書籍カテゴリー:放射線医学/核医学

放射線治療学
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放射線治療学

第6版

  • 大阪大学名誉教授 井上俊彦 編
  • 大阪大学大学院教授 小川和彦 編
  • 大阪大学大学院教授 小泉雅彦 編

定価:9,180円(本体8,500円+税8%)

  • 四六倍判 439頁
  • 2017年7月 発行
  • ISBN978-4-525-27096-4

概要

至高の大改訂!オールジャパンによる放射線治療の今を紐解く

改訂6版では執筆陣を大幅に変更し,全国各地からエキスパートを新たに迎え,全面的に書き換えた。「内分泌臓器」「粒子線治療」の新設,UICC TNM分類 第8版のアップデートなど大幅な改訂となり,放射線治療の今を体系的に整理できる.また最新機器による画像への差し替え,さらには本文中にカラー写真を掲載し,理解の一助となる.

序文

 初版企画以降,20年が経過した.この間,医学の進歩は目覚しく,国内の多くの大学に放射線治療学講座が誕生した.初版の序に取り上げた,高精度放射線治療は日常診療に組み込まれ,進化を続けている.超高齢社会の医療問題に直面し,医療の哲学的考察や経済効率が問われる時代になった.現場のQA・QCや患者家族に対する癌医療の社会的整備を含め放射線治療を取り巻く環境は様変わりした.
 生命現象があり,固体が集合し,宗教が誕生し,法律が作られる.現今,問題にされる生命科学の進歩に倫理や法律が追いつかないことは今に始まったことではない.しかし,科学の進歩も驕る程ではない.宇宙空間の90%は暗黒物質と暗黒エネルギーである.目を人体に向けると,ミクロの構成も90%の未開の世界に行き着くであろう.したがって,昨今もてはやされるEBMも群盲評象の感である.その対極の個別化医療への足がかりになるNBMとのバランスが大切である.貝原益軒は医師を上医,中医,下医の三品に分け,命を任せ得る医師を問うている.今で言うガイドライン至上主義では中医止まりである.EBMに基づく教育は効果的であるが,教育における効率化には再考の余地がある.理詰めの教育の中に,直観の発達を妨げないことが大切である.EBMの適用される標準治療が何%に通用し,標準から離れた患者を如何に診立て施療するか,常に振り返りながら前に進む必要がある.
 UICC TNM分類?第8版(2017)を年始に入手した.急遽,該当する表と関連事項を書き改めた.当然,本書の治療方針と成績は第8版を反映しない.第8版も数箇所に誤植がある.お気づきの誤訳箇所があればお知らせください.甲状腺癌の組織診断・年齢,中咽頭癌のp16蛋白など,解剖学的病期分類とは別の予後因子がある.第8版では頻度の少ないものを除いた癌に「予後因子グリッド」が纏められた.腫瘍・宿主以外に,医療環境が予後因子に取り上げられた.一例として放射線治療のアクセスや医師の熟練度が問われている.海外でも放射線治療の質が問題にされていることが窺える.
 改訂6版の執筆陣に第一線で活躍中の先生方をお迎えした.教科書の体裁を整えるため,没個性的な文体にしているが,思想は紛れもなく諸先生のものである.過去の知識の記憶に終わらないで,前向きの思考と日々の臨床研鑽に基づく観察を通した学習態度の大切さが改めて問われる.学習者は是非熟読して,自己啓発の一助として欲しい.

 2017年5月
編集者を代表して
井上俊彦

目次

1.序  論 

2.癌の疫学と放射線腫瘍学 
  A.癌の疫学 
  B.放射線腫瘍学 
  C.日本放射線腫瘍学会(JASTRO)構造調査と理想の診療体系
  D.癌医療を取り巻く環境 

3.放射線治療の基礎 
  A.放射線物理学 
  B.放射線生物学 
  C.臨床放射線治療の基本要素 
  D.放射線治療看護 

4.治療機器・周辺機器 
  A.外部照射 
  B.小線源治療 
  C.粒子線治療 

5.放射線影響・防護 
  A.放射線影響 
  B.放射線防護 

6.頭 頸 部 
  頭頸部癌の概説 
  A.口腔癌 
  B.舌癌
  C.上咽頭癌 
  D.中咽頭癌
  E.下咽頭癌 
  F.鼻腔・副鼻腔癌
  G.喉頭癌 
  H.眼・眼窩腫瘍 
  I.頭蓋底腫瘍 
  J.唾液腺癌 
  K.聴器癌(耳癌)

7.肺・縦隔・胸膜腫瘍
  A.肺癌
  B.縦隔腫瘍
  C.胸膜腫瘍 
  D.有害事象

8.食 道 癌

9.乳  癌 

10.胃・小腸・結腸

11.直腸・肛門管
  A.直腸癌 
  B.肛門癌 

12.肝・胆・膵 
  A.肝臓癌 
  B.胆囊癌
  C.胆管癌
  D.膵臓癌 

13.子宮頸・子宮体・卵巣・腟・外陰
  A.子宮頸癌 
  B.子宮体癌
  C.卵巣癌
  D.腟癌 
  E.外陰癌

14.腎・腎盂・尿管・膀胱・陰茎・尿道・精巣・前立腺
  A.腎癌,腎盂癌,尿管癌
  B.膀胱癌
  C.陰茎癌,尿道癌
  D.精巣(睾丸)腫瘍
  E.前立腺癌

15.脳・脊髄腫瘍
  A.概説 
  B.放射線治療法
  C.有害事象
  D.各論 
 
16.皮膚・悪性黒色腫
  A.皮膚の構造
  B.皮膚悪性腫瘍の分類
  C.皮膚癌の病因と前駆症
  D.疫学
  E.好発部位
  F.病理組織と臨床経過
  G.病期分類
  H.治療 

17.骨・軟部腫瘍
  A.骨腫瘍
  B.軟部腫瘍
  C.治療
  D.有害事象
  E.治療成績

18.小児腫瘍
  A.小児腫瘍に対する放射線治療
  B.神経芽細胞腫
  C.横紋筋肉腫
  D.Ewing肉腫
  E.小児腎腫瘍

19.造血器腫瘍
  A.概説
  B.疾患分類とその頻度
  C.画像診断
  D.進展度分類,およびその他の予後予測指標
  E.治療
  F.経過観察と効果判定
  G.有害事象
  H.リンパ腫治療の最先端
  I.各論

20.内分泌臓器
  A.甲状腺腫瘍
  B.副腎髄質腫瘍

21.粒子線治療
  A.陽子線治療
  B.重粒子線治療

22.緩和照射
  A.緊急照射
  B.骨転移
  C.肺転移・肝転移
  D.脳転移
  E.オリゴメタスタシス
  F.癌による出血
  G.再照射

23.良性疾患に対する特殊照射
  A.動静脈奇形
  B.翼状片
  C.ケロイド
  D.三叉神経痛

24.展  望
  A.癌と放射線治療の教育 
  B.放射線腫瘍学の将来
  C.RI内用療法
  D.新しい画像診断と放射線治療


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