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プライマリ・ケア 外来診断目利き術50

1版

中西内科 院長 中西重清 監修
群星沖縄臨床研修センター センター長 徳田安春 監修
いたがねファミリークリニック 院長 板金 広 編集
洛和会丸太町病院 救急・総合診療科 部長 上田剛士 編集

定価

3,850(本体 3,500円 +税10%)


  • A4判  117頁
  • 2020年10月 発行
  • ISBN 978-4-525-21351-0

開業医による,開業医のための,「内科外来診断の指南書」,ここに誕生!

内科開業医の外来診療は短時間で診断をつけ,見逃してはならない疾患を拾い上げる必要がある.また予防医学やがん検診などのヘルスメンテナンスまで守備範囲は広い.本書ではよく遭遇する50症候を取り上げ,見開き2頁でベテラン医師の思考プロセスを可視化し,忙しい外来診療でも“パッと開いて見てすぐに役に立つ”情報を簡潔にまとめた.

  • 目次
  • 監修のことば
  • 序文
  • 本書の紹介動画
  • 書評
目次
1.発熱と発疹
2.発熱と関節痛
3.発熱とリンパ節腫脹
4.体重減少
5.めまい
6.ふるえ
7.失 神
8.一過性意識障害
9.しびれ ― ①
10.しびれ ― ②
11.頭 痛
12.咽頭痛
13.胸 痛 ― ①
14.胸 痛 ― ②
15.胸 痛 ― ③
16.動 悸
17.慢性咳嗽
18.息切れ ― ①
19.息切れ ― ②
20.息切れ ― ③
21.単関節痛
22.多関節痛
23.肩関節痛
24.膝関節痛
25.急性腰痛 ― ①
26.急性腰痛 ― ②
27.嘔 吐
28.腹 痛 ― ①
29.腹 痛 ― ②
30.腹 痛 ― ③
31.腹 痛 ― ④
32.急性下痢
33.慢性下痢
34.急性下血
35.便 秘
36.肝機能障害
37.不 眠
38.頻 尿
39.両側浮腫
40.片側浮腫
41.物忘れ
42.せん妄
43.間欠性跛行
44.red eye
45.なんとなく元気がない(全身倦怠感)
46.血 尿
47.血尿・蛋白尿
48.高血圧診断
49.おとなのワクチン
50.がん検診

文 献
索 引
監修のことば
 この本は,開業医中心の学習塾(21世紀 適々斎塾)から誕生した類いまれな本です.早いもので塾の開講から4年が経過しました.学んだ知識(外来診療のノウハウ)を本に残しておきたい,プライマリ・ケアの現場で役立つ本を出版したいとの塾生の思いが,本書の製作につながりました.
 本書では,日常診療で頻繁に遭遇する症候が,50項目取り上げられています.各症候で提示された症例に対して,直観診断と鑑別診断をあげながら最終診断に至るベテラン医の思考過程が解き明かされます.普段の外来で最も役立つのは,各項目の一番はじめに掲げられた鑑別診断の一覧表でしょう.ぜひ外来で本書を手元に置き,迷う症例に出会ったときは,この一覧表から診断のヒントを導き出してほしいと思います.
 COVID-19流行時代に突入し,病歴や診察に時間を費やすことができなくなっています.この本を参考にプロブレムからキーワードを抽出し,短時間で的確に診断にたどり着いてほしいと思います.皆さまの外来で必ず役に立つクリニカル・パールが満載です.
 執筆した医師は適々斎塾の講師や塾生たちで,素晴らしい仲間です.彼らに感謝するとともに敬意を表します.今は集まって討論することはできなくなりましたが,オンラインセミナーを開催し楽しんでいます.
 私自身はこの本を手にして,万年研修医としてさらに学び続ける必要性と喜びを改めて噛みしめています.適々斎塾の仲間は,やはり最高です.

