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カテゴリー: 呼吸器学  |  外科学一般

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呼吸器外科単孔式手術マニュアル

1版

単孔式胸腔鏡手術研究会 編集
藤田医科大学岡崎医療センター 呼吸器外科 教授 須田 隆 編集主幹

定価

9,900(本体 9,000円 +税10%)


  • A4判  105頁
  • 2021年6月 発行
  • ISBN 978-4-525-32251-9

呼吸器胸腔鏡手術 新時代の手びき

呼吸器外科手術は日進月歩で,低侵襲な手技で手術できるように進化している.
現在,最も低侵襲な手術の一つとして呼吸器外科単孔式手術があり,本書は本邦初の呼吸器外科単孔式手術をまとめた書籍である.
手術手技の基本から実際の動画まではもちろんのこと,単孔式手術の歴史や手術機器の紹介もあり,最初に手にする一冊として十分な内容となっている.精度が高い手技も重要だが安全に手術を行うために必要な知識も盛り込み,手厚い内容となっている.

  • 刊行によせて 1
  • 刊行によせて 2
  • 序文
  • 目次
刊行によせて 1
日本呼吸器外科学会より 刊行によせて

 この度,呼吸器外科単孔式手術マニュアルが,単孔式胸腔鏡手術研究会の編集により作成され上梓されることになりました.アジア,欧州で広がりを示している単孔式胸腔鏡手術(VATS)に対し,日本呼吸器外科学会はJACS fellowshipを創設し上海市肺科医院に若手学会員を見学に赴かせ,わが国での安全な単孔式VATS の導入,普及を試みてきました.
 わが国では,すでに過半数の肺癌手術がVATSで行われ,その多くはmulti-port VATSによります.VATSによる肺葉切除やリンパ節郭清の手技は,各施設ごとに完成されたものになってきており,四半世紀前に議論されたVATS導入に伴う安全性の危惧も現在となってはことさら問題になることはなくなりました.
 単孔式VATSでは,術後の痛みが少ないなどの利点もある一方,手術操作や術野が制限されるという問題があります.上海市肺科医院での手術を見ると,わが国で広く行われている血管鞘を剥いて行う肺動脈処理や,層構造を考慮したリンパ節郭清などは行われていませんが,血管鞘を剥かないがゆえにやや乱暴に肺動脈を牽引できたり,吸引を使う故にリンパ節が傷ついても千切れることがないなど,独自の進化が見て取れます.しかし,わが国に単孔式VATSを導入するにあたっては,わが国で普通に行われている手技をいかに単孔式VATSに組み込むかが問題となるかと思われます.日本人の精緻な技術で単孔式VATSをさらに発展させ,逆に世界に輸出するような技術に育て上げていければと思います.
 しかし,新しい技術の導入にあたっては,経験症例が増加するにつれ不測の事態に直面することも増加すると考えられます.何よりも安全な技術の普及が重要とわれわれは考えています.本書は,単孔式胸腔鏡手術研究会を中心とした,わが国における経験豊富な執筆陣により作成されています.本書は,この新しい技術の導入を考えている方,導入を開始したがまだ不安がある方にとってよき道標になることでしょう.患者にとって最善の手術治療を行っていただくために,本書が役立つことを願っています.
 最後に,本書の作成に多大なるご尽力をいただいた執筆者の先生方に対し,深く感謝いたします.

2021年4月
日本呼吸器外科学会 理事長
千田雅之
刊行によせて 2
単孔式胸腔鏡手術研究会(JUVIG)より 刊行によせて

 胸腔鏡手術は1991,2年頃,世界でほぼ同時に開始され,今では呼吸器外科のほとんどの手術に応用されるようになりました.日本は胸腔鏡手術の発展に最も大きく貢献した国の一つです.
 呼吸器外科手術は単一の大きな切開創を開大して行う開胸手術から,複数の小さな切開創を開大しないで行う多孔式胸腔鏡手術と進化しました.
 単孔式胸腔鏡手術はその発展形で,単一の小さな切開創を開大しないで行う究極の低侵襲手術といえます.現在ではロボット手術も行われるようになりましたが,単孔式胸腔鏡手術の低侵襲手術としての価値は揺るがないものと思われます.

 単孔式胸腔鏡手術がブレイクしたのは,2010年代の半ば,Diego-Gonzalezが上海で活動を始めて以降のことで,現在では世界のあちこちで行われるようになり,年々拡大しています.
 われわれは,世界的なUniportal VATS Interest Groupの活動に連帯すべく,2018年4月に単孔式胸腔鏡手術研究会Japanese Uniportal VATS Interest Group(JUVIG)を設立しました.その目的は,「単孔式胸腔鏡手術の安全な手術手技と適応および機器・器具開発などに関する研究を行い,手術の普及と手術治療成績の向上を目指す」ことにあります.われわれは単に海外の後追いをするのではなく,自らの独創性を加え,日本に合った安全で有益な単孔式胸腔鏡手術を作りあげ,その結果を患者さんに還元したいと考えています.
 単孔式胸腔鏡手術は体に最も優しい手術ですが,技術的な困難さがあり,予期せぬリスクが伴います.本書はその解決のための議論の出発点として有力な方向性を示していると信じています.
 われわれは2015 年からワークショップを開催し,また若手呼吸器外科医の上海見学のサポートをするなど様々な活動を行ってきました.その集大成として今回,単孔式胸腔鏡手術研究会では「呼吸器外科単孔式手術マニュアル」を刊行する運びとなりました.
 呼吸器胸腔鏡手術研究会では1997年に故 成毛韶夫先生により胸腔鏡手術アトラスが刊行され,日本における胸腔鏡手術のマイルストーンとなりました.本書が日本における呼吸器外科単孔式手術のマイルストーンとなることを祈念しています.

