書籍カテゴリー:放射線医学/核医学|癌・腫瘍学

放射線治療学
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放射線治療学

第5版

  • 大阪大学名誉教授 井上俊彦 編
  • 大阪大学大学院教授 小川和彦 編
  • 大阪大学大学院教授 小泉雅彦 編

定価:9,180円(本体8,500円+税8%)

  • 四六倍判 412頁
  • 2014年4月 発行
  • ISBN978-4-525-27095-7

概要

改訂5版では分子標的治療および粒子線治療の情報更新や,緩和医療における展望を新たに追加するなど,最新の知見を盛り込み,内容の充実を図った.また最新機器による画像への差し替え,線量分布図については適宜カラー口絵を設けるなど,理解の一助となる.

序文

科学の発展が目立ちます.知識と技術の積み重ねが効率よく進められているからに違いありません.また自由な研究環境が保障されているからでしょう.医学分野でも,画期的な研究報告,創薬,先進的な装置が日々出てきます.もちろん当該分野の研究者から見れば,出るべくして出てきたものに違いありません.一方で,昨日までの常識であったものが過去のものとして消えて行きます.革新的な研究成果にも実臨床に入る前に消え去るものがあります.あるいは入った段階で重大な欠陥が発見され,急遽削除されることもあります.こうして見ると,臨床家は研究から医療行政まで見通せる洞察力が必要です.目の前に出現したものが現在の標準医療を置換するか,単なる交替に留まるか,むしろ悪化させるか,判断しなければなりません.当然個人の力では及ばないものがあります.しかし,臨床家は日常診療の中で,熟考し,決断し,遅滞なく実行する使命を背負っています.
 進歩と変化の早い放射線腫瘍学の現状において,重要なキーワードは「革新的な知識と技術の融合」です.今回,小改訂にとどめる方針で臨みましたが,第 1 章を書き換えることにしました.分子イメージングと高精度放射線治療,分子標的治療薬の登場による治療体系の変化,それらに適合した臨床研究の在り方をとりあげました.臨床現場の進歩に合わせて取捨選択し,各章の見直しを図り,できる限り若手の執筆者を登用しました.
 教えられてきたこと,教えてきた事実が時間とともに真実でなくなるものがあります.癌の放射線治療の世界にも無常の風が吹いてきます.実際,これまでの EBM に基づいたマニュアル通りでは許されないことに遭遇します.自分たちがその変化の真ん中に立っているのだと認識しなければなりません.そして,自然界の事象の多くは対立する 2 極で成立していることも忘れてはなりません.長く真実だと思ってきたことがそうでないとわかれば,警鐘を鳴らすことを躊躇してはならないのです.
 初版の序を記して 13 年の歳月が経過しました.本書の内容はこの間の進歩を反映し改訂に応じて,部分的に更新してきました.しかし,放射線治療学としての本書の基本姿勢は単なる知識の供給源としてでなく,考えて身につける学習態度を求めていることです.学習者が明日の医療現場で臨床チームの一員として立派に務めを果たすことを期待して,本改訂 5 版を上梓します.

2014年 2月
編者を代表して
井上俊彦

目次

1 序論 


2 癌の疫学と放射線腫瘍学 
A.癌の疫学 
B.放射線腫瘍学 
C.放射線治療の歴史 
D.わが国の放射線治療の構造と日本PCS作業部会のPCS解析 
E.癌医療を取り巻く環境 


3 放射線治療の基礎 
A.放射線物理学 
B.放射線生物学 
C.臨床放射線治療の基本要素
 

4 治療機器・周辺機器 
A.外部照射 
B.小線源治療
C.粒子線治療


5 放射線影響・防護 
A.放射線の影響
B.放射線の防護 


6 頭 頸 部
A.口腔癌 
B.舌癌 
C.上咽頭癌 
D.中咽頭癌 
E.下咽頭癌 
F.鼻腔・副鼻腔癌 
G.喉頭癌 
H.眼・眼窩腫瘍 
I.甲状腺腫瘍 
J.唾液腺癌 


7 肺・縦隔腫瘍 
A.肺癌 
B.縦隔腫瘍


8 食道癌 


9 乳 癌 


10 胃・小腸・結腸 


11 直腸・肛門管 
A.直腸癌 
B.肛門癌 


12 肝・胆・膵 
A.肝臓癌 
B.胆囊癌 
C.胆管癌 
D.膵臓癌 


13 子宮頸・子宮体・卵巣・腟・外陰
A.子宮頸癌 
B.子宮体癌 
C.卵巣癌 
D.腟癌 
E.外陰癌 


14 腎・腎盂・尿管・膀胱・陰茎・尿道・精巣・前立腺 
A.腎癌,腎盂癌,尿管癌 
B.膀胱癌 
C.陰茎癌,尿道癌 
D.精巣(睾丸)腫瘍 
E.前立腺癌 


15 脳・脊髄腫瘍 
A.総 論 
B.放射線治療法 
C.放射線による有害反応 
D.放射線治療各論 
 

16 皮膚・悪性黒色腫 
A.皮膚の構造 
B.皮膚悪性腫瘍の分類 
C.皮膚癌の病因と前駆症 
D.疫 学 
E.好発部位 
F.病理組織と臨床経過 
G.病期分類 
H.治 療 


17 骨・軟部腫瘍 
A.骨腫瘍 
B.軟部腫瘍 
C.骨軟部腫瘍への放射線治療の有害反応
 

18 小児腫瘍 
A.ウィルムス腫瘍 
B.横紋筋肉腫
C.神経芽腫 


19 造血器腫瘍 
A.概 説 
B.疾患分類とその頻度 
C.画像診断 
D.進展度分類,およびその他の予後予測指標 
E.治 療 
F.経過観察と効果判定 
G.有害事象 
H.リンパ腫治療の最先端 
J.各 論 


20 緩和治療 
A.緊急照射 
B.骨転移 
C.肺転移 
D.脳転移 
E.肝転移 
F.癌による出血 
G.再照射 
H.緩和治療における新戦略 
 

21 良性疾患に対する特殊照射 
A.動静脈奇形 
B.翼状片 
C.ケロイド 


22 展望 
A.放射線治療における看護
B.精神腫瘍学と放射線腫瘍学
C.次世代型放射線治療 


日本語索引 
外国語索引