書籍カテゴリー:検査・診断学

臨床検査を使いこなす
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日本医師会生涯教育シリーズ
臨床検査を使いこなす

1版

  • 矢冨 裕 監修
  • 岡田浩一 編集
  • 黒川峰夫 編集

定価:6,050円(本体5,500円+税10%)

  • B5判 349頁
  • 2021年6月 発行
  • ISBN978-4-525-21101-1

概要

臨床検査の基本がわかる!

臨床医の方々に,臨床検査を適切に使いこなしていただくために企画された本書は,臨床検査の本質的な解説を目指し,総論では,臨床検査の基本,最近の重要なトピックスなどを取り上げた.各論では,各検査領域の基本部分の解説に重点を置き,また,検査項目も網羅的に取り上げるのではなく,基本的な検査項目の検査解説に重点を置く.日常診療において,臨床検査を有効に活用するためにお役立ていただきたい.

序文

 日々の診療において多くの臨床検査が実施され,診断,治療,病態の把握などに役立てられている.
 世界で感染が拡大し,いまだ収束の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)においては,「PCR検査」といった感染症の検査法も広く一般に知られるようになり,検査の重要性と共にその実施,結果の評価における課題も議論されているところである.
 医学の進展により新たな検査法も開発・導入される中,医師が適切な判断により臨床検査を十分に活用できることが肝要であることは言うまでもない.精度が保証された臨床検査は,患者の状態の把握,診断,治療方針の決定,治療結果,その後の経過を評価するための科学的根拠として大きな役割を果たす.患者ひとりひとりに適した治療を行うため,検査法の選択や実施の際の注意点,検査結果の解釈などについて,検査を正しく活用するための総合的な知識が医師に求められている.
 本書のテーマは「臨床検査を使いこなす」である.いかに検査を活用し,結果を適切かつ迅速に判断し,診療の質の向上に結び付けられるか,各検査項目の解説のみならず,基本的事項の最新情報もまとめられた本書を通じ,今一度,その意義を再認識していただければ幸いである.
 最後に,本特別号の監修・編集にご尽力いただいた,矢冨 裕先生,岡田浩一先生,黒川峰夫先生をはじめ,多忙を極める時期にもかかわらずご協力いただいた執筆者の先生方に深謝申し上げる.
 
2021年6月
日本医師会会長
中川俊男


監修・編集のことば

 臨床検査が医療の根幹をなし,疾患の診断,そして,それに基づく治療の効果判定において,きわめて重要であることは周知のことである.医学の進歩と共に,新しい有用な臨床検査が次々に臨床現場に導入され,臨床検査を適切に活用できることは,臨床医のきわめて大切な能力となっている.本書は,「臨床検査を使いこなす」ための本であるが,検体検査と生理検査に大きく二分される臨床検査のうち,前者を扱う.
 各検査項目の臨床的意義に関する知識はとても重要だが,それに加え,正しい検査結果を得るための検体採取・取り扱いに関する注意点,検査結果に変動をもたらす生理的要因,結果判定における基準範囲と臨床判断値の区別と活用など,検査全般の総論的知識・素養を備えておくことも大切である.また,保険診療の中で,適切に検査をオーダーすることも重要である.
 本書は,臨床医の方々に臨床検査を適切に使いこなしていただくために企画されたが,類書が多い事典的なものでなく,臨床検査の本質的な解説に重点を置き,教科書的に通読も可能なものを目指した.総論においては,臨床検査の基本や最近の重要なトピックスなどを取り上げ,上記の総論的知識・素養をお伝えできるように心掛けた.各論においては,各検査領域の基本部分の解説に重点を置き,検査項目を網羅的に取り上げるのではなく,基本的な検査項目の解説に重点を置いた.
 以前は,わが国の法令上では,検体検査の結果の質を担保する事項について,医療機関自らが検体検査を実施する場合においては,その品質・精度を確保するための基準は定められていなかった.この点は欧米諸国とは大きく異なり,大きな課題と考えられていた中,わが国においても健康・医療戦略の推進体制の一環として,ゲノム情報を用いた医療等の実用化にかかる取り組みを関係府省庁が連携して推進するために,「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」が設置され,その議論のまとめ「ゲノム医療等の実現・発展のための具体的方策について(意見とりまとめ)」が作成・公表された.これがきっかけとなり,検体検査の品質・精度の確保にかかる医療法等の一部を改正する法律が成立し,2018年12月1日に施行となった.医療機関等が自ら検体検査を実施する場合における精度の確保のために設けるべき基準が定められる等,検体検査のあるべき姿が示された.このような臨床検査を取り巻く大きな流れがあることも頭に入れつつ,ぜひ,日常診療において臨床検査を有効に活用いただくこと,そして本書をそのためにお役立ていただくことを念願するものである.
 
