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カテゴリー: 地域医療  |  神経学/脳神経外科学

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かかりつけ医・非専門医のための

認知症診療メソッド

改訂2版

八千代病院 愛知県認知症疾患医療センター 川畑信也 著

定価

3,850(本体 3,500円 +税10%)


  • B5判  217頁
  • 2018年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-20692-5

認知症はこれ1冊でOK!

超高齢化社会を迎えた現在,認知症は専門医だけが診るべき疾患ではなく,かかりつけ医など非専門医も診療していかなくてはならなくなった.本書では,非専門医が認知症診療に無理なく取り組むためのコツをわかりやすい文章で解説した.どこまで診ればいいのかという非専門医の守備範囲についても触れている.認知症診療になくてはならない一冊!

  • 序文
  • 目次
序文
 拙書『かかりつけ医・非専門医のための認知症診療メソッド』を 2010 年に上梓してからすでに8 年が経過しております.その間に抗認知症薬 3 剤が新たに上市されたことで 4 剤の抗認知症薬が臨床の現場で使用が可能になりました.さらにレビー小体型認知症の診断・治療ツールの進歩,介護スキルの向上など認知症診療は大きな展開を示してきていると思います.私が「もの忘れ外来」を開設した 1996 年当時はドネペジルすらない時代であり,介護の方法も手探り状態で現在と隔世の感がありました.
 私もこの 8 年間でより多くの認知症患者さんの診療に従事し,さらに南山堂から『事例で解決!もう迷わない認知症診断』や『事例で解決!もう迷わない抗認知症薬・向精神薬のつかいかた』など合計 5 冊の認知症診療の書籍を上梓してきました.そのなかで『かかりつけ医・非専門医のための認知症診療メソッド』は,とくに時間をかけて書き上げたことなどから自信作のひとつであり,このような書籍はもう書けないなとの想いで今日に至っておりました.
 本改訂版を出版するきっかけは,2017 年春に岡山市で開業されておられる中納言クリニックの小川紀雄先生から「初版から 7 年を経過しておりそろそろ改訂版を出版されたらどうか」とのお便りが出版社に届いたことからです.先生からのお手紙を拝見しながら,私が大学院生として生化学教室にて研究をしていたとき,小川先生は岡山大学に在籍され神経伝達物質などのご研究に従事されておられました.私は先生のご著書を拝読しながら自らの研究を行い,先生のように臨床と研究双方ができる医師になりたいと憧れをもっていたことを思い出し,基礎研究をしていたことを懐かしく感じました.その後,学会の会場などでも小川先生に暖かいお言葉をかけて頂くこともあり,今回,「かかりつけ医・非専門医のための認知症診療メソッド」の改訂版を上梓することができました.
 本改訂版は,小川紀雄先生の暖かいお気持ちの結果として完成したものと私は考えております.ここに小川紀雄先生に深く感謝申し上げます.小川紀雄先生,ありがとうございます.先生のご健勝とご活躍を祈念し,本書の序とさせて頂きたいと思います.

2018年3月
川畑信也
目次
診断編

Ⅰ 認知症診療ファーストステップ
1 アルツハイマー型認知症とは?
 知っておくべきアルツハイマー型認知症の特徴
2 アルツハイマー型認知症の早期症状は?
 早期症状は 4 つある!
 行動の変化にも注意する!
3 認知症診断の手順
 患者さんと家族から病歴を別々に聴取する
 正確な病歴聴取と患者さんの診察で認知症の有無は判断できる
 診察室での患者さんの様子を家族に見てもらうことが重要
 診断できないときには無理に判断しない
4 認知症専門医療機関に紹介すべき事例は?
 すべての認知症疾患をかかりつけ医の先生が診る必要はない!
 認知症専門医療機関に紹介したほうがよい事例は?
 ご自身の外来で診断できる事例とは?

