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カテゴリー: 内分泌・代謝学  |  臨床薬学

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処方Q&A 糖尿病

1版

東邦大学医療センター佐倉病院 糖尿病・内分泌・代謝センター 教授 龍野一郎 編集
東邦大学薬学部臨床薬学研究室 准教授 佐々木英久 編集

定価

4,290(本体 3,900円 +税10%)


  • B5判  295頁
  • 2015年7月 発行
  • ISBN 978-4-525-70331-8

本書は,糖尿病の薬物治療において生じる疑問を掲出し,疑問を解決する内容となっています.薬剤師が,日々の薬剤業務で生じる疑問100題に対して,医師・薬剤師が答えています.「医師はなぜこの薬を(ほかの類似薬ではなく/何の必要があって)出したのか」を理解し,患者説明にも活かせる内容としました.

  • 目次
  • 序文
目次
第1章 糖尿病治療の進め方
総論  1型および2型糖尿病治療の進め方
Q1 糖尿病薬物療法の前に生活療法はどのくらいの期間しますか?
Q2 糖尿病の薬物療法は一生続けるのでしょうか?
Q3 2型糖尿病の発症を予防する薬物はありますか?
Q4 高齢者の糖尿病治療で困ること,迷うことはありますか?
Q5 小児・思春期の糖尿病薬治療で困ること,迷うことはありますか?
Q6 経口血糖降下薬からインスリンへの切り替えのタイミングを教えてください.
Q7 糖尿病用薬での治療中の食事療法について教えてください.
Q8 糖尿病用薬での治療中の運動療法について教えてください.
Q9 暁現象やSomogyi効果出現時の対応を教えてください.
Q10 食事・運動療法が実施できない時の薬物療法の注意点はありますか?

第2章 糖尿病治療で行われる検査
総論 糖尿病治療において行われる検査の種類
Q11 血糖コントロールの薬効評価にあたり,指標となる検査の種類と使い方について教えてください.
Q12 糖尿病の型,年齢,合併症などさまざまな背景に対する血糖コントロールの目標値は異なりますか?
Q13 薬剤による血糖の理想的な下降度を教えてください.
Q14 インスリン分泌の指標となる検査の使い方について教えてください.
Q15 インスリン抵抗性の指標となる検査の使い方について教えてください.
Q16 食後過血糖の指標となる検査の使い方について教えてください.
Q17 糖尿病薬物療法の効果判定は治療開始後どれくらいの期間で行いますか?
Q18 糖尿病薬物療法の適応基準と治療目標値について教えてください.

第3章 糖尿病治療で注意すべき病態
総論 糖尿病治療中に注意すべき病態
Q19 メタボリックシンドローム時の2型糖尿病薬物治療の注意点はありますか?
Q20 肥満ややせ型の2型糖尿病患者に対する薬物治療について教えてください.
Q21 抗肥満薬の糖代謝に及ぼす影響を教えてください.
Q22 妊娠前から妊娠中,分娩後の糖尿病薬物療法について教えてください.
Q23 不安定糖尿病時の薬剤投与設計について教えてください.
Q24 緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)に対する治療の流れを教えてください.
Q25 劇症1型糖尿病に対する治療の流れを教えてください.
Q26 糖毒性中と糖毒性解除後の薬物治療法について教えてください.
Q27 耐糖能異常時における薬物治療について教えてください.
Q28 食後過血糖に対する薬物治療について教えてください.
Q29 インスリン抵抗性に対する薬物治療について教えてください.
Q30 インスリン分泌能低下に対する薬物治療について教えてください.
Q31 ステロイド糖尿病時の薬物治療について教えてください.

