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カテゴリー: 神経学/脳神経外科学  |  検査・診断学

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ここに気をつける!誘発電位ナビ

はじめの一歩から臨床と研究のヒントまで

1版

九州大学 教授 飛松省三 著

定価

3,850(本体 3,500円 +税10%)


  • A5判  266頁
  • 2017年9月 発行
  • ISBN 978-4-525-22551-3

誘発電位は難しくない,楽しいを実感できる入門書

誘発電位検査はどのように解釈するか,どのように使うかがわかりにくい.本書は基本をわかりやすく記述しているだけではなく,著者の長年の経験を基にこれからの臨床での検査や研究のヒントまで書かれており,中身の濃い一冊となっている.随所にちりばめられたミニコラムも必見.

  • 目次
  • 序文
目次
第Ⅰ部 はじめの一歩

1章 誘発電位を楽しもう!
 1 誘発電位とは
 2 誘発電位の歴史
2章 誘発電位を理解するための基礎知識
 1 誘発電位の電気生理学的基礎
 2 誘発電位に必要な生理学的知識
 3 誘発電位特有の用語に慣れましょう
 4 検査室の条件
 5 誘発電位の記録
 6 誘発電位の種類
 7 誘発電位の読み方
 8 トラブル対処法

第Ⅱ部 誘発電位各論

1章 誘発電位の種類
2章 視覚誘発電位
 1 なぜパターン刺激?
 2 刺激のパラメータ
 3 記録法
 4 正常波形
 5 異常の判定
 6 トラブル対処法
3章 聴性脳幹反応
 1 なぜクリック音刺激?
 2 刺激のパラメータ
 3 記録法
 4 正常波形
 5 異常の判定
 6 トラブル対処法
4章 体性感覚誘発電位
 1 なぜ電気刺激?
 2 刺激のパラメータ
 3 記録法
 4 波形のパラメータ
 5 異常の判定
 6 皮質SEP
 7 トラブル対処法
5章 運動誘発電位
 1 なぜ磁気刺激?
 2 刺激のパラメータ
 3 記録法
 4 正常波形
 5 異常の判定
 6 トラブル対処法
6章 多モダリティー誘発電位
7章 脳磁図
 1 検査の目的
 2 原 理
 3 検査方法
 4 異常所見
8章 事象関連電位
 1 事象関連電位とは
 2 事象関連電位の用語に慣れましょう!
 3 事象関連電位の命名法
 4 事象関連電位の種類
 5 事象関連電位の記録の実際
 6 P300 の臨床応用
 7 ミスマッチ陰性電位
 8 トラブル対処法
9章 誘発電位報告書の書き方
 1 誘発電位の読み方
 2 視覚誘発電位の所見の書き方
 3 聴性脳幹反応の所見の書き方
 4 体性感覚誘発電位の所見の書き方
 5 運動誘発電位の所見の書き方
 6 まとめ

第Ⅲ部 臨床と研究のヒント

1章 聴覚系を究める
 1 聴覚中潜時反応の臨床応用
 2 40Hz聴性定常状態反応
 3 吃音症の病態生理
2章 体性感覚系を究める
 1 脳幹・視床体性感覚誘発電位
 2 手指刺激SEPの相互作用
 3 振動覚刺激による定常状態型SEP
 4 運動による皮質SEPのゲーティング機構
 5 脳磁図による体性感覚野の加齢変化
3章 運動系を究める
 1 上下肢運動誘発電位に対する性,身長,年齢の影響
 2 8の字コイルの方向と末梢神経の興奮性
 3 MEPによる小手筋と前腕筋の反応特性の違い
 4 MEPの入出力曲線
 5 ヒラメ筋後期反応の生理学的特徴と臨床的意義
 6 経頭蓋直流電気刺激と運動・感覚野の興奮性多発性硬化症の病態生理
4章 視覚系を究める 151
 1 視覚誘発電位(網膜電図を含む)の発生源
 2 VEP(ERG を含む)と刺激パラメータ
 3 VEP による一次視覚野の機能解明
 4 磁気刺激による一次視覚野の機能調節
5章 脱髄・慢性炎症疾患を究める
 1 副腎白質ジストロフィー症の病態生理
 2 HTLV-1 associated myelopathy(HAM)の病態生理
 3 視神経炎の病態生理
 4 多発性硬化症の病態生理
6章 てんかんを究める
 1 皮質性ミオクローヌスの病態生理
 2 周期性同期性放電の神経機序
 3 持続性部分てんかんの病態生理
 4 光感受性てんかんの病態生理
 5 海馬硬化と聴覚認知
7章 発達とその障害を究める
 1 視覚機能の発達
 2 体性感覚機能の発達
 3 自閉症の病態生理
8章 認知とその障害を究める
 1 高次視覚路における小細胞系と大細胞系の機能分離
 2 顔認知の神経基盤とその障害
 3 顔に対する視覚的気づき
 4 文字認知の神経基盤
 5 時間認知の神経基盤
 6 痛覚受容と除痛の神経基盤
 7 認知症の電気生理学的バイオマーカー

