書籍カテゴリー:看護|小児科

母乳 育児 感染
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Breastfeeding for a medical profession
母乳 育児 感染
赤ちゃんとお母さんのために

2008年 1版

  • 昭和大学医学部小児科准教授・IBCLC・ICD 水野克己 著

定価:2,100円(本体2,000円+税5%)

  • B5判 130頁
  • ISBN978-4-525-50301-7

巻頭に著者が質問を受けることの多い内容をQ&A方式掲載.
総論では母乳育児に関わる医療従事者が感染症に対応する際に,最低限知っておくべきことを記載.著者の小児科医・IBCLC・IDCとしての臨床経験と国内外の文献を交え科学的に解説.現在わかりうる範囲での情報を網羅している.各論では感染症に関する治療方法と母乳育児をする際のポイントを簡潔に記載している.IBCLC・ICDである著者からのアドバイスなども満載.

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序文

本来,子どもが自らの力で歩くようになるまで,つまり生後1年間は母親と児は一緒にいることが自然です.特に,生後3ヵ月の間は児の睡眠リズムも確立されておらず,昼夜かかわらず抱っこ,授乳,おむつ替えと母親と児はいつも一緒です.このような状況では,母親がなんらかの病原体に感染した場合には,児に感染する可能性が生じます.父親がかぜをひいたり,児の兄・姉が下痢をしたり・・・家族のだれかがなんらかの感染症にかかることはふつうのことなのです.母乳育児中の母親はこのようなとき,児にも移してしまうのではと不安になります.医療従事者は,一般的な病原体の感染経路,感染が起こりうる期間,児が感染したときの症状を母親に伝える必要があります.また,母親から児を隔離しないといけないか,授乳は可能か,搾乳した母乳は与えてもよいのか,という具体的な事項についても適切に情報を伝えられることが必要です.母親の診断がついたときには,児はすでに感染しており,潜伏期にあることも多いということを医療従事者は知っておく必要があります.
本来,授乳を一時的にでも中止しなければならない感染症は,きわめてまれです.そして,母親の診断がつくころには特異抗体が母乳中に分泌されており,母乳を与えることで,児に感染が成立していたとしても,重症化を防げるかもしれないのです.正しい情報をもたなければ,母親や家族から児への感染を予防することはできませんし,必要がないにもかかわらず母乳育児を中断させてしまうかもしれません.
また,予防接種が感染症予防の基本であることも確認する必要があります.妊娠中や授乳中の女性が接種してはいけない予防接種にはどのようなものがあるか,児の予防接種はどのように考えて進めていくのが適切なのかを知っておくと,母親と児を効率よく感染症から予防することもできます.
これまで日本では,母乳育児は経験に基づいて指導されることが多く,根拠のない指導も散見されていました.しかし,母乳育児に関して,多くの研究結果が得られるようになっている現在,母乳育児を行っている母親に対して,科学的根拠に基づいて支援を行うことが可能であり,また要求されていると思います.
本書では,母親と児が出会う可能性のある感染症について,なるべく多種類にわたって,母乳育児に関する情報のみでなく,予防接種や感染予防の方法について,医学雑誌,Red Book,CDCガイドライン,厚生労働省監修の感染対策マニュアルなどをもとに著者のICD(Infection Control Doctor)としての経験を含めてまとめました.ぜひ,日常診療において,母親と児が安心して母乳育児を続けられるよう役立てていただければと思います.


2008年8月 水野克己



目次

Q&A
総 論
    1.母乳育児のメリット
      母乳育児が母親にもたらすメリット
      母乳育児が児にもたらすメリット
      母乳育児が社会に影響するメリット
    2.母乳育児と感染に関する基本的事項
      母乳・授乳を通じての感染性の伝播について
      母乳や授乳行為による児の感染症予防効果
      母親の予防接種による特異的IgA抗体産生と児への感染予防効果の可能性
      児の感染経路
    3.標準予防策ならびに各感染経路別の予防策
      感染予防策の基本
      感染対策における感染経路別予防策
      予防接種による予防
      授乳中の母親と児が感染を予防するためにできること
各 論
      かぜ症候群;ライノウイルス,RSウイルス,アデノウイルス・エンテロウイルス・コクサッキーウイルスなど
      RSウイルス
      エンテロウイルス
      アデノウイルス
      ロタウイルス
      ノロウイルス
      アストロウイルス
      インフルエンザ
      ムンプスウイルス
      単純ヘルペスウイルス
      水痘
      帯状疱疹
      麻疹
      風疹
      サイトメガロウイルス(CMV)
      パルボウイルスB19
      肝炎ウイルス
        A型肝炎(HAV)
        B型肝炎(HBV)
        C型肝炎ウイルス(HCV)
      ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
      成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)
      EBウィルス
      ヒトメタニューモウイルス(hMPV)
      アルボウイルス
      ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)
      ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)
      日本脳炎ウイルス
      結核菌
      ブドウ球菌
      メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)
      メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
      溶血性連鎖球菌(いわゆる溶連菌)
        A群溶血性連鎖球菌(GAS)
        B群溶血性連鎖球菌(GBS)
      ヘモフィルス属インフルエンザB型桿菌(Hib)
      肺炎球菌
      淋菌
      クラミジア
      百日咳
      マイコプラズマ
      カンジダ
      マラリア
      梅毒トレポネーマ
      ミュータンス菌(Streptococcus mutans)
      ネコひっかき病(Bartonella henselae)
      中耳炎
      食中毒
        カンピロバクター(Campylobacter)
        サルモネラ(Salmonelleae)
        病原性大腸菌
        黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
      ジフテリア(toxinum diphthericum detoxicatum)
      リステリア(Listeria monocytogenesis)

参考資料
母乳育児中のおくすりについて