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カテゴリー: 基礎看護学  |  病原微生物学

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ナースのための微生物学 改訂6版

感染症とその対策の理解のために

改訂6版

産業医科大学 名誉教授 水口康雄 著
九州大学 名誉教授 中山宏明 著
宮崎大学 名誉教授 南嶋洋一 著

定価

3,080(本体 2,800円 +税10%)


  • B5判  214頁
  • 2017年2月 発行
  • ISBN 978-4-525-51717-5

要点を効率的に押さえたい看護学生のため教科書

感染症とその対策の理解のために必要な基礎知識を学ぶための良書.今回の改訂版では好評だった第5版の内容をブラッシュアップした.看護学生にとって,無駄なく重要なポイントを学びとることができる.また今まで同様,国家試験に出題されたキーワードを示しており自学自習にも役立つ一冊となっている.

  • 序文
  • 目次
序文
 ナースのための微生物学の改訂5版を出版したのが2007年だったので,それから10年経って改訂6版を出版することになった.この間,空いたスペースを利用してこまめな改訂を毎年行ってきたが,その方法が限界に達した事もあり,この度,版を更新することになった.
 看護学のあらゆる領域において,進歩が著しい今日,学生が学ばなければならない知識は増える一方である.この進歩は国民に大きな恩恵をもたらすことになったが,それらを消化して自らのものにしなければならない学生の負担の増大は避けられず,ある意味では限界に達しつつあるとも言える状況にある.微生物学の領域においても状況は全く同じで,この10年ほどの間に新しい感染症(MERSコロナウイルス感染症,重症熱性血小板減少症,H7N9トリインフルエンザ症,ジカウイルス感染症など)がいくつも人類社会に出現したことに加えて,極めて危険度の高いエボラ出血熱の大流行が西アフリカで発生し,先進国への侵入も見られようになってきている.更にはデング熱の国内発生,MERSウイルスの隣国への侵入など,ヒトや物のグローバル化に伴い,これまで我が国には存在しなかった感染症が侵入する可能性は益々高くなってきている.このような現状に対応するため,国は様々な対策を講じてきており,例えばその一つとして,接種されるワクチンの種類も大幅に増加した.このため複数のワクチンの同時接種も必要になってきた.これらの変化を紹介することは本書にとって欠かすことの出来ない必要な事項である.
 しかし,一方で,本書はあくまでもその対象は初めて微生物学に触れる看護学校の学生であり,それらを学ぶのに必要な授業時間は全く増加していない.したがって,教科書のページ数をむやみに増やすことは出来るだけ避けねばならないという制約がある.教科書の耐用年数(新しい,しかし必要な知識を盛り込むための)が短くなっている現在,如何に学生の負担を軽減しつつ,これらの知見を盛り込むか,極めて困難な作業を強いられる事となった.我々なりに頭を絞った結果が改訂6版となったわけである.今後も利用者の御意見を伺いつつ,出来るだけ良い教科書を目指して進めて行く必要がありそうである.
 なお,今回の改訂に当たっては,これまでにも増して南山堂編集部の方々に大変お世話になった,ここに記して感謝の意を表明したい.

2016年11月
著者ら 記す
目次
第 1 章 微生物学への入門

 1.看護における微生物学の重要性
 2.微生物学の歴史
 3.感染症の現状


第 2 章 微生物学 総論 —微生物とはどのような生物か—

 1.細菌とはどのような生物か
  A.細菌の形態
  B.細菌の構造
  C.細菌の生理
   a.増殖の形式
   b.増殖と環境条件
  D.細菌の遺伝とバイオテクノロジー
 2.真菌と原虫はどのような生物か
  下等真核生物
   a.真菌と原虫の違い
   b.病原体が真核生物であることはどんな意味を持っているか
 3.ウイルスとはどのような生物か
  A.ウイルスの本体
  B.ウイルス粒子の構造と各部分の機能
  C.ウイルスの増殖
  D.ウイルスの分類
  E.ウイルスの培養
  F.ウイルス感染のなりゆき


