書籍カテゴリー:感染症学|臨床薬学

抗菌薬Navi
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もう迷わない!
抗菌薬Navi

第2版

  • 愛知医科大学大学院医学研究科 臨床感染症学 教授 三鴨廣繁 監
  • 名古屋セントラル病院 薬剤科 坂野昌志 編著

定価:2,700円(本体2,500円+税8%)

  • A5判 320頁
  • 2018年3月 発行
  • ISBN978-4-525-77442-4

概要

コンパクトに要点をまとめた抗菌薬の攻略本がついに改訂!!

本書は抗菌薬の初学者に押さえてほしいポイントを丁寧に整理.改訂版は情報のアップデートに加え,初版を手にした読者からの要望に応え、より臨床に役立つ内容へと刷新.約130種類の薬剤の解説をさらに充実させ,感染制御のエキスパートによる臨床応用や副作用モニタリングのコツを追加した.抗菌薬を攻略する入門書としておすすめの一冊!

序文

 感染症が医療施設内でアウトブレイクをきたした場合,施設機能を低下させるほどの脅威となり得ます.特に,薬剤耐性菌のアウトブレイクは,多数の死者の発生もしくは入院期間の延長などにも繋がります.そのような背景もあり,日本でも医療関連感染への効果的な対応策として,「感染制御チーム(ICT:Infection Control Team)」の活動が行われてきました.感染制御チームの最大の目標は施設内での感染症の発生予防です.ICTの活動の主軸は,院内での手指衛生を含む感染防止活動遵守率の向上,施設内の衛生環境の整備に加え,抗菌薬の使用規制や届出制への参画を通じた薬剤の適正使用を推進することなどにありました.実際,ICTは,医療関連感染の抑止・減少に多大な貢献をしてきたのは事実ですが,抗菌薬の使用規制などは一時的かつ限局的な是正はもたらすものの,薬剤耐性化防止や患者予後の改善効果は不十分であったのが現実です.このため新たに提唱されたのが,「抗菌薬適正使用支援チーム(AST:Antimicrobial Stewardship Team)」を構成し活動することです.
 2016年に日本で開催された先進国首脳会議(G7 summit)でも薬剤耐性菌問題への取り組みの一環として,Antimicrobial Stewardship(AS)プログラムと呼ばれる抗菌薬適正使用を支援するための取り組みの重要性を指摘しています.欧米では日本に先駆けてASプログラムと呼ばれる抗菌薬適正使用を支援するための取り組みが行われてきました.ASTとはAntimicrobial Stewardship,すなわち抗菌薬を正しく使う手助けをするチームを意味します.Stewardとは「執事」を意味し,有能な執事として主治医の邪魔をせず,見落としや忘れている点などを傍からサポートするというニュアンスが込められています.厳格過ぎる院内での使用許可制の導入は,医師が選択する抗菌薬が変わるだけで,かえって耐性化を助長することがあったことも事実です.そこで,欧米では1990年代からAntimicrobial Stewardshipという概念が提唱されるようになり,上から目線の一方的な規制ではなく,傍に寄り添うような支援の形が推奨されるようになったのです.実際,2018年度の診療報酬改定でもAST加算が新設されています.
 従来のICTと新しい形であるASTが異なる点は,前者が感染防止技術によって患者を守る「予防的側面」を担うのに対して,後者は感染症患者を確実に診断・治療する「治療的側面」を担うことにあるとも言えます.しかし,感染症を制御するためには,予防と治療は車の両輪であり,どちらが欠けても十分な患者ケアはできません.施設においてはICTとASTは等しく不可欠な存在です.
 ICTが主に宿主への感染予防に重点を置くのに対して,ASTは発症した感染症患者の治療に重心を置いており,ICTとAST両者の守備範囲は基本的に違います.同様に,それぞれのチームを担う中心的職種も大きく異なります.ICTは感染防止技術の普及・遵守の徹底において重要な役割を果たす看護師が主として支え,医師はバックアップのような立場に回ることが多いのが現実です.その一方で,治療を主眼とするASTにおいて中核的役割を果たすのは感染症専門医および感染症に精通した薬剤師が必須のメンバーとして重視されます.したがって,ASTにおいて中心的役割を果たすべき薬剤師の自己研鑽は必須であり,義務でもあると言えます.
 今回,2010年1月に発刊された本書が,新しい執筆者も迎えて8年ぶりに改訂されることになりました.改訂された本書がASTとして活動する薬剤師にとって,あるいは臨床現場で有益な情報を提供できる薬剤師を目指す上で,活用されることを期待しています.

 2018年1月
 愛知医科大学大学院医学研究科 臨床感染症学
 愛知医科大学病院 感染症科
 愛知医科大学病院 感染制御部
 愛知医科大学病院 感染検査室
 教授 三鴨 廣繁

目次

本書の使い方


第1章 今日から使えるPK/PDの基礎知識
・抗菌薬側からみた感染症治療の考え方
・PK/PDの基本事項
・MICと耐性菌

第2章 今日から使える抗菌薬の基礎知識 
1 ペニシリン系抗菌薬
2 セフェム系抗菌薬
3 カルバペネム系・ペネム系抗菌薬
4 アミノグリコシド系抗菌薬
5 キノロン系抗菌薬
6 マクロライド系抗菌薬
7 テトラサイクリン系抗菌薬
8 抗MRSA薬
9 その他の抗菌薬
 ・モノバクタム系抗菌薬
 ・ホスホマイシン系抗菌薬
 ・ST合剤
 ・リンコマイシン系抗菌薬
 ・メトロニダゾール
 ・ストレプトグラミン系抗菌薬
 ・グリシルサイクリン系抗菌薬
10 抗真菌薬
11 抗結核薬
12 抗ウイルス薬
・抗ヘルペスウイルス薬
・抗サイトメガロウイルス薬
・抗インフルエンザウイルス薬
・抗肝炎ウイルス薬

第3章 今日から使える微生物の基礎知識 
・微生物の分類と特徴
・代表的な微生物

索引


コラム 意外に使える豆知識
1 MICの値が低い抗菌薬ほどよい抗菌薬といえるか?
2 De-escalationとは?
3 β―ラクタマーゼってなに?
4 ESBL,メタロβ―ラクタマーゼってなに?
5 PAEってなに?
6 CRP,発熱,白血球と感染
7 血沈と感染
8 モンテカルロシミュレーションとは
9 %T>MICの計算法
10 ATC/DDDとは