書籍カテゴリー:病理学|基礎看護学

なるほどなっとく!病理学
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なるほどなっとく!病理学
病態形成の基本的な仕組み

第2版

  • 北海道医療大学特任教授 小林正伸 著

定価:2,376円(本体2,200円+税8%)

  • B5判 206頁
  • 2019年2月 発行
  • ISBN978-4-525-15162-1

概要

病理がわかると,病気が見える!

病理学を初めて学ぶ人がわかりやすく,楽しく学べる教科書!病気の成り立ちと病態形成の基本的なメカニズムについてイラストや図を数多く使って簡潔に解説.ページのレイアウトにもメリハリをつけ,難しい医学用語や補足が必要な用語には欄外に解説を設けた.各種疾患の特徴や病態を理解するための橋渡しとなる,ナルホド!ナットク!な一冊.

序文

 筆者は,病気の成り立ちを理解してもらえるように,多くのイラストを利用して,重要な事項に絞って丁寧に説明することを心がけて本書の初版を作成した.そして,幸いにも多くの医療系学部の教科書として利用され,多くの学生に読んでいただけたことを非常にありがたく思っている.また,レビューなどで,医療従事者向けの病理学の教科書として必要十分であるといった好意的なご意見をたくさんいただいた.まだ十分とはいえない本書に対する好意的な評価に対しては,ただただ感謝申し上げるしかない.
 2018年の日本医学界は,免疫チェックポイント阻害薬による癌の免疫療法の開発に貢献した本庶先生に対するノーベル生理学・医学賞の授与で大いに盛り上がった.一部の患者さんだけに認められる効果とはいえ,生体が持つ免疫能が癌細胞に打ち勝てることを臨床的に示したことは画期的な発見であり,癌の治療に従来とは異なる新しい道筋をつけた偉大な発見といっても間違いない.今改訂版でも第10章「腫瘍」のなかで簡単にではあるが免疫チェックポイント阻害薬についての項を設けた.今後も新しい知見については取り入れて,本書をブラッシュアップしていくつもりである.
 また,脂質異常症の新しい診断基準に,non-HDLコレステロールという指標が取り上げられたので,今改訂版でも反映した.診断基準の変更は,LDLコレステロール以外にも中性脂肪やカイロミクロン,small dense LDLなども動脈硬化症の進展には重要な働きをしていることがわかってきたため,non-HDLコレステロールという新しい指標を取り上げるために行われた.今後も新しい検査方法の登場や検査機器の進歩に伴って,このような診断基準の見直しが行われていく可能性が高く,本書も最新の医学情報を取り込んでいくように心がけていくつもりである.
 今改訂にてさまざまな変更を加えたものの,広範な病理学を医療系学部の学生に理解してもらうためには,更なる改良の余地があるように思われる.教育現場の先生方や学生からの忌憚のないご意見やご教示をいただければ,この上ない幸いである.前版と同様に変わらぬご愛顧とご指導を賜りたい.

2019年1月吉日

北海道医療大学看護福祉学部
小林正伸

目次

第1章 病気と病理学
 A 病理学とは何か?
  1.病理学の定義
  2.病因学,病態発生学,病理組織学の意義
  3.医療における病理学の意義
 B 医療において病理診断はどのような意義があるのか?
 C 治療やケアに病理学は必要か?
 D 病気はどのように発症するのか?
  1.単一の原因で発症する疾患における外因と内因
  2.多数の要因が相まって発症する疾患の病因とは?

第2章 細胞の異常?病気の本態
 A 細胞の構造と細胞傷害
  1.人体の最小単位?細胞の構造と機能
  2.傷害因子に対する細胞の反応
    ①中毒性傷害
    ②感染性傷害
    ③物理的傷害
    ④欠乏性傷害
  3.適応反応(傷害刺激を乗り越える反応)
    ①萎縮
    ②肥大
    ③過形成
  4.可逆性細胞傷害?変性と化生
    ①変性
    ②化生
  5.不可逆性細胞傷害?細胞死
 B 正常細胞の新陳代謝-恒常性の維持
  1.昨日のあなたと今日のあなたは同じか?
  2.細胞の老化
    ①ヘイフリック限界
    ②テロメアの短縮
    ③老化した細胞の死
  3.新しく生まれる細胞の供給源?幹細胞
  4.細胞の増殖
 C 再生と修復
  1.再生と化生
  2.創傷と修復機構
 D ヒトの体の多層構造
  1.ヒトの体?多様な細胞から構成される多細胞生物
  2.多様な臓器の存在?多様な病気

