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カテゴリー: 麻酔蘇生学  |  神経学/脳神経外科学

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神経障害性疼痛診療ガイドブック

1版

駿河台日本大学病院 病院長 小川節郎 編集

定価

3,960(本体 3,600円 +税10%)


  • B5判  222頁
  • 2010年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-30881-0

本書は神経障害性疼痛ワーキンググループが中心となり,神経障害性疼痛の正しい知識を広め,その治療を向上させることを目的としている.疾患の概要およびエビデンスに基づき診断・治療のアルゴリズムについて詳細に記載した解説書である.さらにポケットに収まる神経障害性疼痛の診断ツールを付録にしている.

  • 序文
  • 目次
序文
 慢性難治性疼痛の代名詞ともいえる神経障害性疼痛への関心が高まっている.通常の鎮痛薬が奏効しない痛みとして,臨床の現場ではその治療のみならず,患者さん方への対応についても難渋しているといってよいであろう.一方,一部の診療科においては抗うつ薬や新しい抗てんかん薬の有用性が認識されてきたこともあり,神経障害性疼痛の治療に前向きになってきていることも事実である.
 神経障害性疼痛が難治性である理由はその疼痛発生機序の複雑性・多面性にあるといえよう.すなわち,末梢機序,中枢機序,そして社会心理的な機序までが含まれ,またそれぞれが複雑に絡まっているからである.神経障害性疼痛では遷延している炎症状態が続いている場合もあったり,炎症はすでに認められない状態であったりと,時間的な要素や,原因となる病態によってもその疼痛機序が異なることもその理由である.
 神経障害性疼痛をめぐるもう一つの問題は,この痛みが正しく診断されていないことである.「痛い」という訴えが直接「NSAIDsの処方」に結びついてしまっている現状がある.NSAIDsで治らなければ,その患者は放置されたり,心の問題として処理されてしまったり,あるいは極端な多剤併用に向かうことになる.それだけではなく患者・医師関係の悪化にも進む場合が実際に存在する.
 以上のような現状から,神経障害性疼痛診療ガイドブックの必要性がクローズアップされてきた.このたび,株式会社 南山堂のご協力により,神経障害性疼痛診療のすべてを網羅したといってよいこのガイドブックが完成した.各項目はこの分野で実際に診療にあたっているエキスパートの方々にご執筆いただいた.またご執筆上の条件として,EBMに則った文献をあげていただくこととした.したがって各項目の文献の各々にエビデンスレベルを表示してある.
 各項目をあげてみると,概論においては神経障害性疼痛とはどのような痛みなのかを詳細に解説されている.続いて診断についても,実際の問診の進め方から診断にいたる順序をあげた.ここでは神経障害性疼痛スクリーニング研究会(わが国のペインクリニック科14施設の専門家からなる研究会)による簡易スクリーニング票も掲載した.治療面に多くのページを割き,治療の基本的な進め方から,基本となる治療法である薬物療法,外科的療法,神経ブロック,脊髄刺激療法,理学療法そして心理療法についても項目を設けた.最後に神経障害性疼痛を発症する疾患別にその特徴,治療法などにつき11の疾患をあげて解説されている.
 このように本ガイドブックは神経障害性疼痛診療に大きな力となると確信している.最後にこのガイドブックの発刊にご賛同,ご協力をいただいた株式会社 南山堂と,編集に大変なご努力をいただいた同編集部,秡川 亮氏に心から謝意を申し上げる.

2010年1月
駿河台日本大学病院 病院長/日本大学医学部麻酔科学系麻酔科学分野 教授
小川節郎
目次
神経障害性疼痛スクリーニング研究会監修 調査票

第1章 概 論
1 定義と臨床的特徴(細川豊史)
Ⅰ.痛みの定義と分類
Ⅱ.神経障害性疼痛の臨床的特徴
2 分 類(細川豊史)
Ⅰ.原因疾患別分類
Ⅱ.神経損傷部位による分類
Ⅲ.発生機序に基づく分類
Ⅳ.診断的分類
3 疫 学(細川豊史)
Ⅰ.神経障害性疼痛に対する疫学的調査
Ⅱ.神経障害性疼痛の疾患別疫学調査
4 神経障害性疼痛の発症機序(住谷昌彦,眞下 節,山田芳嗣)
Ⅰ.末梢神経系での病態
Ⅱ.中枢神経系での病態

第2章 診 断
1 問診の進め方(小川節郎)
Ⅰ.痛みのタイプはなにか
Ⅱ.現病歴
Ⅲ.痛みの性質の問診
Ⅳ.問診の実際
Ⅴ.診 察
Ⅵ.検 査
Ⅶ.QOLへの影響の評価
2 痛みの評価法(小川節郎)
Ⅰ.言葉の定義
Ⅱ.痛みのスケール
Ⅲ.一般的な診察と神経学的診察
3 痛みの診断(小川節郎)
Ⅰ.神経障害性疼痛かどうかの段階的評価
Ⅱ.診断の手順
Ⅲ.神経障害性疼痛のスクリーニングツール(簡易調査票)
Ⅳ.複合性局所疼痛症候群の診断基準

