書籍カテゴリー:在宅医療|腫瘍・化学療法

チャレンジ!在宅がん緩和ケア
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在宅医療の技とこころシリーズ
チャレンジ!在宅がん緩和ケア

2009年 1版

  • 梶原診療所在宅サポートセンター 平原佐斗司 編著
  • 東芝病院緩和ケア科 茅根義和 編著

定価:3,570円(本体3,400円+税5%)

  • A5判 246頁
  • ISBN978-4-525-42561-6

「シリーズ:在宅医療の技とこころ」第2弾.
特殊な検査や治療が行いにくい在宅という状況を踏まえ,がん性疼痛のコントロールから患者家族とのコミュニケーションまで,それぞれのエキスパートがその臨床推論やアプローチ法の全貌を公開.WHO方式はある程度マスターし,その上の段階を目指す在宅医にも読み応えのある,実践的な書籍.

序文

この十数年で,在宅緩和ケアを取り巻く状況は大きく変化した.私は1992年に在宅緩和ケアを始めたが,当時は在宅の終末期がん患者さんも今ほどは多くはなく,在宅で過ごすという意志をもった患者さんとご家族の強い希望で,在宅緩和ケアを選択されるケースが多かった.最近では,在宅志向性の強い患者さんやご家族よりも,どちらかというと病院から帰されて不安を感じ,戸惑っている患者さんやご家族からの相談ケースが増えている.また,在宅緩和ケアで求められる技術や知識も,以前よりも高度となり,症状緩和に工夫の必要なケースが増えている.総じて,在宅緩和ケアは在宅医にとって,以前よりもチャレンジングな任務になってきている.
本書は,高度な在宅緩和ケアを実践したい在宅医や訪問看護師の手引きとなることを願って編集された.
編集者はそれぞれ在宅医療と緩和医療の専門家である.本書は,在宅医の視点から在宅緩和ケアに必要な知識や技術を検討し,編集方針をうけて,その領域に造詣の深い緩和ケア専門医に執筆を依頼する形を基本とした.本書を手にされた方は,このソフトな外観に似合わず,コンテンツの質の高さ,内容の豊富さに驚かれることだろう.また,本書は,明日からの在宅医療に役立つ実践的な知恵やナック(こつ)を補うため,いくつかのコラムをちりばめている.
本書が,高度化,複雑化する在宅がん緩和ケアの現場で奮闘する在宅医や訪問看護師の一助になれば誠に幸いである.


2009年4月
編集者を代表して  平原 佐斗司



目次

第1章 在宅がん緩和ケアに必要な腫瘍学の基本
 A.肺 癌
  1.小細胞肺癌
  2.非小細胞肺癌
 B.消化器癌
  1.胃 癌
  2.大腸癌(結腸癌,直腸癌)
  3.膵 癌
  4.原発性肝癌(肝細胞癌)
 C.乳 癌
 D.婦人科癌
  1.子宮頸癌
  2.子宮体癌
  3.卵巣癌
 E.前立腺癌

Column 1 悪性の血液疾患の看取り

第2章 痛みケアの戦略 Overview
 A.がん性疼痛コントロールのために大事なこと
 B.痛みの原因と機序
 C.情報提供
 D.痛みの評価の方法=1H5Wの考え方
  1.How=どのくらい痛いのか?
  2.Who=誰が痛いのか?
  3.Where=どこが痛いのか?
  4.When=いつ,どんな時に,どれくらいの時間痛いのか?
  5.What=どんな風に痛いのか?
  6.Why=どうして痛いのか?=痛みの原因
 E.在宅ケアにおけるチーム医療
 F.実際の疼痛コントロール
  1.薬物療法
  2.神経ブロック
  3.放射線療法
  4.理学療法
 G.特殊な病態における鎮痛法
  1.がん性腹膜炎
  2.頭蓋内圧亢進による頭痛
  3.イレウス
  4.骨転移
 H.緊急的処置を要する疼痛

Column 2 在宅でのがんの進展評価

第3章 オピオイド使用の基本
 A.強オピオイドの特徴
  1.モルヒネ
  2.フェンタニル
  3.オキシコドン
 B.弱オピオイドと拮抗性鎮痛薬
  1.リン酸コデイン
  2.拮抗性鎮痛薬
 C.オピオイドの剤型と特徴
  1.モルヒネ経口剤
  2.モルヒネ坐剤
  3.モルヒネ注射剤
  4.オキシコドン
  5.フェンタニル
 D.オピオイドの選択
 E.開始時のタイトレーション
 F.オピオイド製剤の変更
 G.副作用対策
  1.吐き気
  2.便 秘
  3.せん妄
  4.ミオクローヌス
  5.口 渇
  6.排尿障害

