書籍カテゴリー:総合診療医学/プライマリ・ケア医学|精神医学/心身医学

プライマリ・ケア医による自殺予防と危機管理
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プライマリ・ケア医による自殺予防と危機管理
あなたの患者を守るために

1版

  • 沼津中央病院 副院長 杉山直也 編
  • 横浜市立大学精神医学 准教授 河西千秋 編
  • 信愛クリニック 院長 井出広幸 編
  • 宮崎医院 院長 宮崎 仁 編

定価:3,780円(本体3,500円+税8%)

  • B5判 226頁
  • 2009年12月 発行
  • ISBN978-4-525-20191-3

概要

患者に「死にたい…」とうち明けられた時,たじろがず向き合う自信はありますか?
うつなどの自殺の背景疾患,アセスメント,法的責任といった基礎知識から,問題に触れることへのためらいをどう克服するか?いい紹介先の見つけ方といった実践のコツ,PC医と精神科医の架空症例検討会まで,読めばこの問題にちょっと前向きになれる一冊.

序文

今や日本の自殺者数は年間3万人を突破し続け,高止まりの異常な事態…ここ最近の自殺の話題に関するお決まりの枕詞です.深刻な現状をしっかりと認識して,対策を急ぐよう注意を喚起しています.しかし一方で,ちっとも減らない,何かが足りないようにも聞こえます.また別の見方をすれば,日本では自殺がいつもすぐ傍で起っていることを意味するでしょう.
国は大掛かりな対策に乗り出しました.自殺予防対策には専門的立場からの対策のみならず,国民一人ひとりがゲートキーパーとなって取り組むことが重視されています.しかしながら,国や地域全体が高い意識で予防体制を確立するには,最前線において専門的な立場と一般的なゲートキーパーが一緒になって取り組めるような,何らかの仕掛けやアイテムが必要です.
このようなニーズに応えるべく,日常臨床で自殺リスクと向き合うプライマリ・ケア医(PC医)と精神科医の協働によって,本書「プライマリ・ケア医による自殺予防と危機管理」を企画いたしました.基本コンセプトは,専門医とされる精神科医が何かを指南するというスタンスではなく,お互いの専門性や強み,実体験を生かして相互に知恵を出し合いながら,より実証的で具体的な対策を探ることです.
全企画を通じて,熱心なPC医の全国組織PIPC(Psychiatry in Primary Care)が大きな役割を果たしてくれました.PIPCの伝道者で大学の後輩にあたる井出宏幸先生と,たまたま横浜で再会したことがきっかけでした.その後当時の同僚で自殺予防研究の第一人者河西千秋先生,PIPCの中心人物である宮崎仁先生に編者として加わっていただき,4人の頭文字をとって「いかすみ」チームと名付けました.精神科サイドからは,PIPCスーパーバイザーの内藤宏先生をはじめ,領域の第一人者の先生方,お世話になった先輩,同僚諸氏から御寄稿いただきました.またPCサイドからは,PIPCに集うスキルフルで思慮深い多くの先生方に執筆の御協力をいただきました.このように多くの方々のお力によって,本書の基本コンセプトをそのまま具体化するプロセスが実現できました.この場を借りて編者や執筆者の先生に御礼申し上げます.そして何より,私たち「いかすみ」チームを辛抱強く支えていただいた南山堂編集部の佃和雅子さんをはじめ,同社の皆様に深く感謝いたします.
本書が熱意ある臨床家の皆様の日々の診療のお役に立てることを願っております.


平成21年10月 吉日
編者を代表して 杉山直也



目次

I.プライマリ・ケア医が自殺防止に関わらなくては日本の自殺は減らない
 1.日本の自殺の現状
 2.自殺者の多くが,そして自殺に傾く人の多くがプライマリ・ケア医を訪れている
 3.プライマリ・ケア医が実践する診療の「光と影」 〜私たちだから「できること」とは?〜
 4.プライマリ・ケア医は自殺予防の主役の一人である
5.自殺対策をめぐる最近の国と政府の取り組み

II.プライマリ・ケア医が自殺防止に関わるには? 〜その心構えと責任範囲〜
 1.プライマリ・ケア医が自殺防止に関わるときの心構え
  2.自殺既遂における主治医の責任 〜法的立場から〜

III.どのようなときに自殺の危険があるのか
 1.まずうつ病を理解する
コラムA 自殺企図者の多くがうつを抱えている
 2.こんな症状を見たらうつ病を疑う
 3.身体疾患に伴ううつ
コラムB 一般病院における自殺事故の実態
 4.Medically Unexplained Symptoms(MUS)
 5.その他の精神障害
コラムC 素人が心療に関わっても大丈夫? 〜紹介閾値をめぐるジレンマ〜

IV.希死念慮に遭遇したら 〜初期対応とアセスメント〜
 1.初期対応 〜希死念慮を聞き出す〜
 2.アセスメント

V.自傷行為と自殺企図 〜リストカット・ODなどへの対応〜
 1.自殺行為と自殺企図の違い
 2.自傷行為,自殺企図,その他の自己破壊的行動の関係
 3.意識的な自傷行為のリスクアセスメント
 4.自殺の意図が曖昧な過量服薬のリスクアセスメント
 5.対応に際しての原則

VI.プライマリ・ケア医が行う自分の精神科対応能力レベルに応じた自殺防止への関わり
 1.特殊装備ゼロレベル(精神科的スキルが特にないプライマリ・ケア医)
 2.標準装備レベル
 3.重装備レベル
コラムD ゆびきりげんまん:面接の合気道による自殺ブロック

VII.専門医への紹介
 1.専門医に紹介する時のポイント
 2.いつ専門医に紹介すべきか
 3.どんな専門医が適切か
 4.地域における専門医の探し方
コラムE 入院治療の実際:主にうつ病について
コラムF 利用できる資源

VIII.その他の重要事項
 1.支援ネットワークの有用性
 2.自殺が生じた後の家族への対応
 3.自殺が生じた後の医療従事者への対応

IX.ケース・カンファランス 私が止めるしかない? 私でも止められる?
 セッション1 希死念慮を聞くことに対する医師の恐れとためらい
 セッション2 自殺念慮が完全に否定できない自傷患者にどう対応するか?
 セッション3 電話で自殺企図を語る患者に対してどう対処するか?
 セッション4 がん患者の「死にたい」という言葉に,どう対応するか?
 セッション5 インスリンを使って自殺を企てた糖尿病患者にどう対応するか?
 セッション6 病診連携ライブ:プライマリ・ケア医から精神科医へ「命」のリレー

MAPSO問診シナリオ
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