書籍カテゴリー:臨床薬学|看護

がん患者の栄養管理
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がん化学療法チームハンドブック
がん患者の栄養管理

2009年 1版

  • 厚生連高岡病院外科 診療部長 大村健二 編

定価:3,456円(本体3,200円+税8%)

  • B5判 278頁
  • ISBN978-4-525-26041-5

がん化学療法施行時は消化器毒性等のため,患者の栄養状態の管理が重要である.本書ではがん患者の栄養管理が実践できるよう,病態・治療を基礎からわかりやすく学びながら栄養療法の基本を学べるよう工夫した.また栄養療法の理解が深まるよう事例を提示し,具体的に解説した.栄養サポートをマスターしたい医療スタッフにおすすめの書.

序文

近年の各種がん化学療法の進歩には目を見張るものがある.その内容は,大きく2つに分けられるであろう.1つは治癒率や奏効率の向上,生存期間の中央値の延長といったがん化学療法の効果の増強である.もう1つは,従来多くの場合入院を必要としたがん化学療法が外来で安全に施行できるようになったことである.後者を可能にした要因には,まず腫瘍内科医の尽力,さらにはがん専門薬剤師,がん化学療法看護認定看護師などの認定制度制定によるコメディカルの質の向上があげられる.さらに,外来がん化学療法室の整備やがん化学療法にクリティカルパスが導入されたことも大きく寄与したことは確実である.
有効な化学療法を外来で施行することにより,がん化学療法を受ける患者の社会的活動性の制約は著しく縮小した.それは,がん患者のQOLの向上に直結するといって過言ではない.しかし,ここで留意すべきであるのは,がんの化学療法を施行されている患者にしばしばみられる栄養状態の悪化である.
わが国の医療では,長きにわたって栄養管理が軽視されてきた.そこが,欧米の医療との大きな相違点である.体重の減少がQOLの低下と有意に相関することは,欧米では広く認識されている.消化管毒性が高頻度にみられるがん化学療法を外来で安全かつ安楽に施行するために,適切な栄養管理が必要であることに疑いの余地はない.栄養管理を開始するタイミングを失すれば直ちに患者のQOLを低下させ,医療行為の価値の減少に帰結する.
本書は,わが国の医学教育の最大の弱点である栄養学,栄養管理に重心を置いたものである.しかし,抗がん薬の薬理学的特徴やがんの時間学,各種悪性腫瘍に関する基礎知識のまとめなどをわが国の医学,薬学を牽引する方々に執筆いただいた.その結果,この1冊で広くがんの化学療法に関する知識を得られる本になったと確信する.化学療法を受けるがん患者を受け持つがん化学療法専門医,研修医,がん専門薬剤師,がん化学療法看護認定看護師などにぜひお読みいただき,がん化学療法を理解する一助となれば無上の喜びである.


2009年夏
厚生連高岡病院外科 診療部長
大村健二



目次

第1部 がん患者における栄養管理のエッセンス

なぜ副作用が起きるのか?
〜抗がん薬の副作用の理解に必要な臨床薬理学の基礎知識〜
  1)抗がん薬の薬物動態と抗腫瘍効果
  2)抗がん薬の薬物動態と副作用
  3)抗がん薬の遺伝子多型と副作用

消化管毒性 なぜ起こる?起こったらどうする?
〜発生機序とその薬理学的対策〜
  1)食欲不振,悪心・嘔吐
  2)下 痢
  3)口内炎
  4)味覚障害

栄養不足になるのはどうして?
〜がんの時間学と栄養障害〜
  1)がんの時間学
  2)腫瘍の増大と生存への適応
  3)がん悪液質

これだけは知っておこう!
〜化学療法中の栄養管理に必要な栄養学の基礎知識〜
  1)栄養アセスメントと栄養療法の適応
  2)栄養療法のプランニング
  3)栄養療法のモニタリングと合併症の予防


第2部 がん化学療法の施行に必要な基礎知識
    ―疫学から支持療法まで―
  1)食道がん
  2)胃がん
  3)大腸がん
  4)膵がん
  5)原発性肝がん
  6)子宮頸がん
  7)卵巣がん
  8)血液がん(白血病,悪性リンパ腫)
  9)泌尿器がん(腎細胞がん,膀胱がん)
 10)肺がん(非小細胞性肺がん,小細胞肺がん)
 11)頭頸部がん
 12)骨腫瘍

第3部 がん化学療法中に施行する栄養管理
  1)がんの術前補助化学療法
  2)がんの術後補助化学療法
  3)切除不能進行・再発がん
  4)白血病
  5)終末期がん患者に対する輸液治療