歴史
II.抗精神病薬の選択基準
III.抗精神病薬の副作用
IV.単剤投与への流れ
V.抗精神病薬の相互作用
VI.抗精神病薬が投与される精神疾患
VII.抗精神病薬の適応外使用
2.抗うつ薬
I.抗うつ薬の開発の流れ
II.抗うつ薬の選択基準
III.抗うつ薬の副作用
IV.抗うつ薬の相互作用
V.抗うつ薬が投与される精神疾患
VI.抗うつ薬の適応外使用
3.気分安定薬(抗躁薬)
I.気分安定薬(抗躁薬)開発の歴史
II.気分安定薬の選択基準
III.気分安定薬の副作用
IV.気分安定薬の相互作用
V.気分安定薬の適応外使用
4.抗不安薬
I.抗不安薬開発の歴史
II.BZD系抗不安薬
III.アザピロン系薬物
IV.SSRI
5.睡眠薬
I.睡眠薬開発の歴史
II.睡眠薬の選択基準
III.BZD系睡眠薬の副作用
IV.BZD系睡眠薬の相互作用
6.抗パーキンソン薬
I.抗パーキンソン薬開発の歴史
II.抗パーキンソン薬の選択基準
III.抗パーキンソン薬の副作用
IV.抗パーキンソン薬の相互作用
V.抗パーキンソン薬が投与される精神疾患
7.認知障害の治療薬
I.認知障害の治療薬開発の歴史
II.認知障害の治療薬の選択基準
III.認知障害の治療薬の副作用
IV.認知障害の治療薬の相互作用
8.向精神薬の等価換算
I.等価換算の必要性と有用性
II.等価換算表の使用上の注意点
III.向精神薬の等価換算
IV.抗精神病薬の等価換算に関する新たな考察
V.注射薬の等価換算
Chapter 4 精神科における薬剤管理指導業務
1.目 的
I.精神科病床における薬剤師の役割
II.精神科医療で薬剤師が行うべきこと
2.薬歴管理
I.重複投与のチェック
II.併用禁忌・相互作用のチェック
III.使用注意薬のチェック
IV.副作用のチェック
V.薬物治療のチェック
3.医薬品情報管理業務(DI業務)
I.DI業務の具体的事項
II.情報の収集と整理
4.注射薬管理
I.施設内の意思統一
II.関係部署との合意形成
5.服薬指導
I.統合失調症の薬物療法と服薬指導
II.躁病における薬物療法と服薬指導
III.うつ病における薬物療法と服薬指導
IV.神経症・心身症の薬物療法と服薬指導
6.精神科におけるワークシートの活用
I.精神科における薬剤管理指導業務とワークシート
II.薬剤管理指導ワークシートの作成方法
III.薬剤管理指導ワークシートの使用法
IV.副作用チェック用ワークシートの使い方
Chapter 5 薬剤別服薬指導(精神科治療薬)
1.睡眠薬
2.抗不安薬
3.抗精神病薬
4.その他
5.抗うつ薬
6.抗躁薬
7.抗てんかん薬
8.抗パーキンソン薬
9.脳機能改善薬
10.抗酒薬
11.悪性症候群治療薬
Chapter 6 疾患別服薬指導
精神科疾患について
1.統合失調症
2.気分障害
3.神経症・心身症
4.人格障害
服薬指導ポイント
1.統合失調症
2.うつ病
3.神経症・心身症
4.人格障害
CASE
1.統合失調症(その1)
2.統合失調症(その2)
3.統合失調症(その3)
4.双極性障害(双極I型)
5.境界性人格障害
6.急激な昏迷状態を呈したうつ病
7.転換性障害・軽躁状態
8.心身症
9.非定型精神病/広汎性発達障害
10.アルコール依存症/肝硬変,肝性脳症
コニュニケーション・スキルについて
1.最近の動向
2.NBMの考え方
3.コミュニケーションの必要性
4.コミュニケーションの目標
5.良好なコミュニケーション
6.良好なコミュニケーションのための心構え
7.聴き手としての心構え
8.患者との信頼関係の構築
Chapter 7 家族に対する心理教育と支援
1.家族に対する心理教育と支援とは
2.服薬の継続と統合失調症の再発について
3.家族への支援
4.社会復帰に必要な薬物治療
5.多剤併用大量処方はなぜいけないのか
6.これまでの薬物療法
7.これからの薬物療法
Chapter 8 Questions&Answers
統合失調症(Q1〜7)
向精神薬(Q8〜26)
薬物療法(Q27〜42)
副作用と対処法(Q43〜64)
服薬指導(Q65〜75)
その他(Q76〜89)
付 録:帳票類の書式モデル
薬学生 精神科病院実習マニュアル
索 引 一般索引
薬品名索引