第 3 章 免 疫 —異物に対する生体の反応—

 1.はじめに
 2.免疫現象の特徴
 3.抗 原 —免疫原—
 4.免疫系と免疫応答
 5.抗体によって担われる免疫現象 —液性免疫—
  A.抗体(免疫グロブリン)
   a.モノクローナル抗体
   b.各種免疫グロブリンの特徴
   c.抗体の産生
  B.補 体
  C.抗原抗体反応の現れ方
   a.標識抗体法
   b.沈降反応
   c.凝集反応
   d.中和反応
   e.細胞溶解反応
 6.活性化されたT細胞によって担われる免疫現象 —細胞性免疫—
  細胞性免疫反応の種類
   a.細胞性感染防御免疫
   b.移植免疫
   c.腫瘍免疫
   d.遅延型過敏症
 7.免疫反応が生体に不利に働く場合
  A.過敏症(アレルギー)
   a.Ⅰ型過敏症
   b.Ⅱ型過敏症
   c.Ⅲ型過敏症
   d.Ⅳ型過敏症(遅延型過敏症)
  B.自己免疫病
 8.免疫不全症候群


第 4 章 感 染 —微生物と生体とのかかわり—

 1.人間の生活と微生物
  A.自然環境における微生物の分布
  B.環境汚染と微生物
  C.人体の常在微生物叢
  D.微生物によるヒトの病気
 2.感染とはなにか
  感染のなりゆき
 3.微生物の伝播様式
  A.感染源(伝染源)
  B.病原体の排出部位
  C.伝播経路
   a.直接伝播
   b.間接伝播
  D.侵入門戸
 4.宿主—寄生体関係
  A.感染成立の条件
  B.日和見感染症
 5.微生物の病原因子と生体防御
  A.細菌感染の場合
   a.粘膜表面における攻防
   b.粘膜を通過することなく病気を起こす細菌
   c.粘膜下に侵入する細菌
  B.ウイルス感染の場合
   a.ウイルス感染の進展
   b.ウイルス感染に対する防御機構
 6.非特異的防御と特異的防御の連関


第 5 章 感染症の診断法

 1.病原体の分離・検出・同定法
   検体の採取
  A.細菌,真菌,原虫の検査法
   a.形態学的観察
   b.分離培養
   c.同 定
   d.薬剤感受性試験
   e.抗原検出法
  B.ウイルスの検査法
   a.形態学的観察
   b.分離同定法
   c.抗原検出法
   d.核酸検出法
 2.遺伝学的診断法 —核酸の検出法—
 3.免疫学的診断法


第 6 章 感染症の予防とコントロール

 1.感染症の公衆衛生学的対策
  A.感染症の監視体制
  B.法律による感染症対策
  C.感染源対策
   検 疫
  D.感染経路対策
  E.感受性宿主対策 —予防接種および抗体の投与—
   a.予防接種の種類と対象
   b.予防接種の方法
   c.ワクチンの副作用
 2.病原体のコントロール —滅菌と消毒の基礎と応用—
  A.滅菌と消毒の意味
  B.滅菌・消毒の主な方法
   a.熱による殺菌
   b.放射線,紫外線による殺菌
   c.濾過除菌
   d.化学的方法による滅菌
   e.消毒薬
  C.滅菌・消毒についての一般的注意事項
   a.殺菌における時間因子
   b.消毒薬と温度
   c.消毒薬と濃度
   d.肝炎ウイルスなどの消毒
   e.消毒薬のまとめ
  D.滅菌・消毒の実際,感染防止
   a.手術場における無菌操作
   b.感染症患者の隔離
   c.易感染性患者への注意
   d.院内感染制御の基本
 3.感染症のコントロール —化学療法と免疫療法—
  A.化学療法
   a.抗細菌性化学療法薬とその作用
   b.抗真菌性化学療法薬とその作用
   c.抗原虫性化学療法薬(抗原虫薬)
   d.抗ウイルス性化学療法薬(抗ウイルス薬)
   e.抗菌スペクトルと薬剤感受性試験
   f.薬剤耐性
   g.化学療法薬の副作用
  B.免疫療法