第3章 先天異常
 A 遺伝とは?
  1.形態や生理機能などの特徴は親から子供に受け継がれる?
  2.形質の遺伝
 B 先天異常とは?
  1.先天異常の定義
  2.先天異常の原因
    column 「受精卵の厳しい運命」
  3.先天異常の分類
  4.先天異常の種類
 C 遺伝要因による先天異常
  1.染色体異常による先天異常
    ①常染色体異常による先天異常
    ②性染色体異常による先天異常
  2.遺伝子異常による先天異常
    ①常染色体性優性遺伝
    ②常染色体性劣性遺伝
    ③X染色体連鎖劣性遺伝(伴性劣性遺伝)
 D 環境要因による先天異常

第4章 循環障害
 A 循環器系の働き
  1.心・血管系の構造と機能
    ①心臓の構造と働き
    column 「心臓構造の進化」
    ②血管系の構造と働き
  2.血圧とは何か?
    ①動脈側の血液を動かすメカニズム
    ②静脈側の血液を動かすメカニズム
  3.微小循環
  4.門脈循環
    ①門脈圧亢進症
    ②側副血行路
 B 循環障害
  1.出血と凝固
    ①出血
    ②出血性素因?出血を起こす異常
    ③血液凝固と血栓症
  2.虚血と梗塞
    ①虚血とは?
    ②梗塞とは?
  3.うっ血と浮腫
    ①うっ血
    ②浮腫
  4.血圧の異常
    ①ショック
    ②高血圧
 C 循環障害によって発症する主な疾患と病態
    column 「血圧の基準値とは?」

第5章 代謝異常
 A 代謝とは何か?
 B 代謝異常
 C 糖代謝と糖代謝異常
  1.糖代謝
  2.糖代謝異常?糖尿病
    ①糖尿病の分類
    ②糖尿病の症状
    ③糖尿病の合併症
 D 脂質代謝と脂質代謝異常
  1.脂質代謝
    ①食物から吸収された脂肪をエネルギー源として運搬するルート
    ②肝臓でつくられた脂肪を全身に配るルート
    ③体内で余った脂肪を回収するルート
  2.脂質代謝異常
    ①脂肪肝
    column 「肝脂肪の代表例?フォアグラ」
    ②脂質異常症(高脂血症)
    ③肥満
    ④動脈硬化症
    ⑤メタボリックシンドローム
 E 核酸代謝と核酸代謝異常
    column 「痛風に罹るのはヒトだけか?」
 F タンパク代謝とタンパク代謝異常
  1.タンパク代謝
  2.タンパク代謝異常
    ①低タンパク血症
    ②アミロイドーシス
 G カルシウム代謝とカルシウム代謝異常
  1.カルシウム代謝
    ①カルシウム代謝の調節機構
  2.カルシウム代謝異常
    ①高カルシウム血症
    ②低カルシウム血症
 H 代謝異状によって発症する主な疾患

第6章 老 化
 A 老化とは何か?
 B 細胞の老化と個体の老化
  1.不老不死の単細胞生物と寿命のある多細胞生物
  2.細胞の老化
    column 「神経細胞や心筋細胞に癌はできるか?」
  3.細胞の老化と個体の老化
  4.早期老化症(早老症)
 C 老化に伴う各臓器の変化
  1.中枢神経系
  2.循環器系
  3.呼吸器系
  4.泌尿器系
  5.運動系
  6.感覚器系
 D 老化によって発症する主な疾患
    column 「サーチュイン遺伝子」

