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カテゴリー: 臨床看護学  |  医学・医療一般

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いのちと向き合うあなたへ

セルフケアできていますか?

マインドフルネスを活かして

1版

昭和大学医学部 教授 髙宮有介 著
昭和大学医学部 講師 土屋静馬 著

定価

2,200(本体 2,000円 +税10%)


  • A5判  162頁
  • 2018年12月 発行
  • ISBN 978-4-525-18331-8

いま話題のマインドフルネスを,医療現場でも活用してみてください。

人の生死に関わる現場にいると様々なストレスに晒されるが,そこへのセルフケアの一つとしてマインドフルネスの活用が注目されている.マインドフルネスとは「今この瞬間の現実に常に気づきを向け,その現実をあるがままに受け入れる心の持ち方や存在の有り様」である.なんとなく心が重くなってきているときにぜひ手に取っていただきたい.

  • 序文
  • 目次
序文
 数十年前から海外での緩和ケアの研修に行くたびに,海外の緩和ケア関係者が,医療者のセルフケアを大切にしていることを目の当たりにしてきました.ただし,それが自分のメインの仕事だとは思っていませんでした.
 2013年の第1回Whole Person Care国際学会で,大きなテーマとしてセルフケア,マインドフルネスが取り上げられ,実践も多数ありました.マギル大学の医学生に講義をしていることも知りました.その数年前に身近な人を自死で亡くし,何かできないかとモヤモヤした思いが胸にくすぶっていました.セルフケア,マインドフルネスとの出会いが,これから自分がやるべき仕事だと心に決めた瞬間でもありました.
 同行した土屋静馬先生とも意気投合し,2014年には7月に豪州メルボルンのモナシュ大学医学部,2015年10月には,ロチェスター大学主催のワークショップに一緒に参加しました.さらに,2015年6月には,第20回日本緩和医療学会学術大会の大会長として,モナシュ大学のクレイグ・ハセット先生をわが国に招聘し,セルフケア,マインドフルネスに関する講義とワークショップを開催しました.そして,2015年11月から,念願だったセルフケア教育を昭和大学1年生に開始したのです.
 この本は,この6年間に学んだ内容の集大成です.また,土屋静馬先生はマギル大学での2年間の体験を含めてまとめてくれました.文章だけでなく,イラストも随所にいれ,読みやすくしました.また,瞑想などのリードはCD-ROMで実践しやすくしました.
 医療者を始め,誰かのケアに関わる皆さんが自分自身のケアをすることで,よりよいケアが提供できることを願っています.そして,何よりこの本を手に取ってくださった皆さんが,心の平安と幸せを感じることができれば幸いです.

2018年11月
髙宮有介
目次
Prologue〜Aさんの物語を聴いたあの日〜
1章 ストレスを知り,対処しましょう (髙宮有介)

1 自分自身のストレスを知りましょう
 ストレス反応の具体例
 研修医C先生のストレス反応
 自分のストレス対処法を知りましょう
 “心のタンク”の水を増やすもの・減らすもの
 看護師Dさんの心のタンク

2 そもそも,ストレスとは?
 原始時代から続く身を守る機能としてのストレス
 良いストレスと悪いストレスがある
 脳の指令でストレスホルモンが動き出す

3 ストレスによって身体にも悪影響が!
 ストレスがたまると起こる主な病気・身体異常
 慢性ストレスが続くと脳にも異変が起こる
 ストレスを悪化させるマインドワンダリング

4 医療者のセルフケアの必要性
 まず,あなたが酸素マスクを
 研修医のうつ,抑うつ症状
 ストレスは医療ミスにつながる

5 ストレスに対処する
 ストレスとうまく付き合うには
 見方によってストレスは変わる

2章 マインドフルネスをはじめてみよう(髙宮有介)

1 マインドフルネスとは
 マインドフルネスとは
 マインドフルネスの例
 ジョン・カバットジンと医学的な効果
 実生活,臨床でのマインドフルネス
 休むこと,止まること
 「二本の矢」の例え
 今ここで幸せになれる
 ACT(アクト)
 瞑想の歴史,日本人にとってのマインドフルネス
 マインドフルネスと脳科学的な証明
 神経可塑性の発見
 デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)
 マインドワンダリングと脳科学
 マインドフルネスの目指すところはコンパッション
 マインドフル・セルフコンパッション(MSC)

