南山堂

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カテゴリー: 精神医学/心身医学  |  内科学一般

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摂食障害の身体治療

チーム医療の実践を目指して

1版

C.Laird Birmingham 著
Janet Treasure 著
聖路加国際病院心療内科 太田大介 監訳

定価

4,620(本体 4,200円 +税10%)


  • A5判  342頁
  • 2011年11月 発行
  • ISBN 978-4-525-41551-8

こころの病とされる摂食障害だが,生命活動の基本である摂食の問題はさまざまな身体的問題をも引き起こし,最悪の場合は死に至る病である.また,患者さんに自らの身体上の問題に気づいてもらうことは,重要な治療への一歩ともなる.本書はそのような摂食障害の身体的な側面に光をあてて解説.精神科,身体科どちらの医師にも興味深い一冊.

  • 序文
  • 監訳者あとがき
  • 目次
序文
 Medical Management of Eating Disordersは,使いやすい手引書形式で,読者に摂食障害患者の管理についての全人的アプローチを提案した.初版への書評は大変好意的なものであり,著書の改善についても有益な示唆をいただいた.第2版は,情報を使いやすくするために,標準的な医学教科書の構成に変更した.すなわち,疾患の定義と有病率,病因,診断と臨床像,合併症,鑑別診断,経過と予後,治療,となっている.次いで,第7部では,肥満についての議論が展開されている.摂食障害患者を扱う医療の専門家にとって,肥満についての情報を知っておくことは不可欠であり,本項目は専門家がそれらについて患者とともに理解し話し合うことができるようにした.このため各章には,「医療従事者へのヒント」と「患者への情報提供」という項目立てを必要に応じて加えた.
 第2版では,摂食障害患者の精神症状を扱っている本文は,Janet Treasureによって全面的に改訂され,最新のものとなった.摂食障害を引き起こすメカニズムについての議論には,重要な進歩がみられるようになった.その進歩には,社会的,情緒的,知覚的,行動認知的な形式などが含まれる.これによって,治療がより注意深く各個人に合わせたものとなることを望んでいる.
 第2版には,多くの新しい内容が書き加えられており,物質依存が併存している摂食障害患者の管理,医学的視点からの摂食障害の鑑別診断へのアプローチ,どのような検査をいつ行うべきか,グルカゴン負荷試験の結果をどう解釈するか,マグネシウム負荷試験の結果をどう解釈するか,上腸間膜動脈症候群をいかに診断するか,患者が生理学的に正常体重になったことをどのように判断するか,などの項目が含まれている.
 小児期と青年期についての章は,全面的に改訂された.病歴聴取と身体診察の概論は改善された.主要な身体所見のすべてについてカラー写真で事例を示した.文献は,最新のものを,前版と同様に最も重要な文献に絞って挙げている.
 われわれは,摂食障害患者への医学的かかわりのための手引書として,本書の第1版を手に取ってくださった方々すべてに感謝申し上げる.われわれは,読者の方による本書第2版へのフィードバックを期待している.
[訳:太田大介]
監訳者あとがき
 神経性無食欲症患者は,一般に,その身体的重症度のために精神科病院から受け入れを拒まれ,その精神的重症度,すなわち各種の問題行動のために,内科病棟からも受け入れを拒まれがちである.このような意味で,摂食障害は,本書が指摘するように,医療界に行き場のないいわば孤児orphanであるともいえる.そのような摂食障害の治療は,日本では一部の総合病院内科・心療内科,合併症病棟を有する一部の精神科病院における献身的な医療により担われてきたのが現状である.当科も近隣の医療機関から摂食障害患者の紹介を数多く受け,摂食障害,特に神経性無食欲症患者の治療について試行錯誤を重ねてきた.そして診療の指針となる専門書の必要性を感じていた.
 これまで,摂食障害患者の心理療法に焦点を当てた著書は数多く出版されているが,身体管理を中心にした著書は少ない.そのような中,本書は,摂食障害患者の身体管理に焦点を当てた貴重な参考書である.著者のC. L. Birmingham, J. Treasureは,それぞれカナダとイギリスの各国における摂食障害治療と研究の第一人者である.彼女らにより執筆された本書は,身体合併症から心理的治療,看護師の関わり方,栄養指導と幅広い領域について記載され,実践的な内容となっている.本書は,我々のみならず,摂食障害治療に取り組む医療従事者にとって広く有用であると考え訳出した.本書の訳出は,聖路加国際病院心療内科で研修を積んだ医師,臨床心理士の手による.神経性無食欲症や各種心身症の治療に携わっている面々である.各訳出には,監訳者が手を加えて全体の文脈と構成を統一し,読みやすさを心がけた.我が国の臨床の現状にそぐわない部分については,必要に応じて注釈をつけた.本訳書が,全国で摂食障害患者の治療に関わっている医療従事者の助けになれば幸いである.

聖路加国際病院心療内科
太田大介
目次
第1部 定義と有病率
 第1章 定義と疫学

第2部 原 因
 第2章 原因となり持続させる因子

第3部 診断と臨床像
 第3章 病歴と身体所見のとりかた
 第4章 臓器別合併症
 第5章 栄養療法の合併症
 第6章 臨床検査

第4部 鑑別診断
 第7章 摂食障害の鑑別診断
 第8章 ミュンヒハウゼン症候群と摂食障害

第5部 転帰と予後
 第9章 転帰と予後
 第10章 目標体重とは何か
 第11章 死の危険とは何か

第6部 治 療
 第12章 科学的根拠に基づいた治療
 第13章 心理療法
 第14章 医学的管理
 第15章 治療拒否への対応
 第16章 合併症への対応
 第17章 小児と思春期
 第18章 妊 娠
 第19章 老年期
 第20章 男 性
 第21章 慢性期患者
 第22章 糖尿病
 第23章 万引き
 第24章 薬物依存
 第25章 自助治療

第7部 肥 満
 第26章 肥 満

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家族への働きかけ
 看 護
 食事療法

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