Ⅱ 病歴・問診・診察
1 病歴から診断する
 病歴聴取では適切な家族を選ぶ
 病歴についてなにを家族に尋ねるか?
 発症時期から判断する
 どのような症状がみられるのか?
 症状が進行しているのか否かを尋ねる
 生活に支障をきたしているのか否かが認知症の判断に重要
 家族から物忘れはあるが生活に支障はないと言われたとき,どうするか?
 患者さんに病識があるか否か?
2 川畑式問診票から診断する
 問診票を上手に利用する
3 患者さんの様子から診断する
 診察室に入室する際の歩行を観察する
 患者さんが椅子に座る様子を観察する
 診察全体から受ける患者さんの印象も大切
4 患者さんの問診から診断する
 判断の目安
 物忘れの有無を患者さんに尋ね,その反応を観察する
 問診で記憶障害を把握するテクニック
5 身体症状から診断する
 アルツハイマー型認知症では首から下の症状はない
 血管性認知症は幅広歩行
 レビー小体型認知症は転倒しやすい
6 病歴と患者さんへの問診・診察の組み合わせから
 診断を考える

Ⅲ その他の検査
●テスト式認知機能検査
1 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を考える
 テスト式認知機能検査は必要か?
 HDS-R 総得点の解釈のしかた
 総得点だけでなく下位項目にも注目すると診断を下しやすい
 テスト式認知機能検査よりも臨床像を把握することが重要!
 HDS-R 施行の実際
 2 時計描画テストの有効性
 時計描画テストとは?
 時計描画テストの実際
●臨床検査
3 診断に役立つ臨床検査
 血中ホモシステインの測定
 血清銅の測定
●画像検査
4 脳形態画像検査の意義
 脳形態画像検査で認知症の診断はできるのか?
 CT と MRI ではどちらを施行したほうがよいか?
 アルツハイマー型認知症診断支援ツール VSRAD の利用とその意義
 知っておくべき VSRAD の基本
 VSRAD 結果の解釈について
5 脳機能画像検査の意義
 各認知症疾患でみられる血流異常
 認知症診療で脳機能画像検査を行う意義
 診断困難事例の診断に役立つことが多い
 アルツハイマー型認知症と他疾患との鑑別に有効
 血管性認知症でもアルツハイマー型認知症を合併することが少なくない

Ⅳ 鑑別診断を考える
1 年齢に伴う心配いらない物忘れとの鑑別は?
 記憶障害の進行
 日常生活
 自 覚
 判断できないとき
2 治療可能な認知症を見逃さない!
 日常臨床で遭遇する治療可能な認知症は?
 認知症とうつ病との鑑別は実際には難しい
 認知症を伴わない幻覚・妄想
 治療可能な認知症を見逃さないための検査
3 MCI(軽度認知障害)とはいかなる病態か?
 MCI の定義
 日常臨床の現場で MCI は診断可能か?
 MCI の段階で抗認知症薬を開始すべきか?
4 レビー小体型認知症との鑑別
 レビー小体型認知症が受診してくるパターン
 レビー小体型認知症を考える 4 つの症状
 診断のポイント
 問診からみた鑑別のポイント
 診察からみた鑑別のポイント
 レビー小体型認知症の画像検査
5 血管性認知症との鑑別
 血管性認知症は臨床症候群
 血管性認知症と安易に診断しない!
 日常臨床では“脳血管障害を伴うアルツハイマー型認知症”が多い
6 前頭側頭型認知症との鑑別
 かかりつけ医の先生方が前頭側頭型認知症を診療する機会は少ない
 前頭側頭葉変性症と前頭側頭型認知症
 前頭側頭型認知症の特徴

Ⅴ 再来患者さんから認知症をすくい上げる
1 再来患者さんから認知症を発見するコツ
 認知症患者さんを診療する 2 つのパターン
 再来患者さんで認知症を考える場合とは?
 血管性認知症を疑うコツは?
 「認知症ではないか?」との視点で診療を行う

Ⅵ 困った事例への対処法
1 診断を確定できないときの対応策
 診断を確定できない事例も多い!
 診断できないときの方針
 患者さんならびに家族への説明の実際
2 独居患者さんの診断と対応
3 病歴とテスト式認知機能検査の結果に乖離がみられるとき
 なぜ乖離が生じるのか? 家族にどう説明するのか?
 方針を考える

臨床症状編

Ⅶ 中核症状と周辺症状
1 中核症状
2 周辺症状
 しばしばみられる周辺症状は?
 周辺症状はなぜ出現するのか?
 周辺症状は認知症の重症度と関連しないことが多い
 周辺症状への対応の原則
 薬物療法はどの周辺症状に有効か?

