書籍カテゴリー:小児科

小児の薬の選び方・使い方
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小児の薬の選び方・使い方
小児科医の手の内を公開!

2010年 第3版

  • 横浜市立大学大学院医学研究科発生成育小児医療学教授 横田俊平 編集
  • たはらクリニック院長 田原卓浩 編集
  • はしもと小児科クリニック院長 橋本剛太郎 編集

定価:5,670円(本体5,400円+税5%)

  • B5判 337頁
  • ISBN978-4-525-28443-5

改訂3版は全ページカラー化し,さらに見やすくわかりやすくなった.小児の日常診療で頻繁に遭遇する23症状・48疾患について,薬を選び使うまでのステップを経験豊かな小児専門医がその手の内を公開.いつ何をどう使えばよいか使うべきでないか,わかりやすく解説.処方例・薬用量の表も全面アップデート.小児を診るすべての医師,薬剤師必携.

序文

 2003年に本書を上梓して7年が過ぎ,改訂3版を発行する運びとなりました.幸いにして本書は多くの小児科医,子どもをみる他科医師の支持を受けて成長してまいりました.今回の改訂版でも,この間に寄せられた多数のご質問に対し,最新の情報,経験の蓄積を入れ込みましたが,私たちの気持ちは,“新しい本を創る気持ち”で改訂いたしました.そのことは,そこかしこに見て取っていただけると思います.今回も,多くは橋本剛太郎先生,田原卓浩先生のご尽力に負うところが大きく,もちろん南山堂編集部 熊倉倫穂さんの叱咤激励がなかったらこのようには迅速に進まなかったろうと思います.
 この7年間に臨床医学は長足の進歩を遂げてまいりました.臨床もこの医学の進歩に追いつき,かつ基礎医学へ逆に質問を投げかけられるように,私たちは臨床感覚を研ぎ澄まし,疑問点の抽出に努力すべきなのだと思います.
 その格段に進歩を遂げた代表格的なものは,「炎症の科学」です.炎症病態に陥ると子どもは発熱し,食欲が減退して動くのも億劫になります(sickness behavior).血液検査を行うとCRPや赤沈値が亢進し,白血球数が増加してとくに好中球には左方移動が観察されます.これらの事象は,子どもを診ている医師であれば「なんだ,当たり前のことを」と思われるでしょう.しかしなぜ発熱し,行動の変化が起こるのでしょうか? CRPや血清アミロイドAはなぜ上昇するのでしょうか? 慢性炎症を患う子どもは例外なく貧血に陥りますが,貧血を起こすメカニズムはどのようなものなのでしょう.臨床医には答えられない問題が多々ありました.ところが,ここ数年でこれらの炎症の問題がすべて解決されたのです.古くからの臨床的課題が,炎症性サイトカインと樹状細胞の細胞内伝達系という新しい武器を使って解決されたのです.
 さて,そうすると目の前の診察椅子に座った子どもが,発熱し,いかにもだるそうにしている,白血球数が15,000/μlで,CRPが6.4mg/dlであった,そのような子どもに遭遇したとき,私たち臨床医は,この子の身体の内側でインターロイキン(IL)-1βとIL-6が飛び交っている姿を想像できるでしょうか.現代の臨床医は,この子のIL-1βとIL-6を誘導している原因はなにか? そう問いかけるところから治療を考え始めることになります.
 あらためて「炎症病態」を考えると,すべての感染症に対する生体反応は「炎症」です.気管支喘息も気道の慢性炎症が基盤にないと発症しません.未熟児も絨毛膜炎がないと生まれないということが判明しています.リウマチ・膠原病はいうまでもなく慢性炎症性疾患です.白血病でさえ,細胞回転の高まった白血病細胞の崩壊産物が炎症メカニズムを刺激するため,発症当初には強い炎症所見を認めることがあります.神経芽腫の骨髄転移も骨髄における炎症が腫瘍細胞の増殖に関わっているようです.すなわち子どもの病気の多くのものに「炎症病態」が絡んでおり,なかには炎症性サイトカインが過剰に産生されたために病態が形成されたり,その調節機構に異常を生じたために過剰な炎症性サイトカインが病態形成の主役になっている疾患さえ発見されているのです.
 炎症病態がさまざまな疾患の基盤を形成しているとなると,その治療を考える際にも炎症病態を想起せざるを得ません.消炎を核とする根本的な治療法をそれぞれの疾患に対して新たに組み立てていく作業を始める時期が来たようです.その時には,本書もさらに論理とエビデンスを積み上げたものに進化させる必要がありそうです.今後が楽しみです.

2010年8月
編集者代表
横田 俊平

目次

総 論
はじめに:子どもと薬
 1 小児の処方せんの書き方
 2 小児の薬のいろいろな形
 3 上手に飲ませるための工夫
 4 薬の特性と相互作用
 5 薬のトラブルを防ぐために

各論Ⅰ:小児プライマリ・ケアのコアとなる薬の選び方・使い方
 1 外来で小児に使う抗菌薬
 2 抗ヒスタミン薬の使い方
 3 鎮咳去痰薬の使い方
 4 解熱薬の使い方
 5 小児の輸液の基本
 6 小児の経口補液療法

各論Ⅱ:よくみる症状と薬の選び方・使い方
 1 頭が痛い
 2 耳が痛い
 3 のど・口の中が痛い
 4 胸が痛い
 5 おなかが痛い
 6 手足が痛い
 7 鼻水,鼻づまり
 8 鼻出血
 9 かすれ声(嗄声)
 10 喘鳴,呼吸困難
 11 嘔吐
 12 下痢
 13 血便
 14 便秘
 15 頻尿,排尿痛
 16 夜尿
 17 血尿,蛋白尿
 18 むくみ(浮腫)
 19 けいれん
 20 黄疸
 21 貧血
 22 紫斑,出血傾向
 23 リンパ節腫脹

各論Ⅲ:よくみる疾患と薬の選び方・使い方
【ウイルス感染症】
 1 かぜ症候群
 2 インフルエンザ
 3 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
 4 水痘
 5 麻疹
 6 風疹
 7 伝染性紅斑
 8 突発性発疹
 9 手足口病
 10 ヘルパンギーナ
 11 ヘルペス性歯肉口内炎
 12 咽頭結膜熱(プール熱)

【細菌感染症】
 13 溶連菌性咽頭炎
 14 百日咳

【呼吸器疾患】
 15 急性扁桃炎
 16 クループ症候群
 17 気管支炎,肺炎
 18 急性細気管支炎
 19 気管支喘息
 20 喘息性気管支炎

【消化器疾患】
 21 感染性胃腸炎
 22 鵞口瘡
 23 蟯虫症

【泌尿器疾患】
 24 尿路感染症
 25 亀頭包皮炎
 26 外陰腟炎

【眼・耳・鼻の疾患】
 27 結膜炎,めやに
 28 麦粒腫,霰粒腫
 29 急性中耳炎
 30 外耳道炎
 31 鼻・副鼻腔炎
 32 アレルギー性鼻炎

【皮膚疾患】
 33 アトピー性皮膚炎
 34 乳児湿疹,乳児脂漏性湿疹
 35 おむつかぶれ
 36 接触皮膚炎
 37 じんましん
 38 とびひ(伝染性膿痂疹)
 39 水いぼ(伝染性軟属腫)
 40 しらみ(アタマジラミ)
 41 虫さされ
 42 犬による咬傷
 43 やけど,日焼け
 44 しもやけ
 45 にきび(ざ瘡)

【その他】
 46 周期性嘔吐症(自家中毒)
 47 乗物酔い
 48 起立性調節障害

薬品索引
用語索引