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ぶらなび

血液疾患診療ナビ

あなたが診ても,ここまでわかる!

改訂2版

宮崎医院 院長 宮崎 仁 編集

定価

3,850(本体 3,500円 +税10%)


  • B5判  236頁
  • 2016年8月 発行
  • ISBN 978-4-525-23292-4

街場の血液内科学の決定版!

〜血液を専門としない医師のために〜
かかりつけ医が診る血液疾患だけを,わかりやすく解説するコンセプトはそのままに,アップデートを施した.
「思春期女子の貧血への対処」「血液疾患患者が風邪をひいて来院したら」など,知って得する項目も増補.さらに実践で使える書籍になっている.

  • 序文
  • 目次
序文
「ぶらなび,使ってますよ」
 本書の初版を上梓してから,プライマリ・ケア/ 家庭医療系の診療に携わる人々が集まる場へわたしが出かけると,思いがけずこんなお声をかけていただくことが少なくない.そして,そんな声かけをしてくださるのは,まったく面識のない若いドクターのみなさんであることがほとんどで,それがなおさらうれしい.
 本書の初版が出版されてから,早くも6 年余りの歳月が経過した.当初は,血液学の王道である白血病や悪性リンパ腫をまともに取りあげていない,おまけに血液細胞の写真すら1 枚も出てこないような,偏った趣向の血液内科本が世の中に受け入れられるかどうか,編著者であるわたしはとても心配であった.
 しかし,それはどうやら杞憂に終わったようだ.「フツーの開業医が外来で本当に診ている血液疾患/ 血液学的問題しか4 4 扱わない」という本書のコンセプトは,プライマリ・ケア医/ 家庭医のみなさんに歓迎されて,全国あちらこちらの外来診察室で,ナビとしての役割を果たしてくれていることを,この6 年という時間の経過のなかで,各地の仲間たちがわたしにちゃんと教えてくれた.
 そこで,この改訂第2 版でも初版のコンセプトをそのまま踏襲する.そのコンセプトを簡単に言えば,「医師国家試験のための血液学(国試血液学)の呪縛から解放された澄んだ眼で,街場の血液学の患者さんを精密に診ること」ということだ.特に血液学的異常の原因となる疾患の頻度や事前確率については可能なかぎり明示した.ここをしっかり押さえておかないと,「国試血液学」から「街場の血液学」への転身を果たすことができないからである.
 例えば,「地域で暮らす高齢者の貧血のうちの30 〜 40% は,適切な評価を行っても原因となる疾患や異常が見つからず,”Unexplained anemia of the elderly(UAE)”と呼ばれている」という事実を知っていると,現場の臨床医は随分と気が楽になるだろうし,無益な鉄剤投与も減るのではないだろうか.そして,このような大切な知見は,国試内科学用の教科書には,めったに書かれていない.いろいろと複合的な問題を抱えた高齢者の貧血を診る機会は多いが,そんな場面でこそ,本書のナビ能力が威力を発揮してくれるはずである.
 改訂にあたり,初版に対して読者のみなさまから頂戴した貴重なご意見やご指摘をできるだけ紙面に反映させたつもりである.これからも,診察室で使いものになるナビとしての進化を止めないために,第2 版の内容についても,街場で孤軍奮闘されているユーザーのみなさまからのフィードバックを,ぜひともお願いしたい.
 最後に,初版にひき続いて,編者の意図を汲んで寄稿してくださった執筆者の先生がた,相変わらず仕事の遅いわたしに辛抱強く伴走していただいた南山堂編集部の佃 和雅子さん,古賀倫太郎さん,いつも機知に富んだ素敵なイラストを描いてくださるたむらかずみさん,以上の「ぶらなび組(ぐみ)」のみなさまがたに,今回も深く感謝いたします.どうも,ありがとうございました.

2016年6月 医師になって30年目の初夏に
宮崎 仁
目次
Chapter 1  総論:血液疾患診療ナビゲーション
ナビゲーション開始 〜目的地は「街場の血液学」〜
1. なぜ,血液疾患は嫌われるのか?
2. 疾患頻度に関する「誤解」
3. 本書のコンセプト
4.「街場の血液学」だって,おもしろい!