第 7 章 細菌学 各論 —主な病原細菌と細菌感染症—

 1.グラム陽性球菌群
   a.ブドウ球菌属
   b.レンサ球菌属
    1)化膿レンサ球菌
    2)ストレプトコッカス アガラクティエ
    3)肺炎(レンサ)球菌
    4)口腔関連レンサ球菌
   c.エンテロコッカス属
 2.グラム陰性好気性桿菌および球菌群
   a.シュードモナス属
    緑膿菌
   b.バークホルデリア属
   c.ボルデテラ属
    百日咳菌
   d.ブルセラ属
   e.バルトネラ属
   f.フランシセラ属
   g.レジオネラ属
   h.コクシエラ属
   i.ナイセリア属
    1)淋 菌
    2)髄膜炎菌
   j.その他のグラム陰性球菌および球桿菌
 3.グラム陰性通性嫌気性桿菌群
  A.腸内細菌科
   a.エシェリキア属
   b.シゲラ(赤痢菌)属
   c.サルモネラ属
    1)チフス菌,パラチフスA菌
    2)その他のサルモネラ
   d.クレブシエラ属
   e.エルシニア属
    1)ペスト菌
    2)その他のエルシニア
   f.その他の腸内細菌
    1)セラチア マルセッセンス
    2)プロテウス属
    3)エンテロバクター属
    4)シトロバクター属
    5)プレジオモナス属
  B.ビブリオ科
   a.ビブリオ属
    1)コレラ菌
    2)腸炎ビブリオ
    3)その他のビブリオおよび類縁菌
  C.その他のグラム陰性通性嫌気性桿菌群
   a.ヘモフィルス属
    1)インフルエンザ菌
    2)軟性下疳菌
   b.その他
 4.グラム陰性嫌気性桿菌および球菌群
   a.バクテロイデス属
   b.プレボテラ属
   c.ポルフィロモナス属
   d.フゾバクテリウム属
 5.グラム陽性有芽胞桿菌群
   a.バシラス属
   b.クロストリジウム属
    1)破傷風菌
    2)ボツリヌス菌
    3)ガス壊疽菌群
    4)クロストリジウム ディフィシレ
 6.グラム陽性無芽胞桿菌群
   a.リステリア属
   b.エリジペロトリックス属
   c.乳酸桿菌属
 7.らせん菌群
   a.スピリルム属
   b.カンピロバクター属
   c.ヘリコバクター属
 8.スピロヘータ群
   a.トレポネーマ属
    1)梅毒トレポネーマ
    2)その他のトレポネーマ
   b.レプトスピラ属
   c.ボレリア属
 9.コリネバクテリウム,マイコバクテリウム,その他のグラム陽性桿菌
   a.コリネバクテリウム属
    ジフテリア菌
   b.ガードネレラ属
   c.プロピオニバクテリウム属
   d.ビフィドバクテリウム属
   e.マイコバクテリウム属
    1)結核菌
    2)非結核性抗酸菌(非定型抗酸菌)
    3)癩 菌
   f.ノカルジア属
   g.アクチノミセス属
 10.マイコプラズマ群
 11.リケッチア
   a.リケッチアの特徴
   b.主要な病原性リケッチアとリケッチア症
    1)発疹チフスリケッチア
    2)発疹熱リケッチア
    3)ロッキー山紅斑熱リケッチア
    4)日本紅斑熱リケッチア
   c.オリエンチアとオリエンチア症
 12.クラミジア
   a.クラミジアの特徴
   b.クラミジアの種類とクラミジア感染症
    1)トラコーマクラミジア
    2)オウム病クラミドフィラ
    3)肺炎クラミドフィラ