Ⅷ 周辺症状各論
1 物盗られ妄想
 「なぜ物盗られ妄想がみられるか?」と尋ねられたとき
 物盗られ妄想の実態
 対応の指導
 有効な薬物療法は?
2 幻 視
 幻視だけでは家族は困らないことが多い
 幻視に対する上手な対応を指導する
 有効な薬物療法は少ない
3 暴力行為
 暴力行為は在宅生活の阻害要因
 抗精神病薬あるいは抗てんかん薬を使用する
 介護施設から暴力行為がみられ困っていると相談を受けたときの指導の実際
4 睡眠障害(不眠,夜間の行動障害)
 睡眠衛生指導は実臨床で有効か?
 家族や介護施設は実効性のある対策を求めている
 薬物療法をどう考え,薬剤を選択していくか
5 性的逸脱行為
 介護家族が困惑することが多い
 有効な対策は少ない
6 徘 徊
 徘徊の相談を受けることは多い
 有効な対策は少ない
 不測の事態発生の可能性を伝えておくことが必要
7 夜間せん妄
 せん妄を家族にわかりやすく説明する
 有効な薬物療法は?
8 不安症状
 認知症の背景に不安症状が存在することが多い
 患者さんが安心できる対応や環境作りを考える
 有効な薬物療法は?
9 アパシー(無関心・無為・無感動)
 アルツハイマー型認知症で最も多い周辺症状
 アパシーと抑うつ状態の見分けかた
 有効な薬物療法は?
 積極的な働きかけが大切

薬物療法編

Ⅸ 薬物療法を開始する際の原則
1 薬物療法開始時の注意点
2 周辺症状に対する薬物療法の原則

Ⅹ 抗認知症薬の使い分けをどう考えるか
1 実臨床で上手に使い分けるコツ
2 コリンエステラーゼ阻害薬で易怒性が出現したときの対策
3 抗認知症薬の少量投与の問題について

Ⅺ 抗認知症薬各論
1 ドネペジル
 ドネペジルの特徴をわかりやすく説明する
 家族からの質問にはこう答える
 ドネペジルによる副作用出現時の対策
 剤型によって使い分けを行う
 ドネペジル増量のしかた
 ドネペジルの効果の判定
2 ガランタミン
 処方の実際
 どういう患者さんに適しているか
3 リバスチグミン
 処方の手順
 どういう患者さんに適しているか
4 メマンチン
 メマンチンの位置づけ,処方の考え方
 コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンの併用療法

Ⅻ その他の薬剤
1 抗精神病薬使用の実際
 抗精神病薬の使用に慣れよう
 リスペリドン使用の実際
 クエチアピン使用の実際
 チアプリド使用の実際
2 抗うつ薬使用の実際
 どの抗うつ薬を用いるか?
 パロキセチン使用の実際
 セルトラリン使用の実際
 ミルタザピン使用の実際
3 抗不安薬使用の実際
 安易に抗不安薬を使用しない!
 ロラゼパム使用の実際
4 抗てんかん薬使用の実際
 感情の安定を目的に抗てんかん薬を使用する
 バルプロ酸ナトリウム使用の実際
 カルバマゼピン使用の実際
5 漢方薬使用の問題点
 抑肝散について
 抑肝散使用の実際
 漢方薬にも副作用はみられる

XⅢ アルツハイマー型以外の認知症の薬物療法
1 血管性認知症の薬物療法
 抗認知症薬の効果
 薬物療法の実際
2 レビー小体型認知症の薬物療法
 薬物療法をどう考えていけばよいか?
 抗認知症薬としてどれを選択するか?
 ドネペジル使用の実際
 抗パーキンソン病薬使用の実際
 抗精神病薬はどれを使用するか?

介護指導編

XⅣ 家族への説明の実際
1 介護の原則を説明する
 認知症は脳の病気であることを理解してもらう
 患者さんの世界と家族の世界にはギャップがある
 患者さんができることと,すでにできなくなったことを見極める
 介護に完璧さを求めないことを強調する
2 アルツハイマー型認知症の説明
 病気に関する説明の実際
 「治りますか?」と尋ねられたら
 「現在の重症度はどのくらいですか?」と尋ねられたとき
 「どのような経過を辿りますか?」と聞かれたら
 上手な介護のためにアルツハイマー型認知症の特徴を家族に解説する
 病識がないことを介護家族に指導する
 取り繕い反応を家族に説明する
 在宅生活の継続か施設入所かの判断を尋ねられたとき
3 レビー小体型認知症の説明
 病気の特徴をわかりやすく説明する
4 血管性認知症の説明
5 解決策を見出せない問題を相談されたとき
 介護家族への指導を考える
 介護スタッフへの指導をどうするか?

XⅤ 運転免許更新に関する診断書作成への対応とコツ
1 改正道路交通法の概略
2 診断書作成依頼を受けたときの対応
3 診断書作成の手順と注意点

索 引
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