2020年9月
中西内科 / 21世紀 適々斎塾
中西重清
序文
 22年間,プライマリ・ケアの最前線で外来診療を経験し,その難しさを再認識する毎日です.プライマリ・ケア医は生活習慣病の予防医学診療や,がん検診や予防接種をはじめとするヘルスメンテナンス,急性疾患の診療と広い範囲の仕事をこなしています.多忙な外来で,診断エラーを避けて適切な診断を行いつつ,まれに来院する歩いて受診する重篤な疾患の患者を見逃さないようにする高い臨床力が求められます.
 残念ながら,私は勤務医時代に外来診察のトレーニングを受けたことがなく,自己学習するしかありませんでした.野口善令 先生,福原俊一 先生の著書『誰も教えてくれなかった診断学』(医学書院)に出会ったときの感動を今でもはっきりと覚えています.この本で患者の訴えから,「頻度・確率」,「時間」,「アウトカム」を意識して診断カードを作成することを学びました.また,山中克郎 先生の著書『ERの哲人』(シービーアール)を参考に,「よくある疾患」と「見逃せない疾患」を想起するトレーニングを続けました.そして,優秀な臨床医の診断過程を可視化した志水太郎 先生の『診断戦略』(医学書院)でピボット・クラスター戦略を知り,感動は衝撃に変わりました.時間的制約が強い外来で,われわれは直観診断を多用しています.診断エラーを防ぐためには,直観診断と同時に漏れのない鑑別診断を想起できることが重要です.プライマリ・ケア外来でのベテラン医の思考過程を明らかにしたいと思い,本書『プライマリ・ケア 外来診断目利き術50』を企画しました.
 監修者の中西重清と私は11年前に出会い,7年間一緒に「総合医スキルアップセミナー」で学びました.4年前に,自分たちで開業医の,開業医による,すべての医師のための医学塾「21世紀 適々斎塾」を立ち上げました.塾の底辺を支えるコンセプトは“プライマリ・ケア医からみた総合診療”です.プライマリ・ケア目線を大切にするため,本書は臓器専門医ではなく,適々斎塾の塾生と講師による執筆にこだわりました.
 本書は初学者を対象にしておりません.これから外来診療をはじめようとする医師は,定評のある教科書で学んでください.しかし,外来経験のある先生方にとっては,まさに目から鱗の役立つ情報が満載されています.きっと外来診療の友としてお使いいただけると思います.

2020年9月
いたがねファミリークリニック / 21世紀 適々斎塾
板金 広
本書の紹介動画
著者の先生方に本書の魅力を熱くご紹介いただきました!
書評
外来診療レベルアップの手引書

山中克郎(会津医療センター 総合内科)

 筆者のように田舎で診療をしていると,都会で開催されるセミナーに参加する機会は少ない.新型コロナウイルス感染症の広がりは多くの悪影響をもたらしたが,便利になったこともある.大阪で定期開催されていた「21世紀 適々斎塾」がオンラインとなった.地域で働く医師にとって,オンライン講義は自らの臨床技術の再確認と新しい知識を学ぶための強力な武器である.月に何度か親しい仲間と一緒に勉強することは,モチベーションの維持にも役立つ.
 「21世紀 適々斎塾」の実務を担当する板金 広先生を中心に,塾生が総力をあげ『プライマリ・ケア外来診断 目利き術50』が上梓された.執筆者はより高い臨床の境地を目指そうと,日々修行に励んでいる百戦錬磨の臨床医たちである.これは楽しみだ.
 どのページをめくってもよい.外来でよく遭遇する代表的症候(たとえば,めまい,しびれ,胸痛,息切れ,関節痛など)が取り上げられている.最初に症例提示があり,それに対する直観診断が示される.次に鑑別診断を絞り込んでいくためのコツが,非常にわかりやすいカラーの表を使って解説されている.本書のエッセンスはここに凝縮されているといっても過言ではなかろう.さらに代表的な疾患の重要ポイントを中心とした解説,注意して聴取すべき問診と確認すべき身体所見が詳しく示されているのだ.そして最後に最終診断が提示される.
 本書を一読した後,診察室に携えておけば,診療の大きな味方になるのは間違いない.文献は後ろにまとめて提示されている.海外の文献も含め,多くのエビデンスに基づいて解説されていることがわかる.
 この本の一番のセールスポイントは,イラストや表を多用したわかりやすい解説とエビデンスに基づいた正確な記載だろう.「適々斎塾」のストイックに自己研鑽を積む精神が多くのプライマリ・ケア医に伝播し,全国の外来診療のレベルアップが図られる日は近い.
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