第 8 章 ウイルス学 各論 —主なウイルスとウイルス感染症—

 1.ポックスウイルス科
   a.痘瘡ウイルス
   b.ワクチニアウイルス
   c.伝染性軟属腫ウイルス
   d.サル痘ウイルス
 2.ヘルペスウイルス科
   a.単純ヘルペスウイルス1型および2型
   b.水痘・帯状疱疹ウイルス
   c.EBウイルス
   d.サイトメガロウイルス
   e.ヒトヘルペスウイルス6A・6Bおよびヒトヘルペスウイルス7
   f.ヒトヘルペスウイルス8
   g.Bウイルス
 3.アデノウイルス科
 4.パピローマウイルス科
   ヒトパピローマウイルス
 5.ポリオーマウイルス科
   JCウイルスおよびBKウイルス
 6.パルボウイルス科
   ヒトパルボウイルスB19
 7.オルトミクソウイルス科
   a.A型インフルエンザウイルス
   b.B型インフルエンザウイルス
   c.C型インフルエンザウイルス
 8.パラミクソウイルス科
   a.ヒトパラインフルエンザウイルス
   b.ムンプスウイルス
   c.麻疹ウイルス
   d.RSウイルス
   e.ヘンドラウイルスとニパウイルス
 9.トガウイルス科
   a.チクングニアウイルス
   b.風疹ウイルス
 10.フラビウイルス科
   a.黄熱ウイルス
   b.デングウイルス
   c.ジカウイルス
   d.日本脳炎ウイルス
   e.ウエストナイルウイルス
   f.ダニ媒介脳炎ウイルス
 11.ピコルナウイルス科
   a.ポリオウイルス
   b.コクサッキーウイルス
   c.エコーウイルス
   d.エンテロウイルス
   e.ライノウイルス
   f.パレコウイルスおよびコブウイルス
 12.レオウイルス科
 13.ラブドウイルス科
   狂犬病ウイルス
 14.フィロウイルス科
 15.コロナウイルス科
 16.アレナウイルス科
   ラッサウイルス
 17.ブニヤウイルス科
   a.ナイロウイルス属
   b.ハンタウイルス属
   c.フレボウイルス属
 18.レトロウイルス科
   a.ヒトTリンパ球向性ウイルス1
   b.ヒト免疫不全ウイルス
 19.カリシウイルス科
 20.アストロウイルス科
 21.肝炎ウイルスとウイルス肝炎
   a.A型肝炎ウイルス
   b.B型肝炎ウイルス
   c.C型肝炎ウイルス
   d.D型肝炎ウイルス
   e.E型肝炎ウイルス
 22.プリオンとプリオン病
   クロイツフェルト・ヤコブ病
 23.腫瘍ウイルスと腫瘍


第 9 章 真菌学 各論 —主な病原真菌と真菌症—

 1.皮膚真菌症の原因菌
 2.深部真菌症の原因菌
 3.真菌中毒症の原因菌


第 10 章 原虫学 各論 —主な原虫と原虫疾患—

 1.マラリア原虫
 2.トキソプラズマ ゴンディイ
 3.クリプトスポリジウム パルブム
 4.トリパノゾーマ属
 5.リーシュマニア属
 6.赤痢アメーバ
 7.自由生活をいとなむ病原性アメーバ
 8.腟トリコモナス
 9.ランブル鞭毛虫
 10.大腸バランチジウム


第 11 章 ベッドサイドにおける微生物学

 1.院内感染(医療関連感染)とは
 2.院内感染を起こしやすい微生物
 3.医療行為と感染
 4.院内感染予防対策


付 録

 1.食中毒
 2.性感染症
 3.インフルエンザとかぜ
 4.人獣(共通)感染症
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