第4章 インスリン製剤
総論 インスリン製剤の分類と特徴
Q32 インスリンを打ち忘れた時の対応を教えてください.
Q33 インスリン療法が適応となる患者背景を教えてください.
Q34 インスリン治療の開始法とその後の変更法について教えてください.
Q35 速効型インスリンと超速効型インスリンの使い分けを教えてください.
Q36 中間型インスリンと持効型インスリンの使い分けを教えてください.
Q37 インスリンのハイミックス製剤の使い方について教えてください.
Q38 インスリン療法を離脱できる目安はありますか?
Q39 強化インスリン療法の適応となる症例を教えてください.
Q40 持続皮下インスリン注入療法(CSII)の適応となる症例を教えてください.
Q41 インスリン投与中,どのような場合に経口血糖降下薬を併用しますか?
Q42 強化インスリン療法と非強化療法とで血糖の改善度に違いはありますか?
Q43 2型糖尿病に対する効果的なインスリンの選択方法を教えてください.

第5章 その他の糖尿病治療薬
総論 その他の糖尿病治療薬の分類と特徴
Q44 経口血糖降下薬を使用する場合の第一選択薬を教えてください.
Q45 糖尿病治療薬の用法が複雑ですが,守らないと効果が変わりますか?
Q46 スルホニル尿素薬を使用すべきでない患者背景を教えてください.
Q47 速効型インスリン分泌促進薬の脂肪肝に対する作用について教えてください.
Q48 α-グルコシダーゼ阻害薬を食後に服用しても効果はあるのでしょうか?
Q49 速効型インスリン分泌促進薬とα-グルコシダーゼ阻害薬の使い分けについて教えてください.
Q50 ヨード造影検査前のビグアナイド薬の具体的な休薬期間を教えてください.
Q51 ビグアナイド薬処方時に注意すべき患者背景を教えてください.
Q52 チアゾリジン薬は血糖降下以外にどのような働きがありますか?
Q53 ビグアナイド薬とチアゾリジン薬の使い分けについて教えてください.
Q54 多くのDPP-4阻害薬が登場しましたが,使い分けのポイントはありますか?
Q55 各種経口血糖降下薬はどの位のHbA1c低下が期待できますか?
Q56 DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬の違いはありますか?
Q57 DPP-4阻害薬とGLP-1受容体作動薬には血糖低下作用以外の効果はありますか?
Q58 SGLT2阻害薬について教えてください.
Q59 GPR40作動薬について教えてください.
Q60 GAD65ワクチンについて教えてください.

第6章 糖尿病の治療を行う上での注意点
総論 糖尿病の治療を行う上での主な注意点
Q61 糖尿病治療薬で体重増加を来す薬剤と来さないもしくは体重減少作用をもつ薬剤を教えてください.
Q62 絶食で検査をする場合,経口血糖降下薬やインスリンの投与はどのようにすればいいでしょうか?
Q63 膵β細胞保護作用のある薬剤を教えてください.
Q64 体重に影響を与える糖尿病用薬を教えてください.
Q65 低血糖を起こしやすい糖尿病用薬と病態を教えてくください.
Q66 糖尿病治療薬が禁忌となるのはどのような症例ですか?
Q67 経口血糖降下薬を2種類以上併用する場合,推奨される組み合わせを教えてください.
Q68 インスリンとの併用が推奨される経口血糖降下薬を教えてください.
Q69 スルホニル尿素薬と持効型インスリン製剤を併用するBOT(basal supported oral therapy)について教えてください.
Q70 糖尿病を悪化させる薬剤を教えてください.
Q71 糖尿病治療薬以外にサプリメントや健康食品を利用する意義はありますか?
Q72 糖尿病治療薬使用時の併用薬剤や食品・嗜好品などとの相互作用について注意すべき点を教えてください.
Q73 1型糖尿病と2型糖尿病のシックデイ時の対応に違いはありますか?
Q74 かぜをひいた時の経口血糖降下薬やインスリンの投与はどのようにすればいいでしょうか?
Q75 糖尿病用薬で治療中にステロイド投与を開始した場合の対応を教えてください.
Q76 眼科などの手術時に経口血糖降下薬やインスリンの投与はどのようにすればいいでしょうか?
Q77 糖尿病患者におけるインフルエンザへの予防・対応で普通と違うことはありますか?