Chapter 2  病歴・診察所見から考える
2-A 貧 血
1. 貧血を見逃さないための戦略 〜問診〜
2. 貧血を見逃さないための戦略 〜身体診察〜
3. 貧血の鑑別診断に役立つ情報 〜問診〜
4. 貧血の鑑別診断に役立つ情報 〜身体診察〜
2-B 出血傾向
1. 本物の「出血傾向」であるか?
2. 病歴聴取のポイント
3. 身体診察のポイント
  コラム 「しはん」の心配
2-C リンパ節腫脹
1. リンパ節の基本構造
2. リンパ節の主要な機能
3. リンパ節腫脹の病態生理
4. 疫学的事項
5. 鑑別診断の手順とポイント
6. 臨床検査
7. リンパ節生検
8. 生検結果の評価と解釈
9. こんなとき専門医へ
コラム 悪性リンパ腫の施設病理医診断と血液病理医診断,および血液病理医間の診断一致率について― central review に基づく解析
コラム 「悪性リンパ腫」の社会的認知度・知名度を考える
2-D 発熱・易感染性
1. 最初のステップ
2. 検査のポイント
3. 易感染患者と出会ったら

Chapter 3 血液データ異常から考える
3-A 赤血球の減少(貧血)
1. 最初のステップ
2. プライマリ・ケアで診る小球性貧血
3. プライマリ・ケアで診る大球性貧血
4. プライマリ・ケアで診る正球性貧血
5. プライマリ・ケアで診る溶血性貧血
6. 患者さんのマネジメント
7. こんなとき専門医へ
8. 患者さんへの説明ポイント
3-B 赤血球の増加(多血症)
1. 赤血球増加症の原因となる疾患の頻度を知る
2. プライマリ・ケアで遭遇する赤血球増加症の原因
3. プライマリ・ケアにおける赤血球増加症鑑別のステップ
4. 患者さんのマネジメント
5. こんなとき専門医へ
6. 患者さんへの説明ポイント
3-C 白血球の減少
1. プライマリ・ケアにおける白血球減少鑑別のステップ
2. 患者さんのマネジメント/ こんなとき専門医へ
3. 患者さんへの説明ポイント
3-D 白血球の増加
1. プライマリ・ケアにおける白血球増加鑑別のステップ
2. 好中球増加症
3. リンパ球増加症
4. 好酸球増加症
5. 好塩基球増加症
6. 単球増加症
7. 患者さんのマネジメント
8. こんなとき専門医へ
9. 患者さんへの説明ポイント
3-E 血小板減少
1. 血小板減少に出会ったら
2. プライマリ・ケアにおける血小板減少へのアプローチ
3. 患者さんのマネジメント
4. こんなとき専門医へ
5. 患者さんへの説明ポイント
3-F 血小板増加症と本態性血小板血症
1. 血小板増加に出会ったら
2. 反応性か? クローナルな血液疾患か?
3. 患者さんのマネジメント
4. こんなとき専門医へ
5. 患者さんへの説明ポイント
コラム 悩ましき「がんもどき」たち
3-G 汎血球減少
1. 汎血球減少の診断基準
2. 汎血球減少に遭遇したら
3. 汎血球減少をきたす主な疾患 
4. プライマリ・ケアにおける汎血球減少症診断の手掛かり
5. 患者さんのマネジメント
6. こんなとき専門医へ
7. 患者さんへの説明ポイント
3-H M 蛋白血症を見つけたら〜MGUS と骨髄腫〜
1. M 蛋白血症とプライマリ・ケア医
2. MGUS とは何か 
3. プライマリ・ケアにおけるM 蛋白血症へのアプローチ
4. プライマリ・ケアでの現実的な対応
5. 患者さんのマネジメント
6. こんなとき専門医へ
7. 患者さんへの説明ポイント
3-I 凝固系検査値の異常
1. 凝固系検査に関する基礎知識
2. 凝固系検査の特性
3. 凝固系検査の判定
4. プロトロンビン時間(PT)
5. 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
6. フィブリノーゲン
7. 止血機構亢進状態を把握するための検査
3-J 健康診断における血液データ異常値の扱い方
1. 健診データの解釈に関する基本的事項
2. 正常値(基準値)の決め方
3. 健診結果で緊急対応が必要なもの
4. 過去の健診結果との対比の目安
5. 赤血球系の異常
6. 白血球系の異常
7. 血小板系の異常
8. 再検査でオーダーすべき検査項目
3-K 自動血球計数装置でここまでわかる
1. 自動血球計数装置について知る
2. 自動血球計数装置の測定原理
3. 赤血球関連の血球分析情報
4. 血小板関連の血球分析情報
5. 白血球関連の血球分析情報