 2021年6月
監修・編集を代表して
矢冨 裕

目次

カラー口絵
 1.末梢血液像
 2.造血器腫瘍(WHO分類)
 3.血清タンパク電気泳動,免疫電気泳動
 4.リポタンパク分画
 5.尿


監修・編集のことば
監修・編集者,執筆者紹介

第1章 総 論
 1. 正しい検体採取・取り扱いの重要性
 2. 臨床検査値に変動をもたらす生理的要因
 3. 臨床検査の正しい活用法å
 4. 基準範囲と臨床判断値
 5. 検査オーダーにおける注意点
 6. 在宅医療の臨床検査
 7. 検体検査の精度管理

第2章 各 論
Ⅰ 血液学的検査
 1. 血球算定・血液細胞形態検査
  血算を使いこなす— 貧血の鑑別を中心に
   赤血球
   赤血球浸透圧抵抗試験
  白血球の異常— 造血器腫瘍を中心に
   白血球数・白血球分画・血液像
   骨髄検査
   細胞表面マーカー検査
   染色体検査
   遺伝子異常検査,遺伝子発現量検査
  血小板減少症の鑑別診断
   血小板数
 2. 血栓・止血関連検査
  血小板機能の評価
   出血時間
   血小板凝集能検査
  血栓・止血検査を使いこなす
   プロトロンビン時間(PT)・活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
   フィブリノゲン(Fbg)
   循環抗凝血素
   ADAMTS13
   抗血小板第4因子-ヘパリン複合体抗体(HIT抗体)
  播種性血管内凝固(DIC)の新しい診断基準
   凝固マーカー
   線溶マーカー

