2009年 1版
定価:10,500円(本体10,000円+税5%)
日本のすべてのがん治療医必携!22のがん種について,疫学などの基礎知識,診断方法,そしてGlobal Standard に基づいた最新の治療方法を各領域の専門医が詳述したがん治療専門書.治療方法は薬物療法を中心に実践に即して解説.各がんの病期別治療方針が一目でわかる「治療方針のまとめ」の一覧表も掲載.支持療法の知識,抗がん剤一覧も充実.
日本でがん患者の治療にあたっている医師に,Global Standardに基づいたUp-to-Dateな治療法を示す手引書を提供したい.このような趣旨のもとに本書の出版が企画された.
Global Standardに基づいてといっても,もともと疾患の特徴,人種,体型などが欧米人とは異なる日本人の患者に,欧米のStandardをそのまま適用することには多くの問題がある.このような状況を十分理解しながらも,世界に通用するがんの治療を行うという命題に答えるために,本書は,欧米で臨床研修を受け,現在日本でがん患者の治療を担当している腫瘍内科医を中心に執筆された.
編者には,日本の新薬承認システムに詳しく,国立がんセンターで乳がんを中心とした臨床に携わりながら,日本における臨床腫瘍内科の確立に努力されてこられた藤原康弘先生,消化器がんの新しい治療法の開発に携わりながら,新設された腫瘍内科教室の教授として,専門医教育システムの確立を推進しておられる古瀬純司先生,アメリカの腫瘍内科専門医の資格を有し,現在日本の第一線の病院でがん診療にあたりながら若手の腫瘍内科医を育成されておられる大山優先生の3人に加わっていただき,まさしく日本のがん治療の実際を把握しながら,しかも旧体制にこだわることなく,世界に通用するUp-to-Dateな治療内容を網羅した「将来に向かって育っていく」がん治療専門書ができあがったと自負している.
本書の完成にあたっては,薬剤名,専門用語などの統一のために,また内容の普遍性をめざすために,各著者と編者との間で,真摯な,そして時には激しい議論が繰り返されたことをここに記しておきたい.また,それぞれの著者には,欧米では標準的な治療として使用されているが,日本では薬剤が承認されていないために日本の患者に使用できない治療法についてもできる限り言及していただくこととし,「窓の外(海外)をみながら,日本で利用できる最も有効な治療法を示す」努力を試みていただいた.さらに,各章のおわりには,本書の情報が日常診療の場ですぐ使えるように,病期に応じた治療指針がまとめられているので,読者の方々は日本のどこにいても,同じ基準にのっとった最新の治療ができるように,本書をベッドサイドで,またそれぞれの腫瘍外来で活用していただきたい.腫瘍内科医の育成に関わっておられる指導医の方々には,Global Standardに基づきながら日本の現場に即したがん治療の手引書を作るという,それぞれの著者の「産みの苦しみ」をご理解いただいた上で,本書の内容を改善すべく忌憚なきご意見をいただければ幸いである.
最後に,本書の出版趣旨に賛同していただき,日米にまたがる著者の方々に細かい連絡をとりながら本書を完成に導いていただいた南山堂,特に熊倉倫穂さんにこの場を借りて深謝させていただきたい.
●総 論
1.がん治療に必要な基礎知識
1)腫瘍内科医の役割
2)腫瘍内科医に課せられた使命
3)悪性腫瘍の生物学と抗がん剤の基礎知識
4)悪性腫瘍治療の実際
5)診療開始前にチェックすべき大切な項目
2.新規に承認された抗がん剤
1)bortezomib
2)bevacizumab
3)pemetrexed
4)sunitinib
3.がん治療における外科的治療の役割
1)臓器グループによる患者マネージメント
2)術前補助療法の利点・欠点
3)直腸がんに対する術前化学放射線療法
4)固形がんに対する化学放射線療法
5)Stage IVのがんに対する手術療法
6)大腸・直腸がん同時性肝肺転移
7)大腸・直腸がん異時性肝肺転移
8)大腸・直腸がん肝転移に対する熱凝固療法
9)治癒切除不能ながんに対する手術
4.放射線治療の臨床的基礎知識
1)放射線生物学の基礎知識
2)放射線治療の基礎知識
3)姑息的放射線治療
4)最新の知見・今後の展望
5.高齢者がんの治療
1)高齢者とがん
2)高齢者の身体的特徴
3)高齢者における抗がん剤の投与量調節
4)高齢がん患者における高齢者総合的機能評価(CGA)
6.Oncologic Emergency と全身管理
1)腫瘍による脊髄圧迫
2)上大静脈症候群
3)腫瘍崩壊症候群
4)高 Ca 血症
5)SIADH(ADH不適合分泌症候群)
6)全身管理
7.がん治療に必要な支持療法
〔1〕がん治療における有害事象対策
1)がん患者に発症しやすい感染症の予防と対策
2)抗がん剤による悪心・嘔吐の予防と対策
3)血管外漏出の予防と対策
4)静脈カテーテル・ポートの管理
〔2〕がんの合併症の管理
1)がん疼痛の管理
2)骨転移の治療とその有害事象対策
3)食欲不振と悪液質の管理
4)疲労の管理
5)血栓症の予防と対策
8.サイコオンコロジー
1)サイコオンコロジーとは
2)緩和ケアにおけるサイコオンコロジー
3)コミュニケーション
4)がん患者の心理的苦痛
9.遺伝カウンセリング
1)遺伝カウンセリングとは
2)遺伝性腫瘍の原因遺伝子
3)がんの遺伝カウンセリングの実際
4)遺伝性腫瘍の遺伝子検査
●各 論
1.中枢神経系腫瘍
2.頭頸部がん
3.肺がん
4.乳がん
5.食道がん
6.胃がん
7.原発性肝がん(肝細胞がん)
8.胆道がん
9.膵がん
10.大腸がん
11.腎がん
12.尿路上皮がん:膀胱がん,腎盂尿管がん
13.前立腺がん
14.婦人科がん
15.胚細胞腫瘍
16.骨・軟部腫瘍
17.皮膚がん
18.内分泌がん
19.神経内分泌腫瘍
20.原発不明がん
21.造血器腫瘍
22.HIV 関連悪性腫瘍
● ASCO Update(2009)
● 付表 1. 用語解説
● 付表 2. 有害事象共通用語規準(CTCAE)v3.0 日本語訳 JCOG/JSCO 版〔抜粋〕
● 付表 3. 主な抗がん剤,制吐剤,G−CSF 製剤