Chapter 4 プライマリ・ケア医が診る血液疾患と外来マネジメントのポイント
4-A 鉄欠乏性貧血(IDA)
1. 鉄欠乏と診断するときのポイント 
2. 鉄欠乏の原因を探索する 
3. 治 療 
4. 患者さんのマネジメント 
5. こんなとき専門医へ 
6. 患者さんへの説明ポイント 
4-B 思春期女子の貧血
1. 思春期女子の特性と貧血の背景因子
2. スポーツ貧血の影響 
3. ヘリコバクターピロリ菌感染に関連した思春期貧血
4. 思春期貧血のアセスメント
5. 患者さんのマネジメント
6. こんなとき専門医へ
7. 患者さんへの説明ポイント
4-C 慢性疾患に伴う貧血(ACD)
1. ACD の基礎疾患
2. プライマリ・ケアにおけるACD の診断
3. ACD の病態
4. 患者さんのマネジメント
5. こんなとき専門医へ
6. 患者さんへの説明ポイント
4-D 保存期慢性腎臓病患者の貧血
1. CKD 患者の貧血を診たら
2. プライマリ・ケアにおける腎性貧血へのアプローチ
3. こんなとき専門医へ
4. 患者さんへの説明ポイント
4-E 低リスクMDS と関連疾患
1. MDS とAA の鑑別診断は難しいことがある
2. ICUS という新たな概念
3. 低リスクMDS/ 軽症AA と判定する基準
4. 外来におけるフォローアップの実際
5. 患者さんのマネジメント
6. こんなとき専門医へ
7. 患者さんへの説明ポイント
4-F 内科疾患に伴う血液異常
1. 多量飲酒者の血液異常
2. 喫煙者の血液異常
3. 感染症に伴う好中球減少症
4-G 薬剤の影響による血液異常
1. 薬剤性好中球減少症
2. 薬剤性血小板減少症
3. 薬剤性汎血球減少症
4-H 妊婦の血液異常
1. 正常な妊娠に伴う血液学的変化
2. 妊婦によくみられる血液疾患
3. 産婦人科医からの伝言
4-I 高齢者の貧血
1. 高齢者の貧血に関する臨床疫学的データ
2. 高齢者貧血のアセスメント
3. 高齢者貧血のマネジメント
4. こんなとき専門医へ
5. 患者さん・家族への説明ポイント
コラム 「老人性貧血」の原因を探せ
4-J 伝染性単核球症と単核球症類似疾患
1. 伝染性単核球症の病態
2. 伝染性単核球症の診断
3. 単核球症類似疾患の病態
4. 患者さんのマネジメント
5. こんなとき専門医へ
6. 患者さんへの説明ポイント
4-K 血液疾患患者がかぜをひいて来院したら
1. 血液疾患患者のかぜ診療が難しい理由
2. 問診におけるチェック・ポイント
3. 身体所見・検査におけるチェック・ポイント
4. 患者さんのマネジメント
5. こんなとき専門医へ
6. 患者さんへの説明ポイント
4-L HTLV-Ⅰ抗体キャリアへの対応
1. HTLV-Ⅰ感染の診断
2. 感染経路の特定
3. HTLV-Ⅰ関連疾患の診断
4. HTLV-Ⅰ感染予防対策
5. こんなとき専門医へ
6. 患者さんへの説明ポイント

Chapter 5 エマージェンシーへの対応
血液学的エマージェンシー
1. 播種性血管内凝固症候群(DIC)
2. 急性白血病
3. 紫斑病 〜特発性血小板減少性紫斑病(ITP),血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)〜
4. 進行の速い貧血
5. Oncology emergency(腫瘍崩壊症候群,高カルシウム血症,神経浸潤・神経圧迫)

Chapter 6 コンサルテーションの秘訣
6-A 専門医に紹介するタイミング
6-B 血液専門医からプライマリ・ケア医へのお願い
1. プライマリ・ケア医から専門医への紹介に当たって
2. 血液専門医からプライマリ・ケア医への逆紹介に当たって
コラム 「まれな血液疾患」は本当にまれか,気づいていないだけか
6-C プライマリ・ケア医から専門医へのお願い

Chapter 7 血液疾患とEBM /臨床疫学/診断推論
プライマリ・ケアにとってのエビデンスとは
1. EBM 実践の手順 
2. ステップ1 臨床で生じた疑問の定式化
3. ステップ2 疑問に基づいた情報収集
4. ステップ3 得られた情報の批判的吟味
5. ステップ4 情報の患者診療への適応
6. ステップ5 上記のステップを評価

索 引
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