第4章 厄介な痛み(その1) 神経障害性疼痛
 A.神経障害性疼痛とは
 B.神経障害性疼痛の評価方法
  1.局在部位
  2.性 状
  3.刺激因子
  4.理学所見
  5.画 像
 C.神経障害性疼痛の治療
  1.原 則
  2.鎮痛補助薬
  3.鎮痛補助薬の選び方

第5章 厄介な痛み(その2) 骨転移の痛み
 A.骨転移の頻度
 B.骨転移からの予後
 C.骨転移の診断
  1.痛みの評価
  2.検 査
 D.骨転移への対応
 E.骨転移の痛みのケア
  1.痛みの評価と治療目標の共有
  2.体動時痛の際のケア
  3.薬物治療
  4.痛みと折り合うための生活のサポート
  5.放射線治療
 F.骨折予防
  1.四肢の場合
  2.脊椎の場合
 G.骨折時の対処
  1.四肢の場合
  2.脊椎の場合

Column 3 NSAIDsの選択

第6章 呼吸困難がおこったら
 A.「呼吸困難」と「呼吸不全」の定義
 B.評 価
  1.呼吸困難の評価
  2.呼吸不全の評価
 C.原 因
 D.原因の治療
  1.原因の治療の考え方
  2.咳嗽の治療
  3.肺炎の治療
  4.放射線性肺臓炎の治療
  5.胸水の治療
  6.心嚢水の治療
  7.気道狭窄の治療
  8.気道分泌過多の治療
 E.薬物的対症療法
  1.モルヒネ
  2.抗不安薬
  3.コルチコステロイド
  4.気管支拡張薬
 F.非薬物的対症療法
  1.酸素療法
  2.呼吸リハビリテーション
  3.心理的サポート・ナーシングインターベンションなど
 G.終末期の呼吸困難の対応

Column 4 認知症を伴うがん患者の苦痛の評価

第7章 がん性腹膜炎に伴う諸問題─嘔気嘔吐,消化管閉塞,腹水
 A.消化管閉塞
  1.評価・診断
  2.治療の選択
  3.上部消化管閉塞の治療戦略
  4.下部消化管閉塞の治療戦略
  5.輸液量
  6.ケ ア
 B.腹 水
  1.評価・診断
  2.治療戦略
  3.輸液量
  4.ケ ア

Column 5 中心静脈用カテーテルで胸水・腹水を抜く

第8章 せん妄がおこったら
 A.せん妄とは
 B.頻 度
 C.せん妄の原因
 D.せん妄の臨床症状
 E.診 断
 F.検 査
 G.鑑別診断
  1.認知症
  2.うつ病
 H.治 療
  1.一般的事項
  2.原因の治療
  3.保存的治療
  4.薬物療法
 I.せん妄患者の経過と予後
 J.家族のケア

Column 6 高カルシウム血症

第9章 終末期の輸液治療の実際
 A.終末期における輸液治療のガイドライン
  1.わが国における輸液ガイドライン―「終末期癌患者に対する輸液治療のガイドライン」
  2.諸外国の輸液ガイドラインの現状
 B.在宅における終末期がん患者に対する輸液治療のあり方
  1.基本的な考え方
  2.様々な状況における輸液治療の実際
  3.輸液治療開始後の評価方法
 C.輸液の投与経路について
  1.投与経路の選択
  2.各種輸液法の実際
 D.輸液治療に際して考慮すべき問題
  経口摂取の低下に関連して,患者・家族に生じる苦痛とその支援

Column 7 皮下輸液に使える薬一覧

第10章 在宅で持続皮下注射を使いこなす
 A.何を準備すればよいのか
  1.シリンジポンプ
  2.ディスポーザルポンプ
  3.専用輸液バッグ式
 B.持続皮下注射の実際
  1.穿刺部と留置方法
  2.レスキューの設定とロックアウト時間の設定
  3.持続皮下注射の実例

第11章 在宅医が知っておくべき抗がん剤の副作用
 A.抗がん剤治療の適応と限界
  1.抗がん剤の特性と患者の状態
  2.治療の目的
 B.代表的癌腫のレジメンと副作用
  1.肺 癌
  2.乳 癌
  3.胃 癌
  4.結腸・直腸癌

Column 8 進行,再発・転移固形がんにおける抗がん剤治療と緩和ケア─がん緩和ケア内科医,腫瘍内科医の立場から

第12章 分泌物に伴う苦痛を減らすために
 A.気道分泌物増加の背景
  1.予後が比較的残存する場合
  2.死亡直前の場合
 B.具体的な対応
  1.臓器障害などに伴う気道分泌物に対する原因疾患の治療
  2.嚥下能力低下に伴って生じる誤嚥による分泌物増加に対する対応
 C.抗コリン薬の投与
  1.ハイスコR注射液
  2.テルシガンエロゾル,アトロベントエロゾル
 D.抗コリン薬の有効性について