第3章 治 療
1 治療の進め方・到達目標(益田律子)
Ⅰ.薬物療法がなぜ重要であるのか
Ⅱ.急性期組織損傷に伴う神経障害性疼痛治療,がん疼痛における神経障害性疼痛と慢性期神経障害性疼痛治療
Ⅲ.治療の進め方
2 薬物療法(住谷昌彦,眞下 節,山田芳嗣)
Ⅰ.薬物療法の実際
Ⅱ.プライマリ・ケアにおける神経障害性疼痛に対するアプローチ
1. 抗てんかん薬(Caチャネルα2-δリガンドを含む)(井関雅子)
Ⅰ.抗てんかん薬の鎮痛機序
Ⅱ.神経障害性疼痛における抗てんかん薬の意義
Ⅲ.適応疾患
Ⅳ.使用上の留意点
Ⅴ.主な抗てんかん薬
2. 抗うつ薬(細川豊史)
Ⅰ.抗うつ薬が神経障害性疼痛に投与される主な2つの理由
Ⅱ.抗うつ薬の神経障害性疼痛での適応症状
Ⅲ.抗うつ薬の効果発現機序
Ⅳ.抗うつ薬の種類と特徴
Ⅴ.各種抗うつ薬の鎮痛作用の特徴
Ⅵ.抗うつ薬の選択と使用法
Ⅶ.使用上の注意事項
3. オピオイド(益田律子)
Ⅰ.神経障害性疼痛に対するオピオイド療法の意義
Ⅱ.オピオイドの薬理作用
Ⅲ.オピオイド療法の実際
4. 麻酔薬(加藤 実)
Ⅰ.麻酔薬の種類
5. その他(漢方薬など)(武田泰子)
Ⅰ.漢方薬
Ⅱ.ステロイド
Ⅲ.中枢性筋弛緩薬
Ⅳ.クロニジン
Ⅴ.血管拡張薬(プロスタグランジン製剤)
3 外科的療法  (住谷昌彦,齋藤洋一)
Ⅰ.外科的療法のための患者評価ポイント
Ⅱ.外科的療法の選択肢
4 神経ブロック(信太賢治,増田 豊)
Ⅰ.神経ブロック療法とは
Ⅱ.神経ブロック療法の意義と治療効果
Ⅲ.代表的神経ブロック療法
Ⅳ.神経障害性疼痛に対する神経ブロック療法の応用
5 脊髄刺激療法 (細川豊史)
Ⅰ.脊髄刺激療法の作用機序
Ⅱ.SCSの神経障害性疼痛に対する有効性
Ⅲ.適応疾患
Ⅳ.SCS の実際
Ⅴ.埋め込み術
6 理学療法(笠井史人)
Ⅰ.物理療法
Ⅱ.装具療法
Ⅲ.徒手的治療法と運動療法
Ⅳ.神経障害性疼痛に対する理学療法アプローチ
7 心理療法─心理面への配慮(住谷昌彦,柴田政彦)
Ⅰ.痛みの心理因子とその問題点
Ⅱ.痛みの心理因子に対する治療アプローチ

第4章 疼痛疾患
1 脊椎・脊髄疾患に伴う神経障害性疼痛(関口美穂,菊地臣一)
Ⅰ.概 論
Ⅱ.診 断
Ⅲ.治 療
2 糖尿病性神経障害(堀田 饒)
Ⅰ.病態─分類・頻度・成因
Ⅱ.治療─診断・管理・治療
3 帯状疱疹後神経痛(加藤 実)
Ⅰ.概 論
Ⅱ.診 断
Ⅲ.治 療
Ⅳ.治療法のアルゴリズム
Ⅴ.帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛への移行予防
4 CRPS(住谷昌彦,柴田政彦)
Ⅰ.CRPSの歴史的経緯
Ⅱ.わが国におけるCRPSという呼称に関わる問題点
Ⅲ.CRPS 判定指標の検証(新たな判定指標作成の試み)
Ⅳ.CRPS に関連した病態
Ⅴ.CRPS に対する治療
5 幻肢痛・断端痛(加納利和,片山容一)
Ⅰ.幻肢痛・断端痛の定義
Ⅱ.推定される幻肢痛・断端痛の機序
Ⅲ.幻肢痛・断端痛の発現頻度
Ⅳ.治 療
6 三叉神経痛(河村信利,吉良潤一)
Ⅰ.定義・疫学
Ⅱ.症状・分類・診断
Ⅲ.治 療
Ⅳ.アルゴリズム
7 術後瘢痕疼痛症候群(表 圭一)
Ⅰ.概 論
Ⅱ.診 断
Ⅲ.治 療
Ⅳ.予 防
8 脊髄損傷性疼痛(益田律子)
Ⅰ.概 論
Ⅱ.SCI 痛に対する治療
Ⅲ.SCI 痛治療の進め方
Ⅳ.薬物療法以外の治療
Ⅴ.その他,SCI 痛に関わる諸問題
9 脳血管障害後の中枢痛(伊藤義彰,鈴木則宏)
Ⅰ.CPSPの概論
Ⅱ.CPSPの痛みの特徴・神経学的所見と診断
Ⅲ.CPSPの治療
10 末梢性神経外傷(静脈穿刺などによる神経障害)(加藤 実,小川節郎)
Ⅰ.末梢性神経外傷を防ぐための採血時の注意点
Ⅱ.神経障害性疼痛とCRPS
11 口腔顔面領域の神経障害性疼痛(今村佳樹,岡田明子)
Ⅰ.非定型口腔痛
Ⅱ.三叉神経外傷後ニューロパシー(二次性三叉神経痛)
Ⅲ.複合性局所疼痛症候群(CRPS)

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