第7章 感染と感染症
 A 感染症とは何か?
  1.感染と感染症
  2.今なぜ感染症を学ぶ必要があるのか?
    ①各種診療科で診ている感染症
    ②新興感染症の出現
    column 「中東呼吸器症候群(MERS)」
    ③再興感染症の出現
    ④感染症予防のための対策「感染症法」
    ⑤院内感染の増加
 B 感染症の原因となる病原体
  1.病原体とは何か?
    ①病原体の大きさ
    ②病原体の分類
    ③病原体による感染症発症を決める因子
  2.常在細菌叢(常在微生物叢)の存在
    ①常在細菌叢の存在部位
    ②常在細菌叢の存在意義
 C 感染に対する防御能
  1.非特異的防御機構(自然免疫)
  2.特異的防御機構(獲得免疫)
 D 感染症の発症
  1.感染源(病原体の存在)
    ①人体感染源
    ②動物感染源
    ③環境感染源
  2.感染経路
    ①水平感染
    ②垂直感染
  3.感受性宿主と日和見感染症
  4.院内感染症と対策
    ①院内感染症
    ②院内感染対策

第8章 免疫と免疫異常
 A 免疫機構
  1.免疫とは何か?
    ①免疫学の夜明け
    ②感染に対する免疫
    ③免疫の思わぬ働き
    ④感染以外の異物の侵入-医療行為としての輸血や移植
    ⑤免疫の定義
  2.免疫監視機構にはどのようなものがあるか?
    ①非特異的防御機構(自然免疫)
    ②特異的防御機構(獲得免疫)
  3.免疫系の仕組みと働き
    ①免疫系の主な臓器
    ②特異的防御機構(獲得免疫)のメカニズム
    ③抗体(免疫グロブリン)
 B アレルギー
    column 「免疫応答の多様性をつくる機構とは?」
  1.Ⅰ型アレルギー
  2.Ⅱ型アレルギー
  3.Ⅲ型アレルギー
  4.Ⅳ型アレルギー
  5.Ⅴ型アレルギー
  6.免疫の功罪は表裏一体
 C 自己免疫疾患
 D 免疫不全症
  1.免疫不全症の分類
  2.乳幼児,高齢者における免疫機能低下
  3.糖尿病における免疫機能低下
 E 移植免疫
  1.自己と非自己の区別
  2.拒絶反応
  3.移植片対宿主反応
F 免疫および免疫異常によって発症する主な疾患

第9章 炎 症
 A 炎症の正体
  1.炎症とは?
  2.炎症による徴候
 B 炎症はどのように起こるのか?
  1.炎症の原因
  2.炎症の基本病変
  3.白血球はどのようにして血管内から炎症部位へと移動するのか?
  4.炎症に関与する細胞
  5.炎症に関与する化学伝達物質
 C 炎症の分類
  1.経過による分類
    ①急性炎症の運命
    ②急性炎症と慢性炎症の違い
    ③慢性肉芽腫性炎症
 D 炎症の全身反応

第10章 腫 瘍
 A 癌とは何か?
  1.癌細胞と正常細胞ではどちらが早く増殖する?
  2.癌と腫瘍
    ①自律性増殖
    ②単クローン性の意味
 B 腫瘍の分類
  1.悪性度の違いによる分類
    ①良性腫瘍と悪性腫瘍
    ②何をもって悪性というのか?
  2.上皮性悪性腫瘍(癌腫)と非上皮性悪性腫瘍(肉腫)
  3.腫瘍の実際の命名法
 C 癌の特性
  1.癌はどのようにしてできるのか?
    ①癌細胞誕生のメカニズム
    ②癌遺伝子
    ③癌抑制遺伝子
  2.遺伝子異常の原因は何か?
    ①環境要因
    column 「イヌ・ネコの癌とヒトの癌」
    ②遺伝要因の関与
  3.癌の進展過程
    ①前癌病変
    ②癌の悪性化進展?転移
    column 「なぜ正常細胞は癌細胞のように移動できないのか?」
  4.癌が宿主に及ぼす影響
 D 腫瘍マーカーと癌の診断
  1.生化学的診断?腫瘍マーカー
    ①腫瘍マーカーとは何か?
    ②腫瘍マーカーの役割
    ③代表的腫瘍マーカー
  2.病理診断(確定診断)
    ①細胞診
    ②病理組織診
 E 癌の治療
  1.癌の手術療法
    ①手術療法の効果
    ②手術療法の合併症
  2.癌の放射線療法
    column 「ガンマナイフとサイバーナイフ」
  3.癌の化学療法
    ①化学療法の始まりから現在への進歩
    ②抗癌薬の作用と副作用
  4.免疫チェックポイント阻害薬による免疫治療