Ⅱ 生化学的検査
 1. 生化学検査
  血清タンパク
   血清総タンパク(TP)・タンパク分画
   アルブミン(Alb)
   免疫グロブリン
   Mタンパク検出検査
  炎症マーカーの使い方
   C反応性タンパク(CRP)
   赤血球沈降速度(赤沈)
   プロカルシトニン
   プレセプシン
  栄養アセスメントタンパク
   トランスサイレチン(TTR)・レチノール結合タンパク質(RBP)
  酵素,肝機能
   アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST),アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)
   乳酸脱水素酵素(LD)
   アルカリホスファターゼ(ALP)
   γグルタミルトランスフェラーゼ(γGT)
   クレアチンキナーゼ(CK)
   アミラーゼ(AMY)
   リパーゼ
   コリンエステラーゼ(ChE)
   総ビリルビン(T-Bil)
   アンモニア
  糖代謝検査
   血 糖
   HbA1c
   グリコアルブミン
   インスリン,Cペプチド
   膵島関連自己抗体
  脂質・リポタンパク
   総コレステロール(TC),トリグリセライド(中性脂肪,TG),LDL-コレステロール(LDL-C),HDL-コレステロール(HDL-C)
   リポタンパク分画
   アポリポタンパク
  脂質代謝関連酵素
   リポタンパクリパーゼ(LPL)
   レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)
  その他の保険診療で認められている脂質検査
   リポタンパク(a)[Lp(a)]
   レムナント様リポタンパクコレステロール
   MDA-LDL
   脂肪酸分画(4成分)
  腎機能
   クレアチニン(Cr)[シスタチンC(Cys-C)を含む]
   尿素窒素(UN)
   尿 酸
  電解質
   ナトリウム(Na)
   クロール(Cl)
   カリウム(K)
   カルシウム(Ca)
   リン(P)
   マグネシウム(Mg)
  鉄代謝,銅代謝,微量金属
   鉄(Fe)・総鉄結合能(TIBC)・不飽和鉄結合能(UIBC)
   フェリチン
   ハプトグロビン(Hp)
   トランスフェリン(Tf)
   ヘプシジン
   銅(Cu)
   セルロプラスミン
   亜鉛(Zn)
   その他の微量金属
  浸透圧
  内分泌学的検査
  1 下垂体
  2 甲状腺・副甲状腺
   甲状腺ホルモン[遊離トリヨードサイロニン(FT3),遊離サイロキシン(FT4)]
   甲状腺刺激ホルモン(TSH)
   副甲状腺ホルモン(intact-PTH,whole-PTH)
  3 副 腎
  副腎髄質
   カテコールアミン(CA)3分画
   メタネフリン(MN),ノルメタネフリン(NMN)
   バニルマンデル酸(VMA),ホモバニリン酸(HVA)
  副腎皮質
   アルドステロン
   コルチゾール
   デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)
  4 性腺(男性)
  5 性腺(女性)
  腫瘍マーカー
  1 消化器系
   がん胎児性抗原(CEA)
   CA19-9
   α-フェトプロテイン(AFP),AFPレクチン反応性分画(AFP-L3分画),PIVKA-Ⅱ
  2 呼吸器系(肺がんマーカー)
   がん胎児性抗原(CEA)
   シアリルLeX-i抗原(SLX)
   サイトケラチン19フラグメント(CYFRA)
   扁平上皮がん関連抗原(SCC)
   神経特異性エノラーゼ(NSE)
   ガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP)
  3 乳腺・婦人科系
  4 泌尿器系
  前立腺がんの腫瘍マーカー
   前立腺特異抗原(PSA)
  精巣腫瘍の腫瘍マーカー
   α-フェトプロテイン(AFP)
   ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)
   乳酸脱水素酵素(LD)
  線維化マーカー
  1 肝臓線維化マーカー
   血小板数(肝臓線維化マーカーとして)
   ヒアルロン酸
   Ⅳ型コラーゲン/Ⅳ型コラーゲン・7S
   プロコラーゲンⅢペプチド(P-Ⅲ-P)
   Mac-2結合タンパク糖鎖修飾異性体(M2BPGi)
   オートタキシン(ATX)
  2 肺線維化マーカー
  骨代謝マーカー
  骨吸収マーカー
   Ⅰ型コラーゲン架橋Nテロペプチド(NTX)(早朝第二尿)
   Ⅰ型コラーゲン架橋Nテロペプチド(NTX)(血清)
   Ⅰ型コラーゲン架橋Cテロペプチド(CTX)(早朝第二尿)
   Ⅰ型コラーゲン架橋Cテロペプチド(CTX)(血清)
   デオキシピリジノリン
   酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ(TRACP-5b)
  骨形成マーカー
   骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)
   オステオカルシン(OC)
   Ⅰ型プロコラーゲンNプロペプチド(total P1NP)
  骨マトリックス関連マーカー
   低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)
  ビタミンD 代謝物
   25-ヒドロキシビタミンD
  心筋・心不全マーカー
   心筋マーカー(トロポニン,CK-MB,H-FABPなど)
   心不全マーカー(ANP,BNP,NT-proBNP)
  サルコイドーシスの検査
   サルコイドーシス関連血清マーカー
  ビタミン
   ビタミンB1
   ビタミンB2
   ビタミンB12
   葉 酸
   ホモシステイン
   ビタミンC
   低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)
  血液ガス分析
 2. 血中薬物濃度検査

