2011年 1版
定価:4,725円(本体4,500円+税5%)
心不全は初期段階の適正な診断・治療,長期的管理による症状悪化・再入院の防止が求められている.本書はかかりつけ医などの非専門医が日常診療で診る慢性心不全について,基礎知識から実際の診療のノウハウまで知っておくべきこと・できることを循環器専門医および心不全診療に積極的に取り組む開業医がQ&A形式(94項目)でわかりやすく解説.
高齢化社会に伴って慢性心不全患者数は増加し続け,現在,日本の患者数は100万人以上とも推計されている.心不全診療においては,いかに初期段階(無症候~軽症)で診断・治療し,長期的な管理によって症状の悪化を防ぎ,予後を改善できるかが求められている.しかし,この20年間で心不全の病態解明や薬物治療は大きく進歩したものの,現在でも症状が悪化して入退院を繰り返す患者が後を絶たず,その長期予後は十分に改善されたとはいえない.
現状では,高齢者や生活習慣病などの心不全リスクのある患者や,症状の安定した慢性心不全患者の多くが地域の実地医家の先生方や一般内科医などの循環器の非専門医の先生方にかかっていると思われるが,これら多くの医師にも心不全の病態や診断方法,新しい治療薬などの十分な理解による,さらなる適正な初期診断・治療・長期管理が望まれるところである.
そこでこのたび,実地医家・一般内科医の先生方に向けて,日常診療において適切に心不全の初期診断・治療を行い,その後の症状の悪化を食い止めていただくことをめざして,心不全の病態を理解するための基礎知識から,実際の診療のノウハウやコツまでをQ&A形式で簡潔にわかりやすくまとめた実践書を企画させていただいた.Questionは「心不全とは何か」から始まり,実地医家・一般内科医が日常診療で診る慢性心不全について,先生方が日々の診療で直面し悩まれるであろう事項を重点的にとりあげ,第一線の専門医の先生方にわかりやすく解説していただいた.さらに,心不全診療に積極的に取り組まれている開業医の先生方には「私のアプローチ」として日常診療のワンポイントアドバイスを執筆していただいた.
今回著者の先生方には,EBMをまとめるだけでなく,実際の診療における先生方それぞれのお考えも反映していただいたため,若干コントラバーシャルな点もあるがご容赦をお願いしたいと思う.
本書が,日々の診療のなかで慢性心不全を診断・治療されている先生方のお役に立ち,患者のQOLと予後の改善につながれば,編集者として望外の喜びである.また本書は実地医家の先生方だけでなく,研修医の方々にも広く読んでいただけると幸いである.
最後に,ご多忙にもかかわらずご執筆いただいた著者の先生方,南山堂の熊倉倫穂さんに,多大なるご尽力をいただいたことをここに感謝したい.
2011年3月
佐賀大学医学部内科学 教授
野出孝一
第1章 心不全とは何か?
1.心不全の病態
Q1 心不全の定義を教えてください.
Q2 心不全における代償機構とは何ですか?
Q3 右心不全,左心不全,うっ血性心不全の病態はどのような違いがありますか?
Q4 拡張不全とはどんな心不全ですか?
Q5 心室リモデリングとは何ですか?
Q6 心腎連関とは何ですか?
Q7 睡眠時無呼吸症候群と心不全は関連がありますか?
Q8 心不全患者の病態に性差はありますか?
2.心不全の原因
Q9 日本人の心不全の原因疾患には何がありますか?
Q10 ストレスと心不全の関連について教えてください.
Q11 どのような心筋梗塞が心不全を起こしやすいのでしょうか?
Q12 狭心症は心不全を発症させますか?
Q13 不整脈は心不全を起こしやすいのでしょうか?
Q14 虚血性心不全と非虚血性心不全の病態は何が異なりますか?
Q15 心不全は遺伝しますか?
Q16 心不全患者の死亡原因には何がありますか?
Q17 心不全と炎症の関係を教えてください.
Q18 心不全患者は今後も増えますか?
第2章 心不全をどう診断するか? -見逃さないためのアプローチ-
1.初期診断のポイント -どの時点で心不全と診断すればよいのか-
Q19 外来で慢性心不全を診断するポイントを教えてください.
Q20 自覚症状で注意すべき点は何ですか?
Q21 身体所見で注意すべき点は何ですか?
Q22 慢性心不全の重症度は何で測りますか?
Q23 心機能のおおよその指標は左室駆出率(LVEF)と考えてよいのでしょうか?
Q24 心室機能の評価方法を教えてください.
Q25 心房機能の評価方法を教えてください.
Q26 BNPは心不全の診断・管理にどのように活かしたらよいでしょうか?
Q27 BNPのほかに診断に役立つ血中マーカーはありますか?
Q28 心不全による胸水の特徴を教えてください.
Q29 肺疾患による心不全(肺性心)の鑑別ポイントを教えてください.
Q30 CKDがあるときの心不全の特徴を教えてください.
Q31 心不全診断で重要な心電図変化を教えてください.
Q32 心不全診断で重要な胸部X線所見の変化を教えてください.