2 瞑想法の紹介〜いろいろな瞑想法にトライしてみましょう〜
 瞑想体験
 基本の瞑想(付録CD-①)
 ボディスキャン(付録CD-②)
 歩く瞑想(付録CD-③)
 深いくつろぎの瞑想(付録CD-④)
 思いやりと慈しみの瞑想(付録CD-⑤)
 なだめいたわるタッチ「スージングタッチ」(付録CD-⑥)

3 マインドフルネスと緩和ケア
 私が緩和ケアを目指した理由
 希望を支えることによっても痛みが和らぐ
 緩和ケアのキーワード,全人的痛みとケア
 スピリチュアルペインとケア
 スピリチュアルケアの基本は「聴くこと」
 スピリチュアルペインへの対応〜反復と沈黙〜
 希望を支えること,真実を伝えることの大切さ
 死の臨床におけるマインドフルネスの活用〜GRACEプログラム〜
 GRACEの誕生と広がり
 GRACEの具体的なステップ
 GRACEの臨床での実践

4 私の過去の臨床体験,そして今なら

3章 さらに深くマインドフルネス
いのちと向きあう現場のあなたに〜マインドフルネスからレジリエンスまで〜(土屋静馬)

1 マインドフルネスによる“気づき”を大切にする
 医療者の日々の課題
 日常生活の中の“わたし”に気づく
 専門家として患者さんを捉える二つの視点
 医学的な視点
 “いま・ここ”への気づきの視点
 二つの視点の使い分け
 「雰囲気」は「雰囲気」として捉える
 雰囲気を受け取り,形作る“わたし”
 つながりの中でお互いに存在を支えあっている
 “わたし”の気づきにも意識を向ける
 医療現場における“わたし”への素朴な気づき
 関係の中から,その人にとっての“意味”を知る
 意識を向ける先には自分の大事にしていることがある
 自分自身が周囲から影響を受けていることへの“気づき”をもつ
 自分が行う行為一つ一つに意識的になる
 自分自身が影響を受けていることや,自分への思いに“気づく”
 自分が“囚われている”ということに気づく
 様々なものに配慮し,様々な思いを抱いていることに気づく
 自分が向けている意識にあらためて気づく
 あらゆることに意識的になることが専門家としての第一歩

2 臨床現場で使えるマインドフルネスを身につける!
 ロチェスター大学におけるマインドフル・プラクティス
 気づきを求めるワーク
 サイレント・ランチ/サイレント・ディナー
 サイレント・プラクティス
 ワークで得られる“視点”を現場でどのように活かすか?
 マインドフルネスにおける“語り”のワーク
 マインドフル・プラクティス・リトリート
 語りの中で湧き起こる思いや感情に意識を向ける
 「語り」から“わたし”が成立する源泉に“気づく”
 “わたし”は不確実な存在だからこそあらゆる可能性を秘めている
 聴き手にとってのマインドフルネス
 マギル大学マウント教授が考える「マインドフルな聴き手」
 マウント教授のお話〜40歳代の乳がんの女性の患者さんとの関わり合い〜
 患者さんの“いま・ここ”における話に意識を向けるということ
 マインドフルネスの活用は医療の質をも改善する

3 マインドフルネスからレジリエンスへ
 過酷な医療現場が仕事の意味を見失わせる
 レジリエンスとは?
 強くなければ生き残れない?
 とにかく“頑張る”ことの限界
 マインドフルネスから考えるレジリエンス
 「可能性」が“わたし”にもたらすもの
 インドフルに生きるとは

4章 医療者にとってのセルフケアとマインドフルネス〜これまでとこれから〜(髙宮有介・土屋静馬)
Epilogue〜誰かの幸せを祈りながら〜

索引

COLUMN
 1.マインドフルネスを実践する企業や有名人
 2.セルフケアのセミナー参加者の感想
 3.マインドフルネスの先達
 4.プラムヴィレッジ
 5.参考図書&推薦図書
 6.日常を振り返るための「リトリート」
 7.リトリートの一例

Episode
 Bさんの家族との葛藤がストレスに
 C先生(その①)のストレス反応
 C先生(その②)のストレス対処法
 看護師Dさんの仕事への振り返り
 患者さんから怒鳴られて自律神経失調症が生じたE先生
 見方によって人生も変わる〜Fさんにとってのがん〜
 Gさん(その①)の前で無力な私
 病院の中で挙式したHさん
 私のマルチタスクとマインドフルネスの活用〜Iさんを思い出して〜
 Gさん(その②)へのスピリチュアルケアの実践
 化学療法室に勤務する14年目の看護師のJさん(その①)へのインタビュー
 Jさん(その②)へのインタビュー
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