Ⅲ 免疫・アレルギー検査
 1. 免疫血清学検査(自己免疫関連抗体)
  アレルギー検査
   IgE
   IgE抗体(特異的IgE抗体)
  関節リウマチ(RA)
   リウマトイド因子(RF)
   抗CCP抗体
   マトリックスメタロプロテアーゼ-3(MMP-3)
  抗核抗体
   抗核抗体
   抗DNA抗体
   抗dsDNA抗体
   抗RNP抗体
   抗Sm抗体
   抗トポイソメラーゼⅠ抗体(抗ScI-70抗体)
   抗セントロメア抗体
   抗RNAポリメラーゼⅢ抗体
   抗Jo-1抗体
   抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(抗ARS抗体)
   抗MDA5抗体
   抗Mi-2抗体
   抗TIF1-γ抗体
   抗SS-A抗体,抗SS-B抗体
  抗好中球細胞質抗体(ANCA)
   抗好中球細胞質ミエロペルオキシダーゼ抗体(MPO-ANCA),
   抗好中球細胞質プロテナーゼ3抗体(PR3-ANCA)
  抗リン脂質抗体(aPL)
  その他の自己抗体
   抗TSH受容体抗体(TRAb)
   抗サイログロブリン抗体
   抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体
   抗アセチルコリン受容体抗体(抗AChR抗体)
   抗筋特異的チロシンキナーゼ抗体(抗MuSK抗体)
   抗アクアポリン4抗体(抗AQP4抗体)
   抗ミトコンドリアM2抗体
   抗肝腎ミクロソーム-1抗体(抗LKM-1抗体)
   抗デスモグレイン抗体(抗Dsg抗体)
   抗BP180NC16a抗体
  補 体
   CH50
   C3
   C4
 2. 免疫血液学的検査
  輸血関連検査
   血液型検査
   不規則抗体スクリーニング
   交差適合試験(クロスマッチ)
  各種抗赤血球抗体
   Coombs試験
   寒冷凝集素
   Donath-Landsteiner抗体(DL抗体)
  HLA検査

Ⅳ 尿・糞便等一般検査
 1. 尿・糞便検査
  尿定性検査
  尿生化学検査
  尿沈渣検査
  便検査
   便潜血
   カルプロテクチン
  2. 寄生虫検査
  3. 胸水・腹水検査
  4. 髄液検査

Ⅴ 感染症関連検査
 1. 微生物学的検査総論
 2. 各病原体の検査
  溶連菌
  インフルエンザ菌
  肺炎球菌
   抗原検査
  百日咳菌
  レジオネラ
   尿中抗原検査
   核酸検査
  マイコプラズマ
   抗体検査
   抗原検査
   核酸検査
  クラミジア・トラコマチス
  淋 菌
  梅毒トレポネーマ
  結核菌,非結核性抗酸菌
   抗酸菌塗抹検査
   抗酸菌培養検査
   核酸増幅法検査
   Xpert®MTB/RIF
   薬剤感受性検査
   同定検査
   IGRA(T spot TB検査およびクォンティフェロン検査)
   MAC抗体検査
  ヘリコバクター・ピロリ
   培養法
   鏡検法(病理組織学検査)
   迅速ウレアーゼ試験(RUT)
   ヘリコバクター・ピロリIgG抗体法(抗体測定法)
   尿素呼気試験(UBT)
   便中抗原測定法
  肝炎ウイルス
   A型肝炎ウイルス(HAV)
   B型肝炎ウイルス(HBV)
   C型肝炎ウイルス(HCV)
   D型肝炎ウイルス(HDV)
   E型肝炎ウイルス(HEV)
  インフルエンザウイルス
   インフルエンザウイルス抗体
   インフルエンザウイルス抗原検査
   インフルエンザウイルス核酸検査
  ヒトメタニューモウイルス(hMPV)
  SARS-CoV-2
  ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV-1)
  ヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1/2
  EBウイルス(EBV)
   血清学的検査
   末梢血中EBV遺伝子検出法
  サイトメガロウイルス(CMV)
   抗原検査
   血清学的検査(IgM/IgG)
  単純ヘルペスウイルス(HSV)
   単純ヘルペスウイルス抗体検査
   単純ヘルペスウイルス抗原,DNA検査
  水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)
  麻疹ウイルス,風疹ウイルス
  ムンプスウイルス
  病原性大腸菌,赤痢菌,コレラ菌,キャンピロバクター
  ロタウイルス(RV),ノロウイルス(NV)
  トキソプラズマ
  真菌症
  マラリア

Ⅵ 病理学的検査
 1. 病理組織検査
 2. 細胞診検査

Ⅶ 遺伝子関連検査・染色体検査(造血器腫瘍を除く)
 1. 病原体核酸検査
  核酸増幅検査
  シークエンシング法
  分子疫学的解析
 2. 体細胞遺伝子検査
  コンパニオン診断(CDx)
  がん遺伝子パネル検査
  リキッドバイオプシー
 3. 生殖細胞系列遺伝子検査
  遺伝性疾患の検査
  薬剤感受性遺伝子検査
  体質にかかわる検査
 4. 染色体検査
  先天異常(小児科領域)
  出生前診断(産科領域)

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