Q33 エコーによる診断のポイントを教えてください.
Q34 カテーテル検査の適応をわかりやすく教えてください.
2.心不全の増悪因子
Q35 基礎心疾患によって心不全の増悪因子は異なりますか?
Q36 心不全症状に日内・季節変動はありますか?
3.心不全の合併症の診断
Q37 内分泌疾患に合併する心不全の診断のポイントを教えてください.
Q38 糖尿病に合併する心不全の診断のポイントを教えてください.
4.専門医へ紹介するタイミング
Q39 どの時点で専門施設に紹介すべきでしょうか?
第3章 心不全をどう治療するか? -悪化させないためのアプローチ-
1.初期治療のポイント
Q40 一般内科医も心不全を治療すべきでしょうか?
Q41 慢性心不全の段階的治療とは何ですか?
Q42 高血圧の何が悪いのですか?
Q43 心不全患者では血圧をどこまで下げればよいでしょうか?
2.日常生活の管理
Q44 心不全の増悪因子はどのように管理すればよいでしょうか?
Q45 患者の家族にはどのように治療に介入してもらえばよいでしょうか?
Q46 患者のQOLを改善する方法はありますか?
3.栄養管理
Q47 水分管理・塩分管理はどのように指導すればよいでしょうか?
4.運動療法
Q48どこまで運動させるのがよいのでしょうか?
5.Key Drugの使い方① ACE阻害薬とARB
Q49 ACE阻害薬は心不全の全例に投与すべきでしょうか?
Q50 ACE阻害薬による咳の対策を教えてください.
Q51 ACE阻害薬とARBの併用は有効でしょうか?
Q52 ARB間で効果に差がありますか?
Q53 ARBとACE阻害薬の効果は同等でしょうか?
Q54 ARBの増量のポイントを教えてください.
6.Key Drugの使い方② β遮断薬
Q55 β遮断薬は心不全の全例に投与すべきでしょうか?
Q56 β遮断薬を導入するときの注意点を教えてください.
Q57 β遮断薬を投与されている慢性心不全患者の管理のポイントを教えてください.
Q58 β遮断薬を投与されているのに心不全が悪化したらどうしたらよいでしょうか?
Q59 β遮断薬間で効果に差がありますか?
7.Key Drugの使い方③ 利尿薬
Q60利尿薬の使い方のポイントを教えてください.
Q61 ループ利尿薬の治療上の位置づけを教えてください.
Q62 ループ利尿薬は季節によって投与量を調節したほうがよいのでしょうか?
Q63 ループ利尿薬フロセミドの長期投与はよくないのでしょうか?
8.Key Drugの使い方④ 強心薬
Q64 ジギタリスの使い方のポイントを教えてください.
Q65 ジギタリス以外の強心薬の使い方を教えてください.
9.Key Drug以外の薬物療法の留意点
Q66 硝酸薬は慢性心不全に有効ですか?
Q67 アルドステロン受容体拮抗薬の治療上の位置づけを教えてください.
Q68 Ca拮抗薬の使い方のポイントを教えてください.
Q69 心不全患者への投与を特に注意すべき薬,または控えるべき薬はありますか?
10.拡張不全の治療
Q70 拡張不全の治療はどのようにしたらよいでしょうか?
11.不整脈と心不全の治療
Q71 不整脈はどこまで治療するべきでしょうか?
Q72 抗不整脈薬メキシレチンは心不全患者の予後を改善しますか?
12.合併症のある心不全患者の治療
Q73 右心不全合併例の治療方法について教えてください.
Q74 貧血合併例の治療方法について教えてください.
Q75 心房性不整脈合併例の治療方法について教えてください.
Q76 心室性不整脈合併例の治療方法について教えてください.
Q77 高血圧合併例の治療方法について教えてください.
Q78 糖尿病合併例の治療方法について教えてください.
Q79 虚血性心疾患合併例の治療方法について教えてください.
Q80 肺疾患による心不全(肺性心)の治療方法について教えてください.
Q81 腎機能障害合併例の治療方法について教えてください.
Q82 低血圧合併心不全に対する薬物療法のポイントを教えてください.
13.高齢者の心不全の治療
Q83 高齢者の心不全はどこまで治療したらよいでしょうか?
Q84 高齢心不全患者の生活指導のポイントを教えてください.
第4章 心不全診療の展望
1.診断方法
Q85 心不全診断の新しいマーカーとして何が期待されていますか?
Q86 心エコー法には今後どのような可能性が考えられますか?
2.薬物療法
Q87 レニン阻害薬には何が期待されますか?
Q88 ARBと利尿薬の配合剤はどのような症例に有用ですか?
Q89 心不全の新しい治療薬の開発は進んでいますか?
3.侵略的治療法
Q90 心室再同期療法(CRT)とはどのような治療方法ですか?
Q91 左室形成術とはどのような治療方法ですか?
Q92 左室補助デバイスとは何ですか?
4.再生医療
Q93 心筋再生療法はどこまで進んでいますか?
5.在宅医療
Q94 心不全患者の在宅医療にはどのようなことが求められますか?
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