第7章 糖尿病における主な合併症
総論 糖尿病における主な合併症の種類
Q78 糖尿病性ケトアシドーシスの治療手順について教えてください.
Q79 高浸透圧高血糖症候群の治療手順について教えてください.
Q80 乳酸アシドーシスの治療手順について教えてください.
Q81 糖尿病用薬投与中に低血糖が発現しやすい時間や低血糖の原因を教えてください.
Q82 糖尿病用薬で低血糖になりやすい薬剤を教えてください.
Q83 低血糖昏睡時の治療手順について教えてください.
Q84 低血糖による神経障害などへの影響はありますか?
Q85 糖尿病網膜症の病期に応じた治療薬について教えてください.
Q86 糖尿病腎症の病期に応じた治療薬について教えてください.
Q87 糖尿病神経障害の分類に応じた治療薬について教えてください.
Q88 糖尿病足病変に対する治療薬について教えてください.
Q89 糖尿病患者の歯周病治療と血糖コントロールに与える影響を教えてください.
Q90 糖尿病患者の高血圧治療薬の選択方法を教えてください.
Q91 糖尿病患者の脂質異常症治療薬の選択方法を教えてください.
Q92 糖尿病患者の心・脳血管障害に対する薬物療法を教えてください.
Q93 糖尿病用薬による心血管合併症予防のエビデンスはありますか?
Q94 糖尿病患者に対する動脈硬化を防ぐための統合的な薬物療法を教えてください.
Q95 肝障害,腎障害,心不全を有する場合,注意しなければならない糖尿病治療薬を教えてください.
Q96 糖尿病患者における透析療法中の薬物処方の注意点はありますか?
Q97 糖尿病患者の睡眠障害に対する睡眠薬の使い方について教えてください.
Q98 グルカゴン注射の投与タイミングと注意点を教えてください.
Q99 認知症患者に対する処方で気をつける点はありますか?
Q100 糖尿病腎症患者の透析導入の目安はありますか?
序文
 わが国における糖尿病患者は,肥満の増加とともに増加の一途を辿っています.近年,メタボリックシンドロームへの理解と,いわゆるメタボ検診の効果により,肥満は減少傾向にあると言われながらも,若年男性の肥満は引き続きいて増加しており,人口の高齢化にも伴って糖尿病患者の増加は引き続き大きな課題と言えます.
 糖尿病は,糖尿病腎症・糖尿病網膜症・糖尿病神経症といった細小血管障害や,心筋梗塞・脳卒中といった大血管障害に加えて,最近は認知症やがんの発症にも関与し,患者の予後に大きく関わっていることが明らかにされています.このような糖尿病に伴う合併症の発症には,糖代謝に加え併存する脂質代謝異常や高血圧といった代謝障害が複合的に関わっていることが明らかにされており,単に血糖のコントロールに止まらない代謝異常全般を治療することが必須となります.
 近年,糖尿病領域では革新的な創薬が行われ,従来から使われてきたスルホニル尿素薬,メトホルミンなどのビグアナイド薬,α-グルコシダーゼ阻害薬,速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬),チアゾリジン薬,インスリン製剤に加えて,インクレチン関連製剤であるDDP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬,さらには尿糖の排泄を亢進させるSGLT2阻害薬の登場,また,2型糖尿病を合併する肥満症治療のためのリパーゼ阻害薬の承認など大きな転換期を迎えています.日々進歩する治療法を取り扱う医師や薬剤師には最新の専門的知識の獲得が求められます.
 本書は,糖尿病治療に携わる薬剤師が日常疑問に思うことに対して,糖尿病専門医が答える形式となっています.専門医がどのように薬を選び,使い分けているのか,その処方意図をしっかりと解説しています.内容については,豊富なエビデンスを基にした糖尿病治療に関する基本的な考え方にとどまらず,執筆者それぞれの経験に基づいた,より実臨床に沿った解説も盛り込みました.そうすることで,専門医の処方意図を読み解き,患者個々の病態に応じた薬の適切な使い方を理解できるように工夫しています.
 本書が,糖尿病治療の本質を理解し,積極的に患者支援を行っていける薬剤師が増える一助となることを願います.

2015年初夏
東邦大学医療センター佐倉病院 糖尿病・内分泌・代謝センター
龍野一郎
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