ミニコラム
1 Hans Berger(1873~1941)の人となり
2 Edger D Adrian(1889~1977)の慧眼
3 論文を超一流紙に通すのは大変
4 医師は生体医工学が苦手
5 パターン反転刺激によるVEP
6 研究医と臨床医の二足のわらじ
7 Fz基準による短潜時SEPと中枢感覚伝導時間
8 遠隔電場SEP
9 脳波の光駆動を報告したWalter
10 平衡型頭部外基準
11 電流双極子の向きは重要
12 フーリエ変換とコヒーレンス
13 遠隔電場電位の発生理論
14 体部位局在
15 安静時運動閾値
16 2発刺激経頭蓋磁気刺激法
17 反復刺激TMSによる脳機能の興奮・抑制
18 随意運動の発現
19 経頭蓋直流電気刺激と経頭蓋交流電気刺激
20 空間周波数は視覚刺激の基本
21 網膜部位対応
22 並列的視覚情報処理
23 眼内閃光
24 脱髄性疾患における誘発電位の利用の仕方
25 脳波と筋電図の同時記録によるポリグラフ検査
26 Jerk-locked back averaging(JLA)法
27 巨大SEPとC-反射
28 奇異性頭皮上分布
29 脳の発達と髄鞘化
30 ミスマッチ陰性電位
31 顔認知成分のN170
32 情動系は意識に上らない
33 漢字と仮名の二重神経機構仮説
34 随伴陰性変動

文 献
索 引
序文
 2016 年 6 月に「ここに目をつける ! 脳波判読ナビ」を上梓しました.この書籍は好評で,脳波に関する解説書の潜在的ニーズがあることに大変励まされました.「ここに気をつける! 誘発電位ナビ」はその姉妹編として,臨床現場における誘発電位の使い方とその臨床的意義を分かり易く解説するために編集しました.脳波は,異常波形がわかっても,脳機能と関連づけをしようとすると知識や経験が必要となります.一方,誘発電位は,刺激のパラメータやモンタージュがある程度標準化されており,しかもその発生源が分かっていることから,誘発波形(潜時と振幅)と臨床との対応が脳波よりは取りやすいと思われます.しかしながら,誘発電位の基本を理解しておかないと,誤った解釈をしてしまいます.
 臨床現場では CT や MRI などの画像検査の進歩により,脳の形態的な検査が重要視されています.しかし,機能的な面を検査する誘発電位検査も忘れてはならない検査です.逆に形態検査で異常所見が検出されない時に,誘発電位検査はその威力を発揮します.本書では,筆者がどのように誘発電位を使ったら,臨床に役立ったかということを中心に解説しました.また,神経疾患の病態解明に遺伝子や分子生物学的手法が取り入れられ,神経難病の克服に向けて,その進歩には目覚ましいものがあります.このような時期にこそ,臨床医あるいは研究医として,誘発電位を用いた臨床研究がもっと盛んになるべきだと考えています.そこで,「はじめの一歩」から「臨床と研究のヒント」になるように,ミニコラムとして,偉大な研究者のエピソードや筆者の臨床研究論文の動機づけについて簡単に解説しました.目のつけどころは,個々の研究者で異なりますが,一つの参考になれば幸いです.
 偉大な発見をした先人の知恵と慧眼に敬意を表して,マイルストーンというべき論文からの原図は,その意図を尊重して改変せずにそのまま引用しました.アナログ時代の図は,モノクロでレトロな味わいですが,その奧にある発想を垣間見て欲しいと思います.
 なお,本書の企画・編集でお世話になった南山堂諸氏のご協力により,この本は完成しました.この場を借りて感謝申し上げます.また,資料の収集・整理を手伝ってくれた秘書の小笠原史織さんに厚く御礼申し上げます.

2017年7月
九州大学大学院医学研究院脳神経病研究施設 臨床神経生理学分野 
飛松省三
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