2021年4月
単孔式胸腔鏡手術研究会(JUVIG) 会長
呼吸器胸腔鏡手術研究会 前会長
森川利昭
序文
 呼吸器外科低侵襲手術に新しい時代がきています.今までの低侵襲性を維持したまま,より高度な手技を可能にするロボット支援手術と,さらに低侵襲な手技を目指した単孔式手術の出現です.
 単孔式手術は傷一つで行う手術手技であるため,整容的に優れ,痛みを少ないという患者さんにとってわかりやすい利益が期待できる手術手技です.よい手術手技というのは,おのずと世界に広まってゆくものです.単孔式手術が今世界中に広まりつつあるのは,世界中の外科医が,患者にとって利益があって,かつ無理のない手術手技であると考えているからではないでしょうか.また,単孔式手術は,ロボット支援手術と比べて導入コストが安く済み,certificateも不要であるため,新たに新しい手技を導入しようという施設にとって,より敷居の低い手術手技なのかもしれません.
 しかしながら,われわれは患者の利益を第一に考えなくてはなりません.低侵襲だからといって,決して手術の安全性や精度を下げてはなりません.癌の手術であれば,根治度を下げてはなりませんし,大出血してしまえばそれは低侵襲手術ではありません.単孔式手術では手術操作の制限が問題とされますが,単孔式手術を行うのであれば,それを克服して安全で精度の高い手術を行う必要があります.
 日本の呼吸器外科手術手技の特徴は,膜を意識した剥離操作と精度の高いリンパ節郭清と思います.単孔式手術では操作性の制限があることから,従来の手術の精度が保てないとして単孔式手術を導入しないという施設があるかもしれません.しかしながら,私は,これからの外科医は常に新しい手術の器具や手技の工夫を行いながら日本が誇ってきた手術手技を継承すべく努力していくべきであると思っています.今回Diego Gonzalez-Rivas先生にお願いしてKonstantinos Marios Soultanis先生とともに日本の外科医のために最新の基本手技から複雑な手術を含めて詳細な手術法を執筆していただきました.単孔式手術のパイオニアの技をぜひご一読ください.
 安全で精度の高い単孔式手術の導入を行っていただくことを目的に,この手術書の出版を企画しました.この手術書が皆様の単孔式手術の導入や手技の確立に役立てれば幸甚です.この企画に賛同していただいた,単孔式胸腔鏡手術研究会の皆様,日本呼吸器外科学会の皆様,Diego先生をはじめ単孔式手術のトップランナーである執筆者の皆様,そして南山堂の皆様に感謝致します.

2021年4月
編集主幹
須田 隆

目次
総論
第1章 単孔式手術の歴史,定義,エビデンス(平井恭二)
1 歴 史
2 定義と胸腔へのアプローチについて
3 エビデンス

第2章 単孔式手術に向けての準備(本間崇浩)
1 手術見学
2 トレーニング
3 手術室の機器とセットアップ

第3章 単孔式手術の基本手技と合併症対策(平井恭二)
1 術者と助手の位置関係
2 胸腔アプローチについて
3 基本手技について
4 合併症対策ならびにトラブルシューティング

第4章 単孔式胸腔鏡手術を安全に開始する場合の単孔式胸腔鏡手術研究会(JUVIG)からの提言(小田 誠,森川利昭)
1 序言:まずは隗より始めよ─単孔式胸腔鏡下肺部分切除の勧め─
2 本提言作成の目的
3 単孔式胸腔鏡手術の英語呼称,切開創長,開創器/ 開胸器使用について
4 呼吸器外科医,手術チームに求められる条件
5 術前の準備,必要な手術器具
6 術者,助手,その他のチームメンバーの役割
7 手術において必要な手技と注意すべき点
8 合併症への対処
9 術後管理
10 教育とトレーニングおよびラーニングカーブ
11 まとめ

各論
第5章 単孔式肺部分切除(佐野由文)
1 手術適応
2 麻酔・体位〜皮膚切開
3 手術器具
4 手術機器と手術チームの配置
5 手術手技
6 手術手技のコツとピットフォール
7 まとめ

第6章 単孔式肺葉切除の基本技術とその応用(Konstantinos Marios Soultanis, Diego Gonzalez-Rivas 和訳:須田 隆)
1 単孔式肺葉切除とは
2 患者選択
3 単孔式手術器具
4 手術室のセットアップ
5 単孔式右上葉切除
6 単孔式右中葉切除
7 単孔式右下葉切除
8 単孔式左上葉切除
9 単孔式左下葉切除
10 リンパ節郭清
11 気管支スリーブ切除

第7章 単孔式肺葉切除術+リンパ節郭清鑷子を使用した側方アプローチ(須田 隆)
1 手術適応
2 手術器具
3 手術機器と手術チームの配置
4 創内の器具の配置
5 手術手技:右上葉切除+リンパ節郭清
6 手術手技:その他の肺葉切除
7 手術手技のコツとピットフォール

第8章 単孔式肺区域切除術のコツとピットフォール(大泉弘幸)
1 手術適応
2 手術器具
3 手術機器と手術チームの配置
4 手術手技
5 手術手技のコツ
6 ピットフォール
7 症例ビデオ
8 まとめ

第9章 単孔式縦隔腫瘍摘出術側胸部アプローチ(大田守雄)
1 手術適応
2 手術器具
3 手術機器と手術チームの配置
4 手術手技
5 手術手技のコツとピットフォール

第10章 剣状突起下アプローチによる単孔式胸腺摘出術(須田 隆)
1 手術適応
2 手術器具
3 手術機器と手術チームの配置
4 手術手技
5 手術手技のコツとピットフォール

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