第13章 がんの皮膚転移,終末期がんに伴う皮膚トラブルのケア─臭気管理を中心に
 A.病 態
 B.皮膚転移・トラブルの評価
 C.治 療
  1.がん治療
  2.患者・家族に対する心理的,社会的なケア
  3.創傷治療
 D.臭気管理の実際
 E.悪臭の判定と改善度の評価法

第14章 出血の対処法
 A.在宅での出血の頻度
 B.在宅での出血への対応
 C.在宅での出血に対する処置
  1.非特異的な止血法
  2.皮膚,口腔粘膜,咽頭粘膜,喉頭粘膜などからの出血
  3.上部消化管出血
  4.下部消化管出血
  5.気道出血
  6.尿路出血
  7.外陰部,腟,子宮からの出血
 D.在宅での輸血
 E.在宅での鎮静

第15章 在宅がん緩和ケアに必要なインターベンションの知識
 A.放射線治療
  1.放射線治療の適応を決めるために
  2.外照射
   a.概 論
   b.有痛性骨転移に対する外照射
  3.密封小線源治療
  4.内照射
 B.IVR
  1.在宅がん緩和ケアにおけるIVR
  2.IVRで効果が期待できる症状
   a.胸水,腹水
   b.経鼻チューブ
   c.下大静脈症候群
   d.骨転移による疼痛
   e.腫瘍による疼痛
   f.消化管狭窄による摂食困難,排便困難
   g.気道狭窄による呼吸困難
   h.胆管ドレナージチューブ
   i.静脈ルート確保困難
   j.出血
 C.神経ブロック
  1.代表的なブロック
   a.腹腔神経叢ブロック
   b.クモ膜下フェノールブロック
   c.三叉神経ブロック・三叉神経節ブロック
   d.硬膜外ブロック
  2.在宅でのブロック
   a.仙骨部硬膜外ブロック
   b.肋間神経ブロック
   c.トリガーポイントブロック
   d.後頭神経ブロック
  3.持続クモ膜下・持続硬膜外カテーテルの管理
 D.経皮内視鏡的胃瘻造設術
  1.適 応
   a.PEGの適応
   b.PTEGの適応と実際
  2.PEGの造設手技
  3.PEGの合併症
  4.胃瘻カテーテルの種類と特徴
 E.整形外科的療法
  1.治療方針決定のための検討項目
  2.四肢骨転移の治療方針
  3.脊椎転移の治療方針
  4.四肢骨転移に対する手術内容
  5.脊椎転移に対する手術内容

第16章 鎮静が必要なとき
 A.緩和ケアにおける鎮静とは
 B.鎮静の適応となる緩和困難な苦痛とは
 C.鎮静と安楽死との相違
 D.鎮静の分類
 E.薬剤の選択
  1.ミダゾラム(ドルミカム)
  2.ハロペリドール(セレネース)
  3.フェノバルビタール(フェノバール)
  4.その他の鎮静薬
  5.坐薬による鎮静
  F.鎮静時の家族のケア
  G.鎮静施行における倫理的要件

第17章 がん患者の予後予測と看取りの考え方─看取りのパスの在宅での応用茅根義和
 A.予後予測について
 B.看取りが近いときのケア
  1.これからの療養場所の最終確認
  2.これまでの治療・ケアのなかで不要となることを中止すること
  3.現在ある苦痛症状の緩和治療については内服薬以外の方法を選択すること
  4.今後起こりうる可能性のある苦痛症状に対する緩和治療・ケアの準備
  5.患者・家族にとって望ましい看取りとなるために必要な事柄の確認

Column 9  在宅での看取りの実際

第18章 スピリチュアルケアのための在宅でのコミュニケーションの実際
 A.援助的コミュニケーションの基礎
 B.援助的コミュニケーションの原理
  1.理解者になるための聴き方(反復)
  2.理解者になるための聴き方(沈黙)
  3.理解者になるための聴き方(問いかけ)
 C.苦しみとは
 D.苦しみの中にあって存在と生きる意味が支えられるとは?
  1.時間存在(将来の夢)
  2.関係存在(支えとなる関係)
  3.自己決定できる自由(自律存在)

第19章 緩和ケアの学びかた
 A.在宅緩和ケアに必要な能力とは
 B.基本的な緩和ケアを学習するには
 C.どのように学ぶか
  1.日常臨床の中で学ぶ
  2.日常臨床から離れて学ぶ

資料1.オピオイド比較表
資料2.卒直後の初期臨床研修において